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2011/04/18

「最近の武装勢力は、タリバンや(国際テロ組織)アルカイダなどさまざまなグループが入り交じり、パキスタン軍の影響力がますます及ばない状態だ」

パキスタン・アフガン:対タリバン和解合同委の設置で合意
 【ニューデリー杉尾直哉】パキスタンのギラニ首相は16日、訪問先のカブールでアフガニスタンのカルザイ大統領と会談し、アフガンの旧支配勢力タリバンとの和解を目指す合同委員会の設置で合意した。米軍が両国で、タリバンを含む武装勢力掃討作戦を進める中、パキスタンとアフガンはそれぞれの事情もあり「米国抜き」の和平構築を狙っている可能性がある。




 ギラニ首相は、会談後の共同会見で「我々は兄弟であり、両国民はこれ以上(武装勢力による攻撃に)苦しむべきではない」と述べ、合同委設置の意義を強調した。

 パキスタンでは先月17日、米国が同国北西部で無人機による空爆を実施したが、多数の民間人が死亡する誤爆だった。住民の反米感情が一層強まり、パキスタンはアフガン問題に関する米国、アフガンとの3カ国政府間会議(同26日)を欠席している。

 一方、アフガンでは、カルザイ大統領が2010年以降、国民和平会議(ピース・ジルガ)の開催や、高等和平評議会の設置でタリバンとの和解を探ってきたが、成功していない。タリバンの最高指導者オマル師との和解を視野に入れているが、オマル師は対米強硬派とされ、「タリバン和解」の試みは米国など国際社会に受け入れられていないのが大きな要因だ。

 合同委設置は、7月に予定されるアフガンからの米軍撤退開始をにらみ、パキスタン・アフガン主導の治安確保を探る目的もある。アフガンは、武装勢力が潜むパキスタン側からの協力を得る必要性にも迫られていた。

 しかし、アフガン国境に接し部族支配地域でもあるパキスタン北西部は、事実上パキスタンの政府や軍の支配が及ばない。軍が昨年、米側の強い要請を受けて武装勢力掃討作戦を実施して以降、軍や軍情報機関ISIを狙ったテロ攻撃も続発している。

 地元ジャーナリストは「最近の武装勢力は、タリバンや(国際テロ組織)アルカイダなどさまざまなグループが入り交じり、パキスタン軍の影響力がますます及ばない状態だ」と指摘しており、合同委設置により、タリバンとの和解促進につながるかは疑問視する向きが強い。

毎日新聞 2011年4月18日 東京朝刊