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2011/08/25

東京電力=「あくまで試算であり、設計上の想定を変更するものではなかった」 「試算は仮定を積み重ねた計算で、具体的な根拠がないので外部には公表しなかった。今後も公表するつもりはない」

津波試算、副社長に報告…東電取締役会議論せず
 東京電力福島第一原子力発電所の事故で、東電が従来の想定を上回る10メートル以上の津波が到来する可能性があると試算した2008年、当時執行役員だった武藤栄・原子力立地本部副本部長(現顧問)に担当者が試算結果を報告していたことが分かった。

 原発担当の武黒(たけくろ)一郎副社長(現フェロー)にもその後、報告されたが、対策は取られなかった。

 東電が08年春、マグニチュード8・3の明治三陸地震(1896年)と同規模の地震が、福島県沖で起きたと仮定して試算を行ったところ、津波は10メートル以上、遡上(そじょう)高で15メートルを超えるとの結果が出た。

 同社が25日の記者会見で明らかにしたところでは、同年6月、武藤副本部長は試算結果の報告を受け、それまで津波の計算に使ってきた土木学会の指針を見直すよう、同学会に要請することを了承した。試算結果は10年6月までに、武黒副社長にも報告されたが、取締役会で議論されることはなく、非常用ディーゼル発電機を高台に移すなどの対策も取られなかった。

(2011年8月26日03時05分 読売新聞)




会津坂下町は県西部に位置し、福島第1原子力発電所からの距離は約100キロメートル

福島県産の早場米、放射性物質検出されず 予定通り出荷へ
2011/8/25 17:37

 福島県は25日、県内で今年初めて収穫された会津坂下町産の早場米を検査し、放射性物質が検出されなかったことを明らかにした。佐藤雄平知事は「検出されず、胸をなで下ろしている」と記者団に語った。

 国が定めた暫定規制値は玄米1キログラム当たり放射性セシウム500ベクレル以下だが、検査結果は検出限界値を下回った。予定通り出荷される見通し。県は検査結果の詳細を25日午後7時ごろに記者会見で発表する予定。

 県は会津坂下町の水田で22、23日に収穫した早場米から、24日に計2キログラムを検体として採取。25日に県農業総合センターで検査した。同町は県西部に位置し、福島第1原子力発電所からの距離は約100キロメートル。




大震災で同原発は、14~15メートルの津波に襲われたが、「想定外の津波」としてきた東電の主張は、15メートル超の遡上高の試算が明らかになったことで崩れた。

東電、15m超の津波も予測…想定外主張崩れる
 東京電力が東日本大震災の前に、福島第一原子力発電所に従来の想定を上回る10メートル以上の津波が到来する可能性があると2008年に試算していたことが政府の事故調査・検証委員会で明らかになった問題で、東電は同じ試算で高さ15メートルを超える津波の遡上(そじょう)を予測していたことが24日わかった。

 大震災で同原発は、14~15メートルの津波に襲われたが、「想定外の津波」としてきた東電の主張は、15メートル超の遡上高の試算が明らかになったことで崩れた。東電は試算結果を津波対策強化に生かさず、大震災4日前の今年3月7日に経済産業省原子力安全・保安院に対し報告していた。

 東電によると、国の地震調査研究推進本部が02年7月に新たな地震の発生確率などを公表したのを受け、東電は、08年にマグニチュード(M)8・3の明治三陸地震(1896年)規模の地震が、福島県沖で起きたと仮定して、福島第一と第二の両原発に到達する津波の高さを試算した。第一原発の取水口付近で高さ8・4~10・2メートルの津波が襲来。津波は陸上をかけ上がり、1~4号機で津波の遡上した高さは海面から15・7メートル、同5・6号機で高さ13・7メートルに達すると試算した。

(2011年8月25日10時31分 読売新聞)





農林水産省と厚生労働省、福島、岩手、栃木の3県の肉牛の出荷停止措置解除へ

肉牛の出荷停止、25日にも全面解除へ
 厚生労働省と農林水産省は24日、福島、岩手、栃木の3県産の肉牛について、各県の出荷管理計画に基づいて出荷された牛肉は安全性を確保できるとして、出荷停止の措置を解除する方針を固めた。

 政府の原子力災害対策本部が25日にも最終決定する。19日に措置が解除された宮城県では出荷再開しており、これで肉牛の制限はすべて解除される。

 福島県も19日に出荷停止が解除される予定だったが、原発周辺地域の浪江町の農場が4月に出荷した牛肉で暫定規制値を上回り、稲わら以外による汚染の可能性が浮上したことで見送られた。その後の調査で、輸入飼料が空気中の放射性物質に汚染された可能性が高いことが判明。県の計画では、計画的避難区域と緊急時避難準備区域の牛は全頭検査の対象となり、両省は計画に基づけば、汚染牛の流通は防止できると判断した。

両区域以外の地域では、宮城県と同様に、汚染牛を出荷したり、汚染稲わらを与えたりした農家の牛は全頭検査、それ以外は少なくとも1頭の検査を実施する計画。岩手、栃木両県の計画も宮城県と同様。両省は、これらの計画に基づき出荷された牛については、安全性を確保できると判断した。

(2011年8月25日03時04分 読売新聞)