鳩山元首相:「逸脱発言、一切していない」イランから帰国
毎日新聞 2012年04月09日 21時27分(最終更新 04月10日 09時51分)イランを訪問していた鳩山由紀夫元首相は9日、帰国後に国会内で記者会見し「今回の訪問で、政府の考えている線を逸脱するような発言は一切していない」と強調した。共同通信によると、イラン側は鳩山氏がアフマディネジャド大統領との会談で、国際原子力機関(IAEA)がイランなどに二重基準的な対応をしていると発言したと主張しているが、鳩山氏は会見で「全くの捏造(ねつぞう)だ。(イラン側に)遺憾だと伝えたい」と反論した。
鳩山氏は会見で大統領との会談での自らの発言について「NPT(核拡散防止条約)が、非核保有国の平和利用を査察するのは公平ではないことは承知しているが、日本は疑念を払うために(IAEAに約50年間協力し)原子力平和利用を進めてきた」と発言したとした。
鳩山氏のイラン訪問には「二元外交になる」などの批判が相次いだが、鳩山氏は会見で「首相経験者として国益にかなう、との思いで行った」と語った。同行者によるとイランでのすべての会談に外務省の駒野欽一駐イラン大使が同席したという。【木下訓明】
鳩山由紀夫元首相帰国会見「作られた捏造記事」
2012.4.9 23:59 [鳩山由紀夫]
政府の反対を振り切ってイランを訪問した民主党の鳩山由紀夫元首相は9日帰国し、国会内で記者会見した。アフマディネジャド大統領との会談について「有意義な議論をさせていただいた。政府の考える線を逸脱するような発言は一切していない」と強調した。
鳩山氏は8日にテヘランで大統領と会談し「核兵器のない世界の実現に向けお互い努力すること」を確認。イラン大統領府は、鳩山氏が会談で国際原子力機関(IAEA)について「特定の国々に二重基準を適用している。公平ではない」と述べたと発表した。
これについて鳩山氏は記者会見で「完全に作られた捏(ねつ)造(ぞう)記事であり、大変遺憾に思っている。こういう発言はしていないことを先方に伝えたい」と反論。「日本は国際社会の疑念を払う努力を進めてきた」と述べ、大統領にもIAEAの査察などへの協力を求めたことを強調した。
その上で核拡散防止条約(NPT)について「核保有国を対象とせず非保有国の平和利用に査察を行うのは公平ではないことは承知している」と断言。大統領に「NPTに入らないで核保有国になっている国にとって有利になっていることは承知しているが、非核の世界をつくるためにも国際社会との協力が必要だ」と述べたことも認めた。
鳩山氏によると、会談で大統領は、国連安全保障理事会常任理事国にドイツを加えた6カ国との14日の協議で、事態打開に向けた具体的提案を行う予定だと語ったという。
外相、鳩山氏に苦言
玄葉光一郎外相は10日午前の記者会見で、イラン訪問から帰国した鳩山由紀夫元首相と9日夜に電話で話し、「元首相ということで外(国)から見られるので、そのことによく思いを致してほしい」と、言動に慎重を期すよう求めたことを明らかにした。
藤村修官房長官は会見で、鳩山氏が国際原子力機関(IAEA)を批判したとイランで報じられたことに関し「(鳩山氏が)捏造(ねつぞう)記事だと言うなら、ご本人が抗議して解消すべきだ」と述べた。
これに対し、鳩山氏は同日開いた民主党鳩山グループの会合で「『要らん』ことをやってきたなと言われている」と発言し、失笑を買った。 (2012/04/10-12:35)
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201204/2012041000317