ページ

2011/07/27

早期に賠償に応じれば、「奨励金」としてさらに数万元が加算されるという。

中国高速鉄道:事故遺族に600万円支払い 年収の25倍
 【北京・工藤哲】中国国営新華社通信(電子版)によると、中国浙江省温州市で23日に起きた高速鉄道事故の賠償金について、福建省出身の男性(29)の遺族が50万元(約600万円)を受け取ることで合意したと伝えた。中国都市部の市民の平均年収約2万元の25倍で、高額の賠償金で素早く支援し、遺族らの不満を抑え込むことで早期の幕引きを図る狙いもあるとみられる。



 中国紙によると、従来の国内の保険規定では、保険未加入の場合で賠償として最高17万元(約200万円)と見積もられてきた。今回の合意額はそれを大幅に上回る。

 男性の父親は既に他界。母親は自宅で暮らしている。賠償金には家族の扶養費や葬儀代なども含まれており、早期に賠償に応じれば、「奨励金」としてさらに数万元が加算されるという。

 ただ、インターネット上では、この額では収まらないとの指摘もあり、他の遺族との賠償交渉は難航する可能性もある。

 また新華社通信によると、浙江省温州市の警察当局は26日、死者39人のうち28人の名簿を発表した。外国人死者が3人含まれており、イタリア人女性と中国系米国人男性とみられる名前がある。死者39人は、衣類などで身元が特定されたとしている。

毎日新聞 2011年7月26日 21時50分(最終更新 7月27日 0時07分)





中国、事故賠償の早期合意に奨励金 「幕引き狙い」批判も
2011/7/27 0:36
 
【上海=菅原透】中国国営通信の新華社は26日、温州市で起きた高速鉄道事故で家族1人を失った一遺族と、当局が50万元(約610万円)の賠償金を支払うことで合意したと伝えた。早期の受け入れを条件に「奨励金」として数万元を上積みした額という。当局が賠償問題の幕引きを狙っているとの批判も出ており、他の遺族が同様に受け入れるかどうかは不透明だ。

 鉄道省の規定は、遺族に37万2千元以上の賠償金を支払うよう求めている。さらに遺族の交通費や埋葬費などを合わせて45万元未満が支払額の一つの目安という。今回50万元の支払いで合意したということは、奨励金は少なくとも5万元以上となる計算。当局は「今後7~10日以内での妥結を目指す」としている。

 ただ、インターネット上では早くも「奨励金とは何事だ」「人命はこんなに安いのか」などと批判的な書き込みが相次いでいる。中国メディアも「死亡者1人あたり100万元以上は必要だ」との弁護士の話を紹介。今後、賠償交渉が難航する可能性もある。

 一方、中国当局は26日、事故直後に土中に埋めた先頭車両を含め、現場に残されていた車両や残骸を搬出。今後、専門チームを中心に本格調査に乗り出す方針だ。ただ、車両はショベルカーなどで粉砕されるなどしており、事故原因の究明につながる調査ができるかどうかは不透明だ。







中国高速鉄道事故 遺族に不満の声
7月26日 9時49分
中国で起きた高速鉄道の事故で、中国政府は、列車の運転を再開したり、けがをした乗客への支援を発表したりして万全の対応を強調していますが、犠牲者の遺族からは、政府から説明がないことや行動の監視が始まっていることに、不満の声が出ています。

この事故は、23日、中国東部の浙江省温州で、落雷が原因で停車していた高速鉄道の列車に後続の列車が追突し、脱線、転落したもので、死者の数は39人に上っています。

この事故について、国営の中国中央テレビは、25日夜のニュースで、事故が起きた路線で列車の運転が再開されたことを伝えるとともに、「正常」ということばを繰り返し、復旧をアピールしました。また、今回の事故でけがをした乗客の心のケアを行うため、およそ20人の専門家からなる対策チームを立ち上げたことも伝え、中国政府は、万全の対応を取っていると強調しています。

その一方で、事故で犠牲になった乗客の遺族からは、政府から今後の対応や事故の原因などについて一切説明がないという不満の声が出ています。

親族を事故で亡くした遺族の男性は、NHKの取材に対し、「先進的な技術のはずなのに、どうして事故が起きたのか説明してほしい」と話していました。また、別の女性は「国民のために何でもするなんて口ばかりだ。遺族をそれぞれ違うホテルに入れている。おかしなことだ」と話していました。

遺族らは、家族ごとに、別々のホテルに分けられて滞在しており、遺族が集まるため、連絡を取りあって外出しようとすると、警察関係者とみられる人物に尾行されるということです。こうした動きについて、遺族からは、政府が行動を監視して集団で批判することを妨げようとしているとして、不満の声が出ています。







中国鉄道事故 遺族が抗議行動
7月26日 18時4分
中国で起きた高速鉄道の事故の遺族らは、25日夜に地元政府の庁舎前に集まり、事故原因の究明などを求める抗議行動を行いました。

25日夜、温州市政府の庁舎前には今回の事故の遺族ら数十人が集まり、事故で妻や子どもなどを亡くしたという男性が「鉄道省は逃げるな。何もしてくれない」と訴え、事故の原因などについて遺族にきちんと説明するよう訴えました。これに対し、地元政府の担当者が対応に当たりましたが、遺族らは納得せず、鉄道省の責任者がきちんと説明するよう求め、抗議しました。今回の事故を巡っては、遺族らの抗議の動きが伝えられるのは初めてで、中国政府は、今後、こうした抗議の動きが広がり、政府に対する不満が高まらないよう神経をとがらせるものとみられます。