2011年11月20日
全面停止から半年が過ぎた中部電力浜岡原発(御前崎市)で、放射性物質を含む使用済み燃料の処理が重要課題に浮上してきた。安全な処理は、川勝平太知事が再稼働の条件に挙げる。しかし、国の核燃料サイクルの根幹となる再処理施設の稼働は先が見えず、中電が計画する使用済み燃料貯蔵施設も福島第一原発事故で見通しが立ちにくい状況にある。(福田大展)
中電によると、浜岡原発にある使用済み燃料は8月末現在、燃料集合体で6625本、ウラン量で1126トン。原子炉建屋にある燃料プールの水の中で、臨界によって生じた熱が冷めるまで置かれる。
3~5号機が再稼働した場合、年間80トンの使用済み燃料が発生する見込み。青森県六ケ所村で試験運転中の国内唯一の再処理工場が稼働しても、浜岡からの受け入れ量は年間70トン。それを超える年間10トンを管理していく必要がある。
中電は1、2号機の廃炉と6号機の新設という「リプレース(置き換え)計画」を発表した2008年12月、使用済み燃料の貯蔵施設を敷地内に建てる計画も立てた。再処理を超える燃料と、1、2号機にある燃料の置き場を確保するため。原発の外に用地を求めると時間がかかるとの判断もあった。
貯蔵容量は700トン。建設には3年程度かかり、16年度に使用を始める計画。経済産業省総合資源エネルギー調査会の作業部会会議録によると、中電は10年度の許可申請を目指していた。
中電は中日新聞の取材に対し、09年度に着手した地質調査を11年度上半期にほぼ終え、データ分析などの準備が整えば、国に安全審査を求めると説明した。ただ、福島第一原発事故で環境は様変わりし、東海地震の震源域に立つ浜岡原発への目は厳しくなった。
中電は、国による原子力安全庁新設や手続き改正もにらんで対応する考え。「環境的には厳しいが、目標年度に向けて頑張りたい」と強調する。
中電は再処理と敷地内貯蔵を合わせて「25年分は計画がある」としているが、貯蔵された燃料は6ケ所村の施設の後継となる「第2再処理工場」に運ぶことが前提になる。
だが、六ケ所村の再処理工場はトラブル続きで20回近くも計画延期を繰り返し、再処理で生まれる高レベル放射性廃棄物を埋設する最終処分場は候補地が決まっていない。中電の原子力部幹部は「再処理できなければ、日本で原子力をやる大きな意味がなくなってしまう」と話すが、“核のごみ”の置き場所がない状態が福島第一原発事故後も続いている。
埋設は非常識
京都大原子炉実験所の小出裕章助教の話 再処理工場が稼働するめどは立っておらず、高レベル放射性廃棄物を地中に埋めるなんてもってのほか。使用済み燃料の中の核分裂生成物は膨大な危険をはらんでいる。100万年閉じこめなければいけないが、現在の科学では保証できない。
使用済み燃料 原子炉で使用された後の燃料棒。複数本をまとめた燃料集合体の状態で管理される。福島第一原発事故では、当初4号機の使用済み燃料プールが原因で水素爆発したとみられていたが、東京電力は10日、爆発した水素は3号機から配管を通って流入したとの見解を発表した。
使用済み燃料の貯蔵施設 中電が採用するのは、青森県むつ市の施設と同じキャスク方式。原子炉建屋のプールで冷やされた燃料を金属製容器に収容し、専用建屋で貯蔵する。容器には水が入らず、表面熱を自然な空気の流れで冷やす。乾式貯蔵と言われる。
使用済み燃料 原子炉で使用された後の燃料棒。複数本をまとめた燃料集合体の状態で管理される。福島第一原発事故では、当初4号機の使用済み燃料プールが原因で水素爆発したとみられていたが、東京電力は10日、爆発した水素は3号機から配管を通って流入したとの見解を発表した。
使用済み燃料の貯蔵施設 中電が採用するのは、青森県むつ市の施設と同じキャスク方式。原子炉建屋のプールで冷やされた燃料を金属製容器に収容し、専用建屋で貯蔵する。容器には水が入らず、表面熱を自然な空気の流れで冷やす。乾式貯蔵と言われる。