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2011/05/03

福井県、4月27日に死亡した男児は「福井渕店」で生肉のユッケなどを食べたことによる食中毒と断定

福井の死亡男児は食中毒 県断定、別女性も入院
(2011年5月3日午前2時00分)
 富山県の焼き肉店「焼肉酒家えびす砺波店」などでの集団食中毒に関連し、福井市渕2丁目の系列店「福井渕店」で食事し腸管出血性大腸菌O111が検出され死亡した就学前男児について福井県は2日、同店で生肉のユッケなどを食べたことによる食中毒と断定し、発表した。また男児が食事した同じ日に同店でユッケを食べた10代女性も下痢や血便などの症状で入院している。女性から腸管出血性大腸菌やベロ毒素は検出されておらず、県は「食中毒の可能性が高いが特定できない」としている。



 一方、県警は2日、同店に立ち入り、実況見分した。捜査員は肉の保管・調理方法、亡くなった男児が訪れた日の伝票のほか従業員の勤務状況などを確認した。業務上過失致死の疑いもあるとして、今後も関係者から事情を聴くなどして慎重に調べる方針。

 県医薬食品・衛生課によると、男児は4月17日に家族7人で「福井渕店」で食事。全員が原因食材とみられるユッケを食べたという。男児は21日に発症し入院、27日に溶血性尿毒症症候群(HUS)が原因で死亡した。県の調査では、患者家族6人や同店の調理従事者4人、調理台や調理器具から菌は検出されていない。調理従事者4人については、現在も検査している。

 県は、富山県の食中毒との関連を調査し▽富山県の患者と菌の遺伝子型が一致▽両県の店舗が提供した食肉は、東京都の同じ業者が16日に加工された―ことから、男児は同店の食事が原因の食中毒と判断した。

 県によると同店には17日367人が来店、ユッケは138皿が販売された。ユッケを食べた客でO111が検出されたのは2日現在、死亡した男児だけという。

 また県によると、17日に同店でユッケを食べた福井健康福祉センター管内の10代女性が、下痢や血便の症状で入院。意識はあるが重症で、HUSの症状を呈しているとの情報がある。女性は21日の発症後に4回検便検査をしたが、O111やベロ毒素は検出されていない。県は2日、入院中の病院からの情報で把握した。

 県は食品衛生法に基づき同店を5日までの4日間営業停止処分とした。

 男児死亡については厚生労働省が、富山県の食中毒と強い関連性を指摘。「食中毒と断定する前でも、公益性を考慮すべき」とした上で、被害拡散防止と感染者の把握に向け、店舗名や死亡経緯などを早急に公表するよう県に指導していた。



業過致死傷容疑で富山県警捜査本部
 富山、福井の焼き肉チェーン店「焼肉酒家えびす」で食事した男児が腸管出血性大腸菌O111に感染して死亡した集団食中毒で、富山県警は2日、業務上過失致死傷容疑で砺波署に捜査本部を設置した。福井県警と連携し、食肉の衛生管理や流通ルートの実態解明を進める方針。

 富山、福井両県によると、4月に同チェーンの砺波店(富山県砺波市)と福井渕店(福井市)でユッケを食べた男児2人が相次いで食中毒症状を起こして死亡し、いずれもO111が検出された。

 両県ではほかに、系列店で食事を取った計20人以上が重症となっている。

 運営会社のフーズ・フォーラス(金沢市)は、国の基準では生食に適さない肉をユッケとして提供したことを認めており、2日には勘坂康弘社長が記者会見し、客に出すユッケや調理室などの細菌検査を約2年間行っていなかったことを明らかにした。

 富山、福井両県警は同日までに、食中毒のあった店の関係者から事情を聴くとともに、衛生管理マニュアルの提出を受けるなどした。今後、フーズ社や同社に食肉を販売した都内の食肉卸業者についても捜査する。