食中毒を起こした「焼肉酒家えびす」砺波店(29日) 富山県砺波市の焼き肉チェーン「焼肉酒家えびす」砺波店で発生した集団食中毒は、10歳未満の男児が29日、死亡するという最悪の事態となった。
県は同日、男児から腸管出血性大腸菌「O(オー)111」が検出され、同店で21日夜に食べた生肉のユッケが原因と発表した。県内で同大腸菌感染症患者の死亡は初めて。同店では、24人が下痢や腹痛などの症状を訴え、15人から同大腸菌が検出されており、同チェーンでは新たに別の店でも、ユッケを食べた患者2人が重症となっていることが判明。肉を配送した都内の業者にも立ち入り調査し、県警は29日、業務上過失致死の疑いも視野に捜査を始めた。
同日夜、記者会見した県によると、男児は21日夜、父親と2人で同店を訪れ、食事をした。24日に下痢や嘔吐(おうと)、血便などの症状を訴えて入院。27日に腎臓障害などを引き起こす溶血性尿毒症症候群(HUS)の疑いが出て、O111が検出された。28日には、けいれんや意識障害が現れ、29日午前11時頃に死亡した。
これまでに食中毒とみられる症状が出ている15グループ24人の患者は、21~23日の3日間に同店で食事をした。全員がユッケを食べており、ほかに感染の原因となる共通食材がないことなどから、県はユッケを食中毒の原因と判断した。
また、県は、24人のうち、男児のほか5人がHUSの疑いで重症となっていることも明らかにした。24人の内訳は1~70歳で、男性10人、女性14人。男女15人からO157とO111を検出。このうち3人から両方の菌が検出された。
県警は29日、砺波店の店員らから任意で事情を聞き、店内なども調べた。
県の発表によると、焼肉酒家えびすチェーンのうち、新たに重症患者が出ているのは、高岡市の「高岡駅南店」で、17、18両日にそれぞれユッケなどを食事した男性2人にHUSの疑いが出ているという。県は、腸管出血性大腸菌に感染していないか確認を急いでいる。
県内で、食中毒による死者が出たのは1983年以来28年ぶり。同店を含む北陸3県と神奈川県のチェーン全20店舗が29日から営業自粛に入った。
(2011年4月30日07時16分 読売新聞)
2011/04/30
24人が下痢や腹痛などの症状を訴え、15人から同大腸菌が検出されており、同チェーンでは新たに別の店でも、ユッケを食べた患者2人が重症となっていることが判明。
集団食中毒で男児死亡、生肉のユッケが原因