2012年4月9日12時14分
核兵器の開発疑惑が持たれているイランを訪問した民主党の鳩山由紀夫元首相は8日、アフマディネジャド大統領と会談した。イラン大統領府のウェブサイトは、鳩山氏が「国際原子力機関(IAEA)はイランなど一部の国に二重基準を適用しており、公正ではない」と述べたと伝えた。
会談に同席した大野元裕参院議員は、朝日新聞の取材に「そうした発言はなかった」と強く否定したが、鳩山氏のイラン訪問をめぐっては「二元外交」との批判があり、大統領ら要人との会談がイラン側に利用される懸念もあった。イラン側が、鳩山氏がイランの核開発への理解を示したと印象付けようとした可能性があり、波紋を呼びそうだ。
鳩山氏は会談後、テヘランに駐在する日本の報道各社と会見。大統領に対し、週末に予定されるイランと欧米などとの核協議に「柔軟な姿勢」で臨み、原油輸送の要衝・ホルムズ海峡の封鎖といった武力行使に出ないよう要請したことを明らかにした。
「二元外交」との批判に対して、鳩山氏は「国益に資することは何かを考えて行動している。政府と異なるメッセージを出したわけではない」と反論した。
鳩山氏は8日夜(日本時間9日未明)、空路で帰路についた。(テヘラン=北川学)
「IAEAは不公平」=鳩山氏発言として紹介-イランTV
【カイロ時事】民主党の鳩山由紀夫元首相は8日、イランのアハマディネジャド大統領とテヘランで会談した。イランの国営テレビ「プレスTV」(電子版)は、鳩山氏がこの中で、国際原子力機関(IAEA)について、イランを含めた特定の国々に二重基準的な対応をしており不公平だと述べたと報じた。
実際にこのような発言があったかは不明だが、報道からは、鳩山氏訪問を核開発正当化に結びつけようとするイラン側の意図がうかがえる。
大統領は会談で、核開発はあくまで平和目的との立場を強調した。国連安保理常任理事国にドイツを加えた6カ国とのこれまでの協議に関し、「提案された要求は一方的であり、交渉は双方向であるべきだ」と不満を表明する一方、イランと日本は核兵器廃絶に向けて協力できると語ったという。(2012/04/09-07:54)
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2012040900045
鳩山氏イラン訪問に不快感=藤村官房長官-公明・漆原氏も批判
藤村修官房長官は9日午前の記者会見で、民主党の鳩山由紀夫元首相がイランを訪れ、アハマディネジャド大統領と会談したことについて、「個人の立場でも、こういう時期に訪問をされない方がいい」と述べ、不快感を示した。
イランの国営テレビが、鳩山氏が会談の中で、国際原子力機関(IAEA)は不公平だと述べたと報じたことに関しては、「わが国としては、核問題解決に向けたIAEAの役割を重視している。イランに対し、IAEAへの完全な協力を求めている」と指摘した。
公明党の漆原良夫国対委員長もイラン側の報道を取り上げ、「元首相、しかも民主党の外交担当の最高顧問という立場だから、日本政府として間違ったメッセージを与えかねない」と鳩山氏を批判した。国会内で記者団の質問に答えた。 (2012/04/09-12:47)
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&rel=j7&k=2012040900341
イラン訪問、民主にも責任=茂木自民政調会長
自民党の茂木敏充政調会長は9日、鳩山由紀夫元首相がイランのアハマディネジャド大統領とテヘランで会談したことについて、「鳩山氏に一義的に問題があるが、止められなかった政府・民主党にも大きな責任がある」と指摘した。鳩山氏が国際原子力機関(IAEA)は不公平だと発言したとイラン国営テレビに報じられたことに関しても「行ったら確実に利用されると分かっていた。案の定そうなった」と述べた。仙台市で記者団に語った。(2012/04/09-22:17)
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201204/2012040900860