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2011/08/16

経産省内で原発を推進する資源エネルギー庁と、規制する保安院との間で人事異動が行われ、「なれ合いになる」と問題視されてきた。安全庁では、他府省から来た幹部職員を元に戻さない「ノーリターンルール」を徹底させる。

原子力安全庁:新増設を許認可 他府省の幹部戻さず



 政府は15日、環境省の外局として「原子力安全庁(仮称)」を設置し、原子力規制行政の独立・強化を狙う組織改革の基本方針を閣議決定した。原子炉や核燃料物質の使用に関する規制、原発の新増設などの許認可権限を同庁に移す。テロや核物質の盗難対策のため、電力会社の監督や警察・自衛隊などとの連携も担う。月内にも準備室を設置し、関連法案を年明けの通常国会に提出。来年4月の発足を目指す。


原子力安全委員会、子供の甲状腺の検査結果を個人の特定とは関係のない、被ばく線量などの情報まで削除

子どもの被ばく検査結果 削除
8月11日 5時10分
東京電力・福島第一原子力発電所の事故で、インターネット上で公開されていた福島県の子どもの甲状腺検査の結果について、個人を特定できる可能性があるとして、国の原子力安全委員会が、すべて削除していたことが分かりました。専門家は、「正確な情報提供に逆行する」と指摘しています。

福島第一原発の事故で、国の対策本部は、3月に福島県いわき市などに住む15歳以下の千人余りを対象に、放射性物質が甲状腺に蓄積していないか検査を行い、原子力安全委員会がインターネット上で結果を公開してきました。

この中には、いわき市の4歳の子どもが健康への影響は無いとされる、甲状腺に受けた放射線量にして35ミリシーベルトの被ばくをした、とする記述もありました。

ところが、詳しい住所が含まれていたことから、原子力安全委員会は、「個人を特定できる可能性がある」として、今月初め、記述をすべて削除しました。

しかし、子どもの甲状腺の検査結果は、ほかには一切公表されていないうえ、個人の特定とは関係のない、被ばく線量などの情報まで削除されたことから批判の声があがっています。

災害時の情報伝達に詳しい東京女子大学の広瀬弘忠名誉教授は、「子どもの被ばくに過敏に反応されることを恐れて削除したと言われてもしかたがない。正確な情報提供で対応できるようにしてもらわなければならないのに、逆行するあり方だ」と指摘しています。