米国:「経済危機、安保に影響」 国家情報長官、「脅威評価」を提出
【ワシントン草野和彦】ブレア米国家情報長官は12日、年次報告「脅威評価」を上院情報特別委員会に提出、米国の安全保障上の差し迫った懸念として「国際的な経済危機」を挙げた。財政難に陥った国が不安定化する可能性があるためで、経済危機による「負の波及効果」の大きさを浮き彫りにした。
報告は、世界の約4分の1の国々で政権交代などの動きが表面化したと指摘。ラテンアメリカや旧ソ連、アフリカで現金準備不足に直面している国が多く、経済危機が長期化すれば「米国の戦略上の権益に深刻な影響を与える」と分析した。
北朝鮮情勢では、金正日(キムジョンイル)総書記が昨年8月に脳卒中で倒れ、数週間にわたって執務能力を失ったが、現在は重要な決定を下せるほどに回復していると分析した。北朝鮮の核兵器に関しては、抑止力や威圧的な外交の道具としての意味合いが強く、軍事的敗北の危機や政権混乱などのケース以外で使用される可能性は低いとみている。一方で、イランを含む中東諸国への弾道ミサイル・関連物資の売却や、シリアの原子炉建設を支援してきたことから、核拡散活動への懸念は残るとしている。
毎日新聞 2009年2月13日 東京夕刊
http://mainichi.jp/select/world/news/20090213dde007030015000c.html