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2011/11/21

オウム裁判、全公判終結  法務省は全員の刑確定後、死刑執行について検討に入るとみられる。

オウム裁判:遠藤被告の上告棄却、死刑確定へ 全公判終結
 地下鉄、松本両サリンなど4事件で殺人罪などに問われたオウム真理教元幹部、遠藤誠一被告(51)に対し、最高裁第1小法廷(金築誠志裁判長)は21日、被告の上告を棄却する判決を言い渡した。1、2審の死刑が確定する。教団を巡る一連の刑事裁判は、教団元代表の松本智津夫(麻原彰晃)死刑囚(56)ら幹部が逮捕された95年から16年余を経て、全公判が終結した。死刑を言い渡された被告は13人にのぼり、法務省は全員の刑確定後、死刑執行について検討に入るとみられる。




 小法廷は「残虐、非人道的で結果の重大性は比類ない。実行犯ではないが、教団幹部の立場で科学的知識を利用し重要な役割を果たした」と述べた。

 刑事訴訟法の規定で最高裁判決に対しては10日以内に訂正の申し立てができ、遠藤被告と18日に死刑維持の上告審判決のあった中川智正被告(49)には申立期間が残されているが、棄却されれば判決が確定する。

 坂本堤弁護士一家殺害(89年11月)、松本サリン(94年6月)、地下鉄サリン(95年3月)の「3大事件」をはじめとする一連のオウム事件では計27人が犠牲(08年施行のオウム真理教犯罪被害者救済法の認定死者などを除く)になり、6500人以上が負傷した。計189人が起訴され、これまで地下鉄サリン事件の実行役を中心に11人の死刑が確定した。遠藤、中川両被告の死刑が確定すれば、確定判決は死刑13人▽無期懲役刑5人▽有期の実刑80人▽執行猶予付き判決87人▽罰金3人▽無罪1人。

 松本死刑囚への1審・東京地裁判決(04年2月)は、松本死刑囚を計13事件の首謀格と認定した。事件の動機は「松本死刑囚が武装化で教団の勢力拡大を図ろうとし、ついには救済の名の下に日本国を支配して王になることを空想した」と指摘。「信者の資産を吸い上げて得た多額の資金を投下して武装化を進め、無差別大量殺りくを目的とする化学兵器サリンを散布して首都制圧を考えた」とした。

 刑事訴訟法は、死刑執行は判決確定から6カ月以内に命令しなければならないと定めているが、共同被告人の判決が確定するまでの期間は算入しない。一連の事件では逃走中の指名手配容疑者が3人いるが、法務省は「執行停止の理由には当たらない」としている。

 遠藤被告への1、2審判決によると、遠藤被告は94年5月~95年3月、松本、地下鉄両サリンのほか、教団の敵対者とみなした滝本太郎弁護士をサリンで、水野昇さんを猛毒のVXで、それぞれ襲撃した。【石川淳一】

◇ことば・オウム真理教

 84年2月に松本智津夫(麻原彰晃)死刑囚が設立した「オウム神仙の会」が前身。87年6月に名称変更し89年に宗教法人格を取得。同年~95年まで坂本堤弁護士一家殺害や松本、地下鉄両サリンなど一連の事件を起こし計27人が犠牲になった(刑事裁判上の認定。08年施行のオウム真理教犯罪被害者救済法で新たに1人が地下鉄サリン事件の死者と判断され、松本サリン事件の被害者、河野義行さんの妻澄子さんが08年に亡くなり死者は計29人)。95年10月に東京地裁が宗教法人の解散を命令。その後、主流派の「アレフ」と、上祐史浩元幹部が設立した「ひかりの輪」に分裂し、布教活動を続けている。

毎日新聞 2011年11月21日 11時09分(最終更新 11月21日 13時36分)







平岡法相、オウム裁判での死刑囚に対する刑執行「慎重に判断していかなければ」

 平岡法相は、22日の会見で、オウム真理教による一連の事件の死刑囚に対する刑の執行について、「慎重に判断していかなければならない問題だ」と述べた。
平岡法相は「重大な判決が出ているわけで。(死刑執行は)慎重に判断していかなければならない問題であるというふうに思っております。一般論ですけれどもね」と述べた。
死刑をめぐっては、2010年7月を最後に執行されておらず、平岡法相は、これまで慎重な姿勢を崩していない。
オウム真理教による一連の事件の裁判は、21日の元幹部・遠藤誠一被告(51)の判決が確定することで終結し、今後は、死刑を言い渡された首謀者の麻原彰晃こと松本 智津夫死刑囚(56)ら13人の刑の執行が焦点になる。
(11/22 17:06)




オウム裁判、事実上終結 遠藤被告の上告棄却
    http://www.chunichi.co.jp/s/article/2011112190120625.html





オウム元幹部の死刑執行、法相「慎重に判断」
2011/11/22 19:33

 オウム真理教の元幹部13人の死刑が確定することを受け、平岡秀夫法相は22日の閣議後の記者会見で「非常に厳しい判決が出ている。死刑執行は慎重に判断しなければならない」と述べた。昨年7月を最後に死刑は執行されていないが、オウム裁判の終結で、執行再開に向けた検討が本格化する可能性もある。

 一連の事件で死刑判決を受けたのは、松本智津夫死刑囚(麻原彰晃、56)をはじめとする元教団幹部13人。

 刑事訴訟法は判決確定から6カ月以内の執行を定めている。ただ実際は判決から6カ月以内の執行はまれで、年単位の時間がかかるのが一般的。共犯者の裁判が続いている間は執行しないのが基本だが、オウム事件では起訴された共犯者の裁判は全て終了した。逃亡中の指名手配者3人がいるものの、執行を妨げる特段の事情にはならないとの見方が多い。

 13人のうち最初に死刑が確定したのは岡崎一明死刑囚(現姓・宮前、51)で、松本死刑囚が続く。確定順の執行という原則に従って教祖より弟子を先行させることには、異論も根強い。被害者の一部には「弟子はマインドコントロールの支配下にあった。死刑は教祖1人にすべきだ」との声もある。過去には確定順と異なる執行例もあり、判断は全面的に法相に委ねられている。

 千葉景子元法相は死刑を巡る議論を後押しするため、法務省内に死刑のあり方を検討する勉強会を設置したほか、刑場公開にも踏み切った。

 その後の江田五月前法相は「悩みながら勉強中」として在任中に執行せず、平岡法相も就任当初、「勉強会の中身をよく勉強したい」などと、早期執行に消極的な姿勢が目立つ。現在、確定囚は戦後最多の125人に達している。






「松本死刑囚以外の執行やめるべき」 被害者弁護団が声明
 2011/11/21 13:49
 オウム真理教被害対策弁護団とオウム真理教家族の会(旧称・被害者の会)、日本脱カルト協会の3団体も21日、判決後に共同で記者会見した。

 各団体は死刑判決を受けた13人のうち、松本智津夫死刑囚以外の12人の死刑を執行すべきではないとの声明をそれぞれ発表。事件の証人として警鐘を鳴らし続ける役割を担わせるべきだと主張した。声明は法務省などに提出した。

 殺害された坂本堤弁護士の友人で、自らもサリンの襲撃を受けた滝本太郎弁護士(54)は会見で「死刑囚を許すものではないが、12人にはまだやるべきことがある」と話した。家族の会会長の永岡弘行さん(73)も「死んでしまいたいという信者もいるが、おまえたちにはまだ義務があるといいたい」と話した。