電力・電力卸11社、供給計画が異例の「未定」
原子力発電所を持つ国内電力会社と電力卸会社11社の今後10年間の電力供給計画が「未定」のまま国に提出される異例の事態となった。
未定の計画を提出したのは沖縄電力を除く9社と電源開発、日本原子力発電。東京電力福島第一原発の事故で定期検査入りした原発が続々と停止し、再稼働のめどが立たないためだ。国内の原発は3月26日に東電柏崎刈羽原発の全基が停止し、5月の北海道電力の泊原発3号機を最後に、国内54基のすべての原発が停止する見通しとなっている。
新設では、電源開発は大間原発の運転開始時期を未定とし、当初予定の2014年11月より遅れるとした。中国電力は島根原発3号機が今月、運転開始する予定だったが、東日本大震災で工事が中止となり、今回の供給計画で稼働時期は未定となった。
東電は、廃炉が決まっている福島第一原発1~4号機を4月19日に電気事業法に基づき、「廃止」とし、同原発7、8号機の計画中止を改めて供給計画に明記した。
原発がない沖縄電力だけは例年通り10年間の供給計画を提出した。
(2012年3月30日19時31分 読売新聞)
原発不透明で需給「未定」 沖縄除く電力11社計画
2012/3/30 23:42
電力卸を含む電力大手12社の2012年度の供給計画が30日までに出そろった。東京電力、東北電力、北陸電力、Jパワーの4社が同日、今後10年の電力需要や供給力の見通しを「未定」とした計画を国に提出した。停止中の原子力発電所の再稼働や新設原発の運転開始のメドが立たないことが主因。原発を持たない沖縄電力を除く11社すべてが「未定」となった。
各社は早期の再稼働を目指すが、国のエネルギー政策の動向が見通せないほか、立地自治体の反発もある。企業や家庭にどこまで節電が浸透しているかも不透明で、需給見通しの明示を避けた。
供給計画は需給見通しのほか発電所の設備計画などで構成。各社は原発停止を補うための火力発電などの増強も今回の計画に盛り込んだ。東電は燃料に液化天然ガス(LNG)を使う千葉火力と鹿島火力で、14年度までに合計約275万キロワット分の供給力を積み増す。
東北電も14年度までに秋田火力など3カ所で合計約100万キロワットを追加。九州電力は13年度に運転開始予定だった3000キロワット級のメガソーラー(大規模太陽光発電所)の出力を1万3000キロワットに増やす。
原発の新設計画も「未定」が相次いだ。東電は17年3月と20年以降を目指すとしていた東通原発1、2号機の運転開始を「未定」に変更。福島第1原発1~4号機を電気事業法に基づき4月19日付で廃止することも計画に明記した。
大間原発の稼働を14年11月に開始して事業参入する予定だったJパワーも「未定」とした。東北電も浪江・小高原発と東通原発2号機の着工と運転開始の時期を「未定」に変えた。
ほかに九電が川内原発3号機、中部電力は浜岡原発6号機、日本原子力発電は敦賀原発3、4号機の運転開始をそれぞれ未定とした。中国電力は島根原発3号機の運転開始、上関原発1、2号機の着工と運転開始の時期を未定に変更した。