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2013/02/16

EU 馬肉混入の不正が相次ぎ混入ルートの特定を急ぐ

冷凍食品に馬肉混入、EUが緊急調査 欧州全域で

2013/2/16 21:43



【ロンドン=松崎雄典】欧州で牛肉加工食品に安価な馬肉を混入させる不正が相次いで発覚し、欧州連合(EU)はDNA検査などの緊急対策に乗り出す事態に発展している。馬肉混入は食品安全管理が厳格な欧州では異例。英国やフランスなど各国当局は混入ルートの特定を急いでいるが、市場統合が進んだ欧州では食肉の供給網が東西にまたがり、全容解明には時間がかかりそうだ。

 EUは15日、加盟27カ国で販売されている牛肉加工食品を対象にDNA検査の実施を決めた。全域から2250(加盟国あたり10~150)のサンプルを選び、DNAで馬肉が混入していないかどうかを調べる。

 さらに馬肉についてのサンプル調査も実施する。食用家畜への使用が禁止されている薬品が馬肉に含まれているかどうかを確認。食品の安全性を確保する。

 馬肉の混入問題は今年1月、アイルランド食品安全庁の調査で英大手スーパーが販売する冷凍牛肉バーガーに最大29.1%の馬肉が含まれていることが発覚したのがきっかけ。その後、ファストフード店のバーガーや、冷凍ラザニア、冷凍パスタなどからも次々と馬肉混入が見つかった。

 発覚した国もフランスやドイツ、スイス、オーストリア、ノルウェーと主要国に広がっている。

 各国政府の調査や報道によると、馬肉はルーマニアの食肉処理場から仏南部の食品卸スパンゲロ社が輸入し、食品加工の仏コミジェル社に納入された。コミジェルは欧州の冷凍食品大手フィンダス社の下請け。

 仏政府は14日、スパンゲロが馬肉と知りながら、6カ月にわたって750トンを牛肉として販売した疑いが濃厚と発表。スパンゲロは馬肉と知っていたことを否定している。

 馬肉の発注経路にはキプロスやオランダの仲介業者が関与しており、過去にも馬肉と偽って販売し逮捕された経歴があるとの報道もある。

 これとは別の流通経路もあり、英当局は14日、食肉加工場と食肉処理場の従業員3人を詐欺容疑で逮捕。英食品基準庁は処理された馬6頭から競走馬に使用する消炎剤が検出され、馬肉がフランスに輸出されたことを明らかにした。消炎剤は人体に有害という。

 欧州では2011年に腸管出血性大腸菌「O104」の感染がドイツを中心に広がったが、感染源とされるエジプト産の種子を特定するのに時間がかかった。欧州では食品の取引ルートは国をまたいで広がっており、有効な監視体制の確立も問題点として浮上している。