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2011/04/04

被災者支援を巡り、首相官邸内で仙谷由人官房副長官が仕切る「チーム仙谷」が拡大

復興・復旧巡り微妙な官邸力学 「チーム仙谷」拡大中
2011/4/4 20:45
 東日本大震災の被災者支援を巡り、首相官邸内で仙谷由人官房副長官が仕切る「チーム仙谷」が拡大している。仙谷氏が事実上統括する「被災者生活支援特別対策本部」の下に5つの会議が発足。官僚や業界団体も仙谷氏への面会を求めており、野党とも急接近する。菅直人首相は中長期の復興策を検討する「復興構想会議」を提唱しており、省庁には調整の進め方に戸惑いもある。

 「漁業は東北地方の基幹産業。自助努力では無理なので、国の力で回復させてほしい」。全国漁業協同組合連合会の幹部らは4日、首相官邸の仙谷氏を訪ね、漁業の復興支援を訴えた。


 仙谷氏は大震災から約1週間後の3月17日、官房副長官として首相官邸に復帰した。目を掛けてきた枝野幸男官房長官が福島第1原子力発電所の事故対応に追われる中、もう1つの緊急性の高い課題である被災者支援の担い手として、白羽の矢がたったのだ。

 20日に発足した「被災者生活支援特別対策本部」には、3月末までに「被災地復旧」や「住宅供給」などの会議を次々設けた。検討会議の座長の一人には、民主党の小沢一郎元代表の側近の樋高剛環境政務官を起用した。他の会議の座長は各省の副大臣が務めているため、政務官の樋高氏の起用は「小沢グループの取り込みを狙った」との見方もある。

 霞が関の「協力」も取り付けようとしている。復帰早々の20日には9府省庁の事務次官らを官邸に招集。22日には事務次官らを一堂に集めた被災者生活支援各府省連絡会議を新設し、民主党政権下で廃止した事務次官会議を事実上、復活させた。

 野田佳彦財務相と勝栄二郎財務次官らは4日、首相官邸で2011年度補正予算案について、首相や枝野長官に報告したが、その前に向かったのは仙谷氏の部屋だった。官邸での仙谷氏の役割は日に日に重くなっているが、本格的な復興対策の力学はなお、定まらない。

 「おれには何の相談もない」。首相が1日の記者会見で表明した「復興構想会議」について、仙谷氏は周辺に漏らした。

 仙谷氏は元官房副長官の古川元久、松井孝治両氏、元防衛政務官の長島昭久氏らと私的なチームを作り、復興案を練ってきた。首相が記者会見で披露した「高台に住宅地をつくる」「エコタウン」などの一連の構想はもともと、仙谷氏らとの協議の中で、松本健一内閣官房参与が提案、後で首相にも伝えた。

 検討中の「震災復興相」には、仙谷氏の名前が挙がる。一方、首相は「復興構想会議」に官僚OBや被災自治体の首長らを集め、震災1カ月後の11日までに発足させる構え。1日の記者会見では、関東大震災の復興計画を立案した後藤新平の名を挙げ、復興案作りに意欲を示した。このため「復興プランを作ってもどこに持っていっていいか分からない」(内閣府幹部)との声もある。

http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C93819481E2E6E2E0E58DE2E6E2E6E0E2E3E38297EAE2E2E2;at=DGXZZO0195166008122009000000