集団食中毒、0111遺伝子の型が一致
焼肉酒家えびすの集団食中毒事件で、富山県と横浜市は24日夜、えびすの横浜市内の店舗から回収された未開封の肉と、富山の患者など19人から検出された腸管出血性大腸菌0111の遺伝子の型が一致したと発表しました。
横浜市保健所岩田眞美・医務担当部長「焼肉酒家えびす若草台店から検出された0111と富山県の患者などから検出されたO111のDNAの分析を富山県が行ないました、そのパターンが一致しましたのでお知らせします」
発表によりますと、えびすの横浜若草台店から回収した未開封のユッケ用の牛もも肉から検出された0111と、死亡した4人を含む患者ら19人から検出されたO111の遺伝子の型が一致しました。
この牛もも肉は先月13日に東京の大和屋商店で切り分けられてパック詰めされ、その翌日以降に納入されてから未開封のまま冷蔵庫で保管されていました。
横浜市保健所桐ケ谷成昭監視等担当部長「未開封の肉ですから、飲食店で汚染されたものではないと、つまり未開封のままですから包装する前に汚染された」
菌の遺伝子の型が一致したことにより、県や警察の合同捜査本部では、肉がえびすの店舗に納入される前に菌に汚染されていた可能性が強まったと見ています。
死亡した4人と横浜市の店の肉から検出された菌のDNAパターンがほぼ一致したということですが、改めてどういうことなのか教えてください。
菌のDNAパターンは、汚染源がどこにあったのかを示す重要な資料となります。
まず、今月はじめには亡くなった福井県の6歳の男の子と高岡市の6歳の男の子から検出された0111のDNAパターンが一致したことがわかりました。
これはベロ毒素を出すタイプのVT2型というもので、HUS・溶血性尿毒症症候群という重い症状を引き起こします。
亡くなった砺波市の70歳の女性を含む砺波店と富山山室店の利用者からも同じDNAパターンの菌が検出されています。
違う場所で食事をした人から同じDNAパターンの菌が出たということですね。
はい、さらには肉そのものからも0111が出ています。
横浜若草台店で回収された肉から0111が検出されました。
この肉は未開封のユッケ用のモモ肉で、先月13日に東京の大和屋商店で加工されたものでした。
ただ、検出された菌はベロ毒素を出さないVT(-)というタイプでした。
そしてこの菌は亡くなった高岡市の男の子や砺波市の43歳の女性を含む利用者や従業員から検出された菌とDNAパターンが一致しました。
パターンが一致する人がどんどん増えていったわけですね。
さらに24日県は、VT2型とVT(-)型のDNAパターンがほとんど一致したと発表しました。
感染源が1つであるという可能性が強まりました。
県ではこの結果を受けて、肉が店に納入される前に菌に汚染されていたという見方を強めています。
この結果を専門家はどう見ているのか聞きました。
新潟大学医学部、山本達男教授「店舗納入前は確実、もしかしたら毒素を出すものから出さないものに変化したという可能性のほかに、もともと毒素を持たない型が持つ病原性が悪さしたという可能性も出てきたので流行ルートは2つあるかも今後のサンプルをふやさないと特定できない」
つまり、肉がえびすの店舗に届くより前に菌に感染していたことは確実だということですね。
この事実は感染源や感染ルートの特定にいたる大きな資料となります。
県では他の全ての患者の検体についてもDNAを調べて分析を進める方針です。
警察の捜査はどう進んでいくのでしょうか?
合同捜査本部では、25日までにえびすの全ての店舗から菌の検体を採取しています。
しかし、今のところ、どこからも菌は検出されていません、なので、今回のDNAパターンの一致は、大変重要な資料となると捜査幹部はみています。
今後は、菌の分析や店舗、卸業者それぞれの衛生管理状況などをさらに詳しく調べていく方針です。