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2011/11/06

フォークスは国王のプロテスタント政策に反発し、カトリックの女王による統治を主張して爆破を企てた

ウォール街デモ参加者に広がる英反逆者ガイ・フォークスの仮面 「抵抗の象徴」
2011.11.06 Sun posted at: 12:55 JST




ロンドン(CNN) 経済格差や大手金融機関の優遇策に反発するウォール街発の抗議デモで、白い仮面をつけた参加者の姿が目立っている。英国で17世紀初め、国王暗殺のため国会議事堂を爆破しようとして処刑されたガイ・フォークスの仮面だ。

ロンドン中心部では、フォークスが逮捕された日に当たる5日、この仮面をかぶって議事堂まで行進する数百人規模のデモが計画された。

白い顔に黒い口ひげとあごひげ、不気味な笑いを浮かべた仮面は、英漫画の映画化作品「Vフォー・ヴェンデッタ」で広く知られるようになった。フォークスの仮面をかぶった反逆者「V」が全体主義政権の打倒に成功するストーリーで、ラストシーンでは民衆が仮面姿で議事堂へ向かう。5日のデモは、この場面の再現を狙ったとされる。

ロンドン以外にも米西海岸から香港まで、世界各地のデモでこの1カ月間、仮面姿の参加者が目撃されている。さらにさかのぼると、国際ハッカー集団「アノニマス」のメンバーらが2008年、宗教団体「サイエントロジー教会」への抗議運動でこの仮面をかぶり、素顔を隠したのが始まりとされる。内部告発サイト「ウィキリークス」のジュリアン・アサンジ創設者も最近、仮面姿でロンドン・セントポール大聖堂前の集会に現れた。

大聖堂前で座り込みに参加しているアノニマスの男性メンバー(44)は、仮面が「抵抗と匿名の国際的シンボル」になっていると話す。「仮面をつければ、権力側による報復や攻撃を恐れることなくデモに参加することができる」という。一方で、「仮面をかぶるのはVフォー・ヴェンデッタの本のファンだから」と語る若者(19)もいた。

昨年1年間に10万個の仮面が売れたと推定されるが、販売で利益を得るのは権利者の大企業、米タイム・ワーナーだ。これでは抗議デモの趣旨に反するとして、独自の模造品をアジアで大量生産する動きが出ている。ヴェンデッタのファンの若者も、仮面は公式グッズ販売店ではなく、アノニマスのメンバーから安く入手したという。

フォークスは国王のプロテスタント政策に反発し、カトリックの女王による統治を主張して爆破を企てた。この人物をテロリストとみなすか、自由の戦士と呼ぶかは、英国内でも長年にわたり議論の的となっている。いずれにしても、権力に立ち向かった行動派としての顔が、デモ参加者らの共感を呼んでいるようだ。




















民主化活動とウィキリークスを支援

 アノニマスの歴史は古く、2003年ごろには活動を始めていたようだ。だが、耳目を集めるようになったのは、内部情報告発サイト「ウィキリークス」を支援する目的で10年冬に展開した「オペレーション・ペイバック(報復作戦)」だ。

 米国政府の外交公電や米軍の機密情報を次々と暴露したウィキリークスに対し、大手銀行のバンク・オブ・アメリカやネット決済最大手のペイパル、アマゾンなどが、口座凍結やサーバー貸し出しサービス中止などといった取引停止措置を講じた。「言論の自由」という点でウィキリークスに大いに共鳴するアノニマスは、これらの企業に次々とサイバー攻撃を仕掛け、アマゾン以外のシステムを軒並みダウンさせている。

 米国政府などから激しい批判を受けつつも、ウィキリークスは今や米ニューヨーク・タイムズ、英ガーディアン、朝日新聞社などと連携して告発内容を検証することで、社会的地位を得ている。そのウィキリークスの守護兵を務めたのが、アノニマスだった。

 11年に入り北アフリカ諸国で続発した民主化運動でも、アノニマスは大きな役割を果たした。エジプトでは、ムバラク政権が国民に対して検閲や宗教の自由の抑圧などを行っていると非難し、動画などを使った政府批判キャンペーンを展開した。反政府デモの情報拡散を阻止しようとエジプト政府が国内のネット接続を遮断したのに対抗し、アノニマスは猛烈なDDoS攻撃で反撃。政府関連サイトをダウンさせた。反政府運動家のコミュニケーションツールとなったフェイスブック、ツイッターと同様、独裁政権崩壊の一助となったというある程度の評価を受けている。