高橋容疑者は警視庁の調べに対し、地下鉄サリン事件の運転役だったことを認め、「サリンは無色透明だが、茶色の液体だったので違うと思った」などと話している
井上死刑囚「騒ぎ起こす」 高橋容疑者 サリン事件前夜聞く
2012年6月19日 夕刊
オウム真理教による地下鉄サリン事件の殺人容疑などで逮捕された元教団信者高橋克也容疑者(54)が、サリン事件の前夜に元教団幹部井上嘉浩死刑囚(42)から「これから騒ぎを起こすと聞いた」と供述していることが捜査関係者への取材で分かった。高橋容疑者は実行犯を車で送迎する役割を担ったとされ「教団幹部の指示でやったが、目的については一部知らなかった」とも供述しており、警視庁捜査一課は当時の状況について調べている。
捜査関係者によると、高橋容疑者はサリン事件が起きた前日の一九九五年三月十九日夜、都内の教団施設で、井上死刑囚や他の信者らとの打ち合わせの場に参加。その場で井上死刑囚が「これから騒ぎを起こす」と話している姿を見た。その際、サリンを示す教団内の隠語「サリーちゃん」などの言葉も出ていた。
高橋容疑者は「車に茶色の液体があったがサリンは無色透明なので、違うと思っていた」と供述しているが、事前にサリンと認識していた可能性もあるとみて調べている。
オウムと“魔法使いサリー”…ちゃっちゃとまけ
2012.06.19
「ちゃっちゃとまけ。魔法を使う」-。オウム真理教による地下鉄サリン事件で、サリン散布役を車で運んだとされる高橋克也容疑者(54)は、こんな指示を伝え聞いていたことが明らかになった。「魔法」はサリンの隠語で、漫画『魔法使いサリー』に由来するという。高橋容疑者は、犯行時にみた液体を「サリンとは思わなかった」と供述しているものの、警視庁では認識していた可能性が高いとみて調べを進めている。
調べに対し高橋容疑者は、連絡調整役だった井上嘉浩死刑囚(42)が「ちゃっちゃとまけ。魔法を使う」と、信者らへ指示していたのを聞いたと供述している。井上死刑囚はサリンについて、テレビアニメにもなった『魔法使いサリー』をもじって「魔法使い」「サリーちゃん」などと呼び、事件前には簡略化して「魔法」と表現したとみられる。
高橋容疑者はこれまでの調べで、運転手役だったことは認めている。さらに「車の中で茶色の液体を見たが、サリンは無色透明なので、違うと思った」と供述。サリン散布の目的を知らなかったとの主張で、犯意を否認しようとの意図が見え隠れする。
ただ、「本来は無色透明であることを知っているなど知識を持っている」(捜査関係者)ことから、サリンと認識していた可能性が高いとして、警視庁は詳しく事情を聴いている。
一方、地下鉄サリン事件をめぐり殺人容疑などで逮捕されたオウム真理教元信者の菊地直子容疑者(40)について、警視庁は、1994年12月の大阪市の男性会社員殺害など猛毒VX事件3件で、殺人と殺人未遂容疑で再逮捕する方針を固めた。菊地容疑者には、都庁郵便物爆弾事件でも逮捕状が出ており、同庁ではこれらの事件に関しても全容解明を進めていく。
サリーちゃんまけと指示された~高橋容疑者
2012年6月19日 10:52
地下鉄サリン事件の殺人などの疑いで逮捕されたオウム真理教元幹部・高橋克也容疑者が、地下鉄サリン事件の前夜に井上嘉浩死刑囚から「『サリーちゃん』をちゃっちゃとまけ」と、サリンの隠語を使って指示されたと話していることがわかった。
高橋容疑者は警視庁の調べに対し、地下鉄サリン事件の運転役だったことを認め、「サリンは無色透明だが、茶色の液体だったので違うと思った」などと話している。その後の調べで、高橋容疑者は事件前夜、現場指揮役の井上死刑囚から実行役の豊田亨死刑囚らと共に「サリーちゃんをちゃっちゃとまけ」とサリンの隠語を使って指示されたと話していることがわかった。
高橋容疑者は「よく聞き取れず、サリンとは思わなかった」と話す一方で、「騒ぎを起こすと思った」と話しており、警視庁はサリンの認識があったか調べている。
サリン送迎「井上死刑囚の指示」
2012.6.18 01:37
平成7年の地下鉄サリン事件をめぐり、殺人容疑などで逮捕されたオウム真理教元信者、高橋克也容疑者が警視庁の調べに対し、教団元幹部の井上嘉浩死刑囚(42)の名前を挙げ、「その指示でやった」などと供述していることが17日、捜査関係者への取材で分かった。
井上死刑囚は、教祖の麻原彰晃死刑囚らの下で犯行の総合調整役を務めており、高橋容疑者が所属した「諜報省」のトップだった。警視庁は、高橋容疑者が井上死刑囚から事前に犯行計画を伝えられ、サリン散布役を車で送迎するなどしたとみている。警視庁は17日、高橋容疑者を東京地検に送検した。
