ページ

2011/07/26

批判の対象はいずれも鉄道省。世論の怒りの矛先を同省に向け、指導部に火の粉が降りかかるのを避けようとする意図も透けて見える

中国メディア、高速鉄道事故を相次ぎ批判 当局容認か
2011/7/26 11:40

 中国メディアは鉄道当局に批判的な報道を繰り返している。中国ではすべてのメディアが共産党の管理下にあり、相次ぐ報道からは事故の「加害者」である鉄道省への批判を当局がある程度、容認していることがうかがえる。

 共産党機関紙、人民日報系の日刊紙である環球時報(英語版)は26日、1面トップで「答えがないことに遺族の怒りが山積」との見出しを掲げた記事を掲載。いまだに犠牲者の数を特定できていない問題などを挙げ、鉄道省の誠意のない対応を厳しく批判した。

 北京を中心に発行する日刊紙、新京報は同日付で「中国の高速鉄道の運転士は訓練期間が短すぎるのではないか」と問題提起した。日本の新幹線は少なくとも半年の訓練期間を経て運転士になるが、中国ではわずか10日の訓練で高速鉄道の運転士になった例もあるとして安全性に疑問を投げかけた。

 批判の対象はいずれも鉄道省。世論の怒りの矛先を同省に向け、指導部に火の粉が降りかかるのを避けようとする意図も透けて見える。(北京=高橋哲史)






中国鉄道事故 遺族が抗議行動7月26日 18時4分
中国で起きた高速鉄道の事故の遺族らは、25日夜に地元政府の庁舎前に集まり、事故原因の究明などを求める抗議行動を行いました。

25日夜、温州市政府の庁舎前には今回の事故の遺族ら数十人が集まり、事故で妻や子どもなどを亡くしたという男性が「鉄道省は逃げるな。何もしてくれない」と訴え、事故の原因などについて遺族にきちんと説明するよう訴えました。これに対し、地元政府の担当者が対応に当たりましたが、遺族らは納得せず、鉄道省の責任者がきちんと説明するよう求め、抗議しました。今回の事故を巡っては、遺族らの抗議の動きが伝えられるのは初めてで、中国政府は、今後、こうした抗議の動きが広がり、政府に対する不満が高まらないよう神経をとがらせるものとみられます。
 















死者数発表に記者怒る、逃げる鉄道部長を袋だたきか=中国高速鉄道事故
2011/07/26(火) 18:18
 中国大手検索サイト百度の掲示板「百度貼〓(口へんに巴)」に、24日に開かれた浙江省温州市で起きた高速鉄道事故関連の記者会見で、鉄道部の王勇平報道官の発言をきっかけに記者が怒り出し、会見会場から逃げ出そうとした盛光祖・鉄道部長が記者らに袋だたきになったとの情報が書き込まれた。この掲示板の内容やリンク先はすでに削除されている。波蘭華人網など海外の中国語メディアが伝えた。

 報道各社に対し、中国共産党中央宣伝部は「報道各社は鉄道部が発表する情報をタイムリーに報道し、独自報道を控えること。特に、傘下の新聞、出版物、ウェブサイトをしっかり管理し、高速鉄道に関連するリンクを制限し、反省報道を行わないこと。死傷者の人数や状況に関する情報は、新華社の原稿に基づいて報道すること」などと通達した。

 王報道官は記者会見で、「今回の追突事故のうち、D3115列車には558人、D301列車には1072人の乗客がいた。事故による死者は35人、負傷者は192人、負傷者のうち132人が入院した。事故の具体的原因は、調査・分析中」と発表。博訊新聞網は「死者が36人未満となっているのは、死者36人以上の事故が起きた場合、市共産党委員会書記が更迭されるという理由による」と指摘した。

 救援作業に携わったある作業員は、「死者は一部報道が伝えている41人に収まる訳がない。具体的には言えないが、100人前後だろう。というのも、われわれのチームだけでも20数体の遺体を運んだからだ」と話している。

 王報道官は記者会見の席上で、「被害者の名簿がいつ公表されるのか」という記者からの質問に対し、「その時になれば、必ず公表する」と答えた。(編集担当:松本夏穂)

【関連記事・情報】