福島第一原発3号機で作業員3人が被曝(ひばく)した事故で、東電はタービン建屋地下に高濃度の放射性物質を含む水たまりがある危険性を把握しながら、情報共有を怠ったため、作業員が水たまりに注意を払わず、事故につながった可能性があることが26日、わかった。
東電は18日に1号機タービン建屋地下1階で毎時200ミリ・シーベルトの放射線量を検出、水たまりに高濃度の放射性物質が含まれる危険性を認識していた。
しかし、3号機タービン建屋で被曝した3人が24日午前に作業を開始するまでに、1号機に関するこの測定結果は作業員に伝わっていなかった。1号機とよく似た3号機の作業場所に、高濃度の放射性物質が含まれた水たまりがある可能性が伝わっていれば、作業員の被曝は避けられた可能性がある。作業員たちは汚染された水につかって作業を行い、線量計の警報が鳴っても、誤作動と思い作業を続行した。
東電福島事務所の小山広太副所長は「情報共有を徹底していれば、3号機の被曝事故は防げたはずで、反省している」と話している。
(2011年3月26日13時42分 読売新聞)
水たまりの排水着手=作業員3人被ばくで-1号機「高放射能」は訂正・福島第1原発
東日本大震災で危機的状況が続く東京電力福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)では26日、3号機のタービン建屋地下の水たまりで作業員3人が被ばくした事故を受け、1~4号機のタービン建屋地下にある放射性物質を含む水たまりの本格的な排水作業に着手した。
経済産業省原子力安全・保安院は、水には半減期が8日と短い放射性ヨウ素131が多く含まれることから、タービン建屋の隣の建屋にある原子炉から漏れた可能性が高いとの見方を示した。
東電は26日午前、1号機のタービン建屋地下で18日に水たまりを見つけ、高い放射線量を検出したと発表。現場の作業員に注意喚起していれば24日の被ばく事故を防げたと説明した。しかし26日夕に記者会見した武藤栄副社長は、2号機との取り違えなど情報伝達の混乱があったとして訂正。事前に水たまりの危険性を予測することは困難だったとの考えを示した。
18日には東電社員らが2号機タービン建屋地下で復水移送ポンプを点検したが、個人線量計の数値が約5分間で50ミリシーベルトに達したため退避。この際、ぬれた場所があったが、高い放射線量の原因とは考えなかったという。
一方、1号機のタービン建屋地下では被ばく事故直前の24日朝に水を採取したが、分析結果が出たのは被ばく事故後だった。水たまり表面の放射線量を毎時約200ミリシーベルトと発表していたが、表面線量は24日には測定しておらず、26日正午の測定で同約60ミリシーベルトと判明した。(2011/03/26-22:07)
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2011032600258
原子炉燃料が破損し放射性物質が漏出か 作業員の被曝
2011.03.26 Sat posted at: 14:17 JST
東京(CNN) 東日本大震災に伴う東京電力の福島第一原子力発電所事故で経済産業省原子力安全・保安院は25日、3号機のタービン建屋内で24日に発生した作業員3人の被曝(ひばく)に関連し原子炉の燃料が破損して放射性物質が漏れ出た可能性があるとの見方を示した。
3人は建屋内で外部電源の復旧作業中、通常の原子炉内の冷却水より約1万倍強い放射能が検出された水たまりにつかっていた。この水たまりの深さは約15センチとされ、原子炉格納容器が破損し、しみ出た可能性もある。
東京電力によると3人は水たまりの放射能に40~50分間、接触していた。国際原子力機関(IAEA)は日本政府当局の情報を引用しながら、3人は放射線量の検知器の警報が鳴ったものの間違った数値と考え、これを無視した可能性があると説明した。
3人の被曝を受け、3号機での復旧作業は中断している。3人は病院で手当てを受けている。うち2人は「ベータ線熱傷」の被害を受けたともみられる。
水たまりに放射能が含まれていたことについて米マサチューセッツ工科大学の原子力科学専門のハッチンソン教授は、原子炉などを冷却するため放水作業が実施されており必ずしも予想外のことではないとし、「私は特に驚いていない」とも述べた。
また、東電は26日、第一原発の他の原子炉2基関連の建屋でも同じように放射線量が高い水がたまっているのが見付かり、復旧作業を中断し作業員に退避を命じたと発表した。