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2011/11/18

スペインの金融機関が保有する不動産融資は3080億ユーロで、その約半分が「不良化」している。

スペイン:「売却できない」不動産資産、中小銀行の経営リスクに
更新日時: 2011/11/18 10:26 JST
11月18日(ブルームバーグ):不動産融資債権の圧縮を求められているスペインの銀行業界は、約300億ユーロ(約3兆1000億円)規模の「売却できない」不動産を抱えている。サンタンデール銀行など6行のリスクアドバイザーが指摘した。

  金融サービスに特化した企業戦略を助言するマック・グループのマネジングディレクター、パブロ・カントス氏はインタビューで、「事業がすべて国内で展開し、不動産事業の伸びに頼ってきた中小規模の銀行が本当に不安だ。スペインは大手4行しか残らないだろう」と語った。

  スペインの金融機関が保有する不動産融資は3080億ユーロで、その約半分が「不良化」している。中銀は昨年、不良債権処理で取得した不動産向けの引当金積み増しを銀行に義務付ける規制強化を実施。4年に及ぶ低迷から市場が回復するのを待たずに資産を売却するよう圧力をかけた。

  カントス氏は「へんぴな」土地や未完成の住宅物件は売却までに40年もかかると指摘。サンタンデール銀とビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリア銀行(BBVA)、ラ・カイシャ、バンキアといった大手行だけが不動産関連の損失を計上しても存続できるだけの健全性を備えていると分析している。

  20日の総選挙の結果、野党・国民党のマリアノ・ラホイ党首が予想通り首相に就任すれば、銀行への風当たりは強まる見通し。同党首は同国の景気回復を与信拡大で後押しするため、スペイン銀行システムの「不良債権処理と事業再編」を最優先課題に掲げている。

 http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920015&sid=ajMaH4kDAUbU