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2011/03/26

直後から、官邸内の副長官執務室の前には、被災自治体の関係者らが「仙谷詣で」を始め、行列が出現した

仙谷氏「乱暴副長官になる」と被災者支援に覚悟
 原発事故に伴う電力不足が懸念される中、首相官邸でも、照明を暗くしたりエアコンを切ったりと、節電中だ。

 25日午前8時前。政府の電力需給緊急対策本部の開始時間ぎりぎりに、仙谷由人官房副長官(65)は節電で止まったままのエスカレーターを小走りに駆け上がった。「これ、歩くと目が回るなあ」。苦笑しながら会議室に滑り込んだ。

 参院の問責決議を受け、今年1月に官房長官の座を去った仙谷氏だが、「被災者の生活支援を急ぐには、官僚とうまくやりとりする術が不可欠」(首相周辺)と、わずか2か月で菅首相に官房副長官として呼び戻された。

 直後から、官邸内の副長官執務室の前には、被災自治体の関係者らが「仙谷詣で」を始め、行列が出現した。自ら携帯電話で霞が関の省庁に次々指示を飛ばす。

 ただ、被災者のニーズを満たすには、既存の法律や規制が障害になるケースが少なくない。物資や支援の手が末端まで行き届かない現状に、もどかしさも募る。

 「私は『乱暴副長官』になる」。非常時の超法規的措置も辞さずに被災者支援を進める覚悟を、仙谷氏はこんな風に語る。

(2011年3月26日16時29分 読売新聞)





官邸、再び仙谷主導 独断「仕切り」危ぶむ声も
2011.3.22 00:19 (1/2ページ)
 東日本大震災の発生を機に、被災者支援担当の官房副長官として再び首相官邸入りした民主党のナンバー2、党代表代行の仙谷由人氏の存在感が増している。逆に「弟分」の枝野幸男官房長官は政府・与党間の仕切り役を仙谷氏に譲り、今では主な任務が官房長官記者会見で、さながら「内閣広報担当」だ。ただ、「自衛隊は暴力装置」などたび重なる暴言と失言で、わずか2カ月前に官房長官のポストを追われた仙谷氏だけに、心配もつきまとう。  

 「食料品(搬送)の流通ルートが途絶えているところがあるので、早急に手当てをしようと話した」

 21日、首相官邸で記者団にこう語った片山善博総務相が、被災地への食料品輸送について相談した相手は仙谷氏だった。官房長官時代は「陰の総理」と呼ばれた仙谷氏は今、枝野氏を差しおいて「裏の官房長官」として振る舞っている。

 仙谷氏は着任早々、被災地の復興対策を中・長期的な視点で検討し、独自の被災地再建ビジョンをまとめるための私的チームを設置した。メンバーは古川元久前官房副長官、長島昭久元防衛政務官、吉良州司元外務政務官、松井孝治元官房副長官の4人で、民主党の中堅・若手の精鋭だ。

 20日には、首相官邸に生活支援にかかわる各省庁事務次官を呼び、「被災者支援を進める上で、目詰まりを起こしているところがあれば、こちらで責任を持つので言ってほしい」と呼びかけた。

 仙谷氏は政府の「緊急災害対策本部」(本部長・菅直人首相)の下に設けられた「被災者生活支援特別対策本部」(本部長・松本龍防災担当相)の本部長代理も務め、関係省庁の調整を担っている。 

 「仙谷氏のように官僚ににらみを利かせ、押しが強い人でなければこの国難は乗り切れない」

 官邸筋はこう話す。仙谷氏は「官僚はうまく使いこなさないといけない」が持論で、首相よりも官僚受けがいい。事実、官房長官を退いた後も、議員会館の事務所には官僚が「仙谷詣で」する姿が見られた。

 官房長官時代の仙谷氏に頼り切りだった首相や枝野氏にとって、仙谷氏の復帰は心強いかもしれない。ただ、アクの強い仙谷氏の言動は野党やメディアとの軋轢(あつれき)を生みやすく、もろ刃の剣でもある。

 また、仙谷氏は中国漁船衝突事件では、海上保安庁が公開準備を進めていた衝突映像の公開にストップをかけた“前歴”がある。インターネット上では東電福島第1原発事故と絡めて「仙谷氏は隠蔽(いんぺい)担当相なのではないか」との疑問も飛び交っており、独断専行に陥りがちな仙谷氏の「仕切り」を危ぶむ声も出始めている。(村上智博)







古川元久






長島昭久



吉良州司



松井孝治