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2011/04/12

東京株式市場大引け=続落

日本株続落、相次ぐ余震や原発懸念で33業種売り-下落率上位は資源


 4月12日(ブルームバーグ):東京株式相場は続落。東日本大震災後も余震が収まらない上、東京電力・福島第1原子力発電所事故の深刻さも再確認され、企業の生産活動や景気への悪影響が懸念された。東証1部33業種はすべて安く、国際商品市況の下落もマイナスとなった鉱業など資源関連は、業種別下落率の上位を占めた。

  TOPIXの終値は前日比13.83ポイント(1.7%)安の838.51、日経平均株価は164円44銭(1.7%)安の9555円26銭。



  ちばぎんアセットマネジメントの桶矢正嗣運用部長は、「震度5以上の地震が立て続けに起きるなど、大震災1カ月経過後も通常の状態に戻れない」と指摘。災害からの復旧が遅れ、「生産活動へのしわ寄せが出る最悪シナリオを市場は想定し始めた」と言う。

  震災による生産への悪影響を完全に取り除けない中で、昨夕からきょうにかけて何度も余震が続いた。11日午後5時すぎ、推定規模マグニチュード7.0の大きな地震が発生し、茨城県南部で震度6弱を観測。また、12日午前や午後にも、千葉県沖や福島県を震源とする震度5弱や震度6弱の地震が相次いだ。

  クレディ・スイス証券の白川浩道チーフエコノミストは、「被災地工場のダメージが当初想定比より深刻であるほか、かなり大規模の余震が頻発していることもあって、生産能力の正常化が後ずれするリスクが高まっている」と指摘した。


業績下振れ懸念、「レベル7」

  アナリストからも、生産や業績への影響を指摘する声が出ている。SMBC日興証券では、東日本大震災の影響を考慮してトヨタ自動車をはじめ完成車メーカーの業績予想を軒並み引き下げた。ゴールドマン・サックス証券では、足元の液晶テレビの需要が想定以上に弱いなどとし、シャープや旭硝子、日本電気硝子の業績予想を減額修正。ガラス株だけでなく、半導体部材関連でも下げが目立った。

  また、原子力安全・保安院は12日、福島第1原発の事故について、国際的な基準に基づく事故の評価を最悪の「レベル7」に引き上げる、と発表。これを受けて為替市場ではリスク回避の円高が進み、午後には日経平均株価が206円安まで下げる場面もあった。

  カブドットコム証券の山田勉マーケットアナリストは、「チェルノブイリ級の事故だったということで、日本政府に対する不信感が高まることになる。日本製品が海外で売れにくくなるほか、観光産業にも影響が出そう」との認識を示している。もっとも、事故評価の深刻さは事前に一部で伝えられていた面があったほか、海外の事故認識に日本が追いついてきたとも受け止められ、先物への売り圧力一巡後に株価指数はやや下げ渋った。


 米決算始まる

  一方、市場では始まったばかりの米国企業の決算内容を見極めたいとのムードも強かったようだ。米アルミニウム生産最大手のアルコアの1-3月(第1四半期)決算は、一部項目を除いた1株利益がアナリスト予想を1セント上回ったが、売上高は下回り、株価は時間外取引で下落した。きょうの日本株安の一因について、ちばぎんアセットの桶矢氏は「決算期待が相場下支えとなっていた米国株に対する警戒もある」と話していた。

  幅広い業種が売られる中、東証33業種の下落率上位には鉱業、石油・石炭製品、非鉄金属、卸売など資源関連株が並んだ。国際通貨基金(IMF)は11日発表した最新の世界経済見通しで、2011年の米国の経済成長率予想を3%から2.8%へ下方修正。これを受けた同日のニューヨーク原油先物5月限は、前週末比2.5%安の1バレル=109.92ドルと急落し、商品市況の下落が響いた。

  東証1部の売買高は概算で22億3146万株、売買代金は同1兆4159億円。値上がり銘柄数は133、値下がりは1485。


更新日時: 2011/04/12 15:29 JST