東京電力福島第1原発の事故で、細野豪志首相補佐官と東京電力、経済産業省原子力安全・保安院などは25日、共同記者会見を開いた。細野補佐官は「(放射性物質を含む蒸気を外部に放出する)ベントのやり方で、政府と東電で十分なコミュニケーションが取れなかった」と、初動時に関係者間の意思疎通に問題があったことを認め、初期の事故対応について検証する意向を表明した。
また補佐官は「津波に対する備えや、電源装置の備えは全く十分でなかった。すべてが検証対象に入り、当然改める部分が出てくる」と述べた。
共同会見にはほかに、原子力安全委員会と文部科学省が参加。同委員会は、多くの予測結果が得られながら、大部分の情報が公開されずにいた放射性物質の拡散推計システム「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)」の過去のデータと、今後のデータをすべて公表すると発表した。
補佐官は「これまで個別の会見で重複や齟齬(そご)があったので、一元化することで正確性を期していきたい」とした。
同補佐官は政府と東電の事故対策統合本部で事務局長を務めている。
2011年04月25日月曜日
政府、福島第1原発事故の収束に向け中心的役割担う=細野首相補佐官
2011年 4月 26日 6:02 JST
【東京】福島原発事故対策統合本部の事務局長を務める細野豪志首相補佐官は25日、福島第1原発の事故収束に向けた9カ月間の工程表の実現には政府も大きな責任を負っているとの見解を示した。細野首相補佐官はまた、東電に対する批判も明らかにした。
細野首相補佐官のこの日の発言は、東電の費用負担の下で、政府が果たす指導的役割についてこれまでで最も明確に示すものとなった。
細野首相補佐官は、政府と東電の福島原子力発電所事故対策統合本部の初の共同記者会見で、東電が既に発表している事故の収束に向けた工程表について「政府も実質的にかかわった」として、工程表の実現には政府も大きな責任を負っているとの認識を示した。
一方、東電は同日、福島第1原発事故による財務面での影響に対処するなか、役員報酬は会長や社長ら最大で総報酬から5割を減額すると発表した。また、労働組合員の年収については約20%削減するという。
25日の共同記者会見では、細野首相補佐官が主に質問に答えた。同補佐官は東電の事故後の初動対応について批判したが、東電の対応時間は改善していると示唆した。
細野首相補佐官は、海水を利用した原子炉の冷却や蒸気を外部に放出するベントといった措置に関する判断の遅れに言及し、東電に関して「大きな判断をすることは、やりにくい社風があった」と指摘した。その上で、そうした保守的な態度は危機の状況では容認できず、東電はそうした遅々とした以前のような体質はもはや持ち合わせていないとの見方を示した。
記者会見は経済産業省の原子力安全・保安院、原子力安全委員会、文部科学省と東電の関係者が出席。会見に出席した東電の代表者は、細野首相補佐官の発言にコメントしなかった。