【ワシントン時事】米国のクリントン国務長官とガイトナー財務長官は21日、英国、カナダと協調したイランに対する包括制裁措置を発表した。イラン中央銀行を含む同国の全金融機関との取引を制限するほか、石油・石油化学などイランの主要産業にも制裁を加え圧力を強める。
イラン核開発への懸念が高まっていることを受けた措置で、イランの全金融機関と石油化学分野を制裁対象とするのは初めて。原油取引決済の大部分は中銀を経由して行われていることから、イラン経済への大きな打撃が見込まれるほか、日本の原油輸入にも影響が及ぶ恐れもある。
(2011/11/22-11:49)
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201111/2011112200085
米、イランに追加制裁 核疑惑受け石油化学産業も対象関連
2011年11月22日13時35分
オバマ米政権は21日、イランが核兵器の開発を続けているとして、同国の石油化学産業を対象とする新たな制裁措置を発表した。また、イラン中央銀行を含む金融機関が、資金洗浄などの不正行為にかかわっているとして、取引を控えるよう米金融機関に警告した。
クリントン国務長官とガイトナー財務長官が、米国務省でそろって発表した。新たな制裁は、イランにとって原油輸出に次ぐ収入源とされる石油化学産業を対象とし、同産業に必要な技術や資材の提供を米企業に禁じた。また、核関連産業の資材調達などを担う11企業を特定し、これらの企業との取引も禁止した。
一方、英国のオズボーン財務相は21日、イランの中央銀行を含む金融機関と、英金融機関との取引を即日禁止とする措置を表明。カナダも石油化学産業を対象とする制裁を発表した。
米政府はこれまでも、イランの石油産業への投資禁止などの制裁を重ねている。今回は、イランの核開発継続を示唆した国際原子力機関(IAEA)の報告を受けて追加制裁に踏み切ったが、イランとの経済関係が深い中国やロシアの反発が予想される。(ワシントン=望月洋嗣)
米英加がイランに新たな経済制裁 マネーロンダリング懸念
2011.11.22 Tue posted at: 15:16 JST
(CNN) オバマ米政権は21日、イランに対する新たな経済制裁措置を発表した。クリントン米国務長官は会見で、今回制裁の対象となったのはイランの石油化学、原油、ガス産業としたうえで、イランに「マネーロンダリング(資金洗浄)に関わっているとの懸念がある」と指摘した。また、今回の追加制裁に英国とカナダが同調している点について「こうした措置がイランと同国の資金源や違法な活動に対する圧力を高める」と述べた。
これに先だって英財務省は同日、国内金融機関に対し、イランの金融機関との取引を行わないよう求めている。英国がイランに対してこうした措置をとるのは初めて。カナダもイラン政府とのほぼすべての金融取引を禁止するなどの措置を発表した。
仏サルコジ大統領は同日、欧州連合(EU)とその加盟国、米国、日本、カナダなどの国々に対し、イラン中央銀行の資産凍結などを呼びかけていた。EU外交筋によれば、EUは来週米国と同様の制裁を決定する見込み。しかし、フランスはさらに踏み込んだ内容の制裁にしたい意向だという。
米政策サイドは当初イラン中央銀行に対する制裁を検討していたが、原油市場への影響を考慮して今回の制裁内容に落ち着いた経緯がある。また、民間企業に対しイランとの取引を禁止する措置がすでに発動されていたが、この経済制裁の実効性を問う声も議会から上がっていた。クリントン国務長官は「イランに対する制裁は今回の措置で終わるわけではない。さらに積極的な措置を今後も検討する」と述べた。
イランの核開発をめぐってはIAEA(国際原子力機関)が18日に「イランの核プログラムに関する未解決の問題に対して深刻な懸念があり、かつ懸念は増大している」とする決議を発表している。
米、英、カナダがイランに新たな制裁措置 IAEA報告受け
2011年11月22日 14:26 発信地:ワシントンD.C./米国
【11月22日 AFP】国際原子力機関(IAEA)がイランの核開発計画を示す証拠を含むとする報告書を発表したことを受けて、欧米諸国は21日、イランの中央銀行とエネルギー部門を標的にした新たな制裁措置を発表した。
イランの核開発疑惑に対する国連の制裁措置が中国とロシアの反対で阻止されたことから、米国と英国、カナダが、制裁を実施することを決めた。
新たな制裁は、特に、イラン中央銀行を標的にしている。イラン中央銀行は、イランのエネルギー売却益がイラン政府に流れる上で重要な役割を果たしている。イランのエネルギー売却益は、イラン政府予算の約70%を占めているとされ、イラン経済全体にとっても不可欠な収益だ。
バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領は声明で「イランが危険な道を歩み続ける限り、米国は、協力国との協調や、独自の行動を通じて、イラン政権を孤立化し圧力を強めるための方策を模索し続ける」と述べた。
オバマ大統領の発表は、2週間前のIAEA報告書を受けたもの。同報告書は、これまでで最も踏み込んでイランの核兵器開発の可能性を非難した内容だった。
(c)AFP/Andrew Beatty
米英加、対イラン追加制裁 金融機関との取引停止など
2011/11/22 11:24
【ワシントン=芦塚智子】米政府は21日、イランへの新たな経済制裁を発表した。マネーロンダリング(資金洗浄)の主要な懸念先として同国を認定し、個人や企業がイランの石油・石油化学産業に物資や技術を提供することを禁止した。英国とカナダも米国と協調し、中央銀行を含むイラン金融機関との取引停止などの措置を発表。国際金融システムからイランをさらに孤立させることを狙う。
国際原子力機関(IAEA)が今月初め、イランの核開発に軍事利用の可能性を示唆する報告書を発表したのを受けた措置。オバマ米大統領は声明で「イランが危険な孤立への道を進む限り、米国は圧力強化を継続する」と警告した。
米政府はイランの中央銀行の資産凍結などの制裁を見送った。原油価格や世界経済への影響を懸念したとの見方があるが、ガイトナー財務長官は記者会見で「イラン中銀への追加制裁の可能性を含むあらゆる選択肢を排除しない」と今後の可能性には含みを残した。同時に、イラン金融機関との取引が核開発やテロ支援などを助長しかねないとして、各国金融機関に取引を控えるよう呼び掛けた。
新たな制裁ではイランの核開発に関与しているとしてイラン企業11社を対象に追加。イランの石油化学産業への圧力強化策として、クリントン国務長官は各国政府に石油化学製品の購入先をイランから他国に変えるよう求める方針を表明した。ただ、米銀は既にイランの金融機関との取引を禁じられており、今回の措置の効果を疑問視する声もある。