捜査関係者によると、高橋容疑者は事件当日の7年3月20日、散布役の一人で教団元幹部、豊田亨死刑囚(44)を車で送ったことなどは認めているが、「車内で茶色の液体を見たが、サリンは無色透明なので違うと思った」と供述。犯意の否認とも受け取れるため、警視庁が事情を聴いている。
また、高橋容疑者が川崎市の潜伏先から逃走した翌日の今月5日から13日までに12回、JR東日本のICカード「Suica(スイカ)」を使用した記録があることも判明。キャリーバッグを隠していたJR鶴見駅のコインロッカー代の出金記録とみられ、警視庁は高橋容疑者が13日まで鶴見駅周辺で潜伏し、バッグから荷物を出し入れしていた可能性があるとみている。
高橋克也容疑者「事件のこと話せない」 教団への帰依継続か
地下鉄サリン事件の殺人容疑などで逮捕されたオウム真理教元信者高橋克也容疑者(54)が「教団が引き起こした事件については、気持ちの整理がつかず話せない」と供述していることが18日、警視庁築地署捜査本部への取材で分かった。
高橋容疑者はサリン事件への関与の有無について、当初は「幹部の指示でやったが、目的は一部知らなかった」としていたが、その後は具体的な言及を避けている。
オウムの修行をめぐる雑談には応じ、留置施設では修行にも取り入れられた「蓮華座」と呼ばれる座り方をしており、捜査本部は教団への帰依を続けているとみている。
警視庁は役割解明のため、近く元幹部井上嘉浩死刑囚(42)や豊田亨死刑囚(44)から聴取。高橋容疑者には1995年2月に目黒公証役場事務長を監禁、死亡させた事件でも逮捕状が出ていることから、同事件の逮捕監禁罪で起訴された元幹部平田信被告(47)からも事情を聴く。
高橋容疑者は、サリン事件の実行役に計画を指示した井上死刑囚の側近で、サリンを散布した豊田死刑囚を車で日比谷線中目黒駅まで運んだとされる。
豊田死刑囚を車で運んだことは認める一方、「車の中で茶色い液体を見た。サリンは無色透明なので違うと思った」とも話しており、捜査本部は高橋容疑者が事件前から教団のサリン製造を知っていた可能性があるとみている。
[ 2012年6月18日 12:25 ]
高橋克也容疑者 松本死刑囚を「今でも信じている」
地下鉄サリン事件の殺人容疑などで逮捕されたオウム真理教元信者高橋克也容疑者(54)がサリン事件の直前、井上嘉浩死刑囚(42)から「チャチャを運べ」と指示を受けたと説明していることが18日、警視庁築地署捜査本部への取材で分かった。チャチャは教団内でサリンを示すとみられる。また、調べに対し「オウムの修行をするとパワーがみなぎる」などと供述していることも分かった。
高橋容疑者は「チャチャを運べ」という井上死刑囚の指示について「うまく聞き取れず、サリンとは思わなかった」と供述しているという。
井上死刑囚は、サリン事件の実行役に計画を指示した人物。高橋容疑者はその側近として、サリンを散布した豊田亨死刑囚(44)を車で日比谷線中目黒駅まで運んだとされる。
高橋容疑者はすでに16日、「車の中で茶色の液体を見た。サリンは無色透明なので違うと思った」と供述しており、事件前から教団のサリン製造を知っていた可能性が強まっている。警視庁は高橋容疑者の役割解明のため、近く井上、豊田両死刑囚から聴取を行う。
捜査本部によると高橋容疑者は「教団が引き起こした事件については、気持ちの整理がつかず話せない」と供述。
一方で、松本智津夫死刑囚(57)=教祖名麻原彰晃=を「今でも信じている」と初めて供述。オウムの修行をめぐる雑談には積極的に応じている。留置施設では修行に取り入れられた「蓮華(れんげ)座」と呼ばれる座り方をし「オウムの修行を積むとパワーがみなぎる」などと話しているという。
( 頭頂部に手/) また、数枚所持していた写真の中に、松本死刑囚が隣で正座する高橋容疑者の頭に手を置いている写真があることが分かった。ジャーナリストの江川紹子さんは「オウム信者にとって、頭頂部はエネルギーの出入り口。他の人に触られるのを極端に嫌がるほどの神聖な部位」と話す。オウムでは、教祖や位の高い者が低位の信者の頭頂部に触れ霊的エネルギーを送り込む「シャクティーパット」という1回5万円の儀式も存在した。
また「松本死刑囚と一緒に写真を撮ることができたのは古い幹部に多く新しい信者ではあまり聞かない。貴重な写真を大切に持ち歩いていたことから、神にも近い松本死刑囚への思慕が伝わってきます」と、写真の持つ意味を解説している。
東京地裁は18日付で高橋容疑者の勾留を認める決定をした。期間は26日まで。
[ 2012年6月19日 06:00 ]