2011年4月12日 21時43分
日本遺族会(会長・古賀誠元自民党幹事長)は12日の理事会などで、国から無償貸与を受け運営している九段会館(東京都千代田区)を国に返還する方針を決めた。近く国に申し入れる。
九段会館は東日本大震災で天井が崩落し女性2人が死亡した。震災以降は休館している。遺族会は「1934年に完成した古い建物で本格的な耐震工事には数十億円が必要。遺族会が維持管理するのは困難」と判断した。
九段会館の建物は、法律により国が遺族会に無償貸与。戦死した軍人の遺族が靖国神社を参拝する際の宿泊先などとして利用されてきた。遺族会は事務局を同会館に置いており、返還により移転が必要となる。
建物は洋風建物に和風の瓦屋根を載せた「帝冠様式」。「軍人会館」として建てられ、1936年の陸軍青年将校らがクーデターを企てた二・二六事件では戒厳司令部が置かれた。終戦後は接収した連合軍が宿舎などに使用。返還後、国が遺族会への貸与を決めた。宿泊施設のほか結婚式場、ホール、レストランなどがある。
(共同)