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2011/03/12

避難地地域を半径20キロメートル圏内に拡大=福島第1原発

福島第一原発の避難地域、半径20kmに
 福島県によると、首相官邸からの指示で、避難対象地域を福島第一原発はこれまで半径10キロ圏内から同20キロ圏内に、同第二原発は同3キロ圏内から同10キロ圏内に拡大した。

(2011年3月12日19時31分 読売新聞)




福島原発の避難指示、第1は20キロ圏に拡大
2011/3/12 19:45




 福島県は12日午後6時25分、首相官邸からの指示で福島第1原子力発電所の避難指示を半径20キロメートル圏内に拡大した。同時に第1原発で放射線量が午後3時40分を最後に計測できていない、と発表した。

 枝野幸男官房長官は12日午後6時前の記者会見で、東京電力福島第1原子力発電所の爆発について「原子炉そのものとは確認されていないが、何らかの爆発的事象があった」と述べた。そのうえで「政府と東京電力が総力を挙げて万全の対応に努めている。周辺住民は落ち着いて対応してほしい」と強調。被害を最小限に抑えるため菅直人首相と海江田万里経済産業相が専門家を交えて状況の把握と対応に全力を挙げていると説明した。

 枝野長官は記者会見で、午後6時前の時点で「放射性物質の測定はきちんと行われており、現在は想定される数字の範囲内だ」と指摘した。ただ、放射能の人体への悪影響を抑えるためのヨード剤に関しては「いつでも配布できる体制になっている」と語った。

 枝野長官は、福島第1原発の南に約10キロメートル離れた福島第2原発に関しても、周辺住民の避難指示を半径3キロ圏内から10キロ圏内に拡大したと発表。「想定される最悪のケースに備えて10キロをお願いしている」と説明した。東日本巨大地震の影響で発電量が落ちているとして「すべての国民に節電をお願いする」とも呼びかけた。







原発で爆発…情報二転三転、対処に戸惑う住民

「何でこんなことになるのか」。

 東北地方の太平洋沿岸を襲った東日本巨大地震は、発生から丸1日が過ぎた12日午後、東京電力福島第一原子力発電所から、爆発音とともに周囲に放射能が漏れるという深刻な事態になった。恐怖に顔を引きつらせて逃げ出す人がいれば、情報が二転三転するため避難に踏み切れない人も。混乱に拍車をかけるかのような政府と東京電力の対応にも、住民らからは怒りの声が上がった。

 12日午後4時頃、福島第一原発から北に約25キロ離れた福島県南相馬市の海岸沿いの集落。記者が津波による被災状況を取材していると、突然、市の防災無線が流れた。

 「福島第一原発が爆発したとの情報があります。屋外に出ないでください」

 その場所で警戒に当たっていた約10人の消防団員の顔が引きつった。「すぐに逃げろ!」。大きな声で言い合いながら、車に乗り込み、あわただしくその場を去った。

 記者も、ただちに離れた地域に退避するべきか迷った。「爆発」の実態が分からないだけに、恐怖が募る。とりあえず、すぐ近くの国道沿いにある「道の駅 南相馬」に移動すると、水の配給を受ける住民ら十数人がラウンジに集まっていた。施設の職員とみられる男性が飛び込んできて、「施設の外に出ないで」と声をかけたが、住民たちはどう対処していいか分からず、戸惑うばかりだった。

 防災無線を聞き、消防団員の車で道の駅に避難してきたという無職佐藤馨さん(70)は、緊張した様子だった。「びっくりして、あわてて逃げてきた。今まで、津波も原発事故もなく平和な所だったのに、何でこんなことになるのか……」

 午後4時半、再び防災無線が流れた。「(爆発という)報道があったが、それは誤りでした」。前回の放送を打ち消す内容だったため、佐藤さんらはホッとした様子で施設の外に出て行く。だが、その後、ラウンジに置いてあるテレビで、原発の建屋が吹き飛んだ様子が映し出され、住民たちが食い入るように見つめていた。

 午後5時35分頃、今度は「念のため外出を控えてください」という内容の無線が流れた。防災無線の内容が右往左往し、政府や東京電力の情報として伝えられる内容も断片的なままで、首をかしげる住民もいた。

 他県から応援に来た警察官が、防護服を着て車両から降りるのが見えた。記者が現場を離れた後の午後6時半頃、住民に対する避難指示の範囲が、原発周辺の半径10キロ内から、半径20キロにようやく拡大された。(田中重人)

(2011年3月13日03時13分 読売新聞)