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2011/04/12

野豪志首相補佐官を「原発災害担当相」に起用=菅首相、公明党幹部に電話

細野氏を原発災害担当相に=公明幹部に伝える-首相
 菅直人首相は12日、東京電力福島第1原発の放射能漏れ事故の対応を強化するため、細野豪志首相補佐官を「原発災害担当相」に起用する方針を固めた。既に公明党幹部にこうした意向を伝えた。細野氏は事故後、政府の窓口として東電や米軍などとの間で調整役を担っており、事故処理の長期化が避けられない情勢を踏まえて、起用が適当と判断した。

 首相は先に野党側に示した閣僚枠の3増を念頭に置いているとみられるが、閣僚増には内閣法を改正しなければならない。野党の理解が得られなければ現閣僚の退任が必要となる。

 公明党幹部によると、首相は11日に斉藤鉄夫幹事長代行に電話し、「原発問題で頑張っている細野補佐官にしっかりした立場を与えたい。原発災害担当相に起用したい」と表明、協力を求めた。斉藤氏は「話は理解した。山口那津男代表に伝える」と答えた。(2011/04/12-13:38)

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2011041200340



「細野原発相」に与野党困惑=菅首相の唐突提案、実現は微妙
 菅直人首相が細野豪志首相補佐官を「原発災害担当相」に起用する意向を公明党幹部に伝えたことが12日、波紋を広げた。閣僚増員に必要な内閣法改正について与野党の調整がつかない中での、唐突な提案だったためだ。首相が与党内に根回しした形跡もなく、民主党からも「真意が分からない」(幹部)と戸惑う声が上がっている。

 公明党幹部によると、首相は11日昼に同党の斉藤鉄夫幹事長代行に電話した。補佐官として政府と東京電力の調整役を担っている細野氏の仕事ぶりを評価した上で、「しっかりした立場を与えたい。原発災害担当相にしたい」と語った。

 しかし、民主党の岡田克也幹事長は12日午後、都内で記者団に、「細野担当相」について「そういう事実はない」と否定。安住淳国対委員長も記者会見で「話の中で誤解が生じたのではないか」と述べ、沈静化を図った。

 菅内閣の閣僚は、内閣法が定める上限の17人いる。細野氏を閣僚に登用するには、現在の閣僚を1人辞めさせるか、内閣法を改正する必要がある。民主党幹部は「自民党が『やる』と言ってくれないと、法改正は進まない」と指摘。自民党幹部は「法案(の調整)より先に他党と人事の話をするなど、理解できない」と首相を批判しており、細野氏の起用が実現するかは微妙だ。

 細野氏の閣僚起用案に関し、首相は12日の会見で事実関係をただされ、「(細野氏には)大きな仕事をこれからもやっていただかなければならない」などと答えたが、詳細な説明はしなかった。(2011/04/12-20:40)
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2011041200953



首相、突然の「細野原発相」案 民主幹事長「ガセだ」
2011/4/12 19:03
 菅直人首相が細野豪志首相補佐官を福島第1原子力発電所問題を担当する閣僚に起用する――。与野党に12日、こんな情報が駆け巡った。出所は首相から電話を受けた公明党幹部。与党や自民党に事前の相談はなく、民主党幹部や首相周辺は火消しに追われた。

 「細野原発相」の発端は公明党が12日午前に国会内で開いた幹部会。斉藤鉄夫幹事長代行が11日に首相から電話で「細野氏を原発担当相にしたい」と伝えられたことが話題になった。斉藤氏は公明党の原発災害対策本部長。政界に数少ない東工大卒の首相の後輩だ。

 首相は11日に、海江田万里経済産業相に「原子力経済被害担当」を兼務させたばかり。慌てたのは民主党幹部や首相周辺だ。

 岡田克也幹事長が速報を伝え聞いたのは与野党の震災対策の実務者会合に出席中で、記者団には「ガセだ。そういう事実はないと聞いている」と否定。安住淳国会対策委員長は「様々な誤解が生じたのかもしれない」と弁解した。細野氏本人も周囲に「何も聞いてない」と打ち消しに努めた。

 17の閣僚枠が埋まっている現状で、閣僚を新設するには誰かと入れ替えるしかない。政府・民主党は17の閣僚枠を最大で20に増やす内閣法改正案の国会提出を検討中だ。岡田氏が4日に改正案を野党に示した際、例示したのは復興担当相や沖縄・北方担当相など3ポストで「原発相」は含まれていなかった。

 自民党の大島理森副総裁は12日、記者団に「何も聞いていない。思いつき的なものなら何をかいわんやだ」と批判した。

 首相は同日夕の記者会見で細野氏の閣僚起用を問われ「まだまだ大きな仕事をやってもらわれなくてはならない」とはぐらかした。





原発担当相に細野氏起用方針、「唐突」と不信感
 菅首相が原発担当相を新設し、細野豪志首相補佐官の起用を検討しているのは、東京電力福島第一原子力発電所事故の対応を強化し、沈静化に向けた日米連携を円滑に進めるためと見られる。

 しかし、首相が政府・与党内に根回しした形跡はない。野党の公明党幹部を通じて首相の構想が伝わるのも極めて異例で、民主党幹部らは不信感を募らせている。

 原発事故を巡り、首相は政府と東電で作る統合本部の本部長を自ら務めるなど陣頭指揮を執ってきた。ただ、東日本大震災から1か月を機に「復興構想会議」を設置するなど、被災地の復興計画策定に軸足を移しつつある。このため、原発担当相を置いて引き続き万全を期す姿勢をアピールしつつ、対応を一任したいとの思いがあるようだ。

 そこで浮上したのが細野氏だ。細野氏は原発事故発生後、東電に常駐して首相官邸とのパイプ役を務め、日米の連絡調整会議の統括役も担ってきた。首相は、原発行政を所管する経済産業省に強い不信感を持っているとされ、「海江田経済産業相に代わって首相の信頼が厚い細野氏に原発行政を任せるつもりではないか」(党幹部)との観測もある。

 しかし、首相の唐突な行動には冷ややかな視線が注がれている。民主党の岡田幹事長は12日、「各党・政府震災対策合同会議」の実務者会合で、「私は知らない」と不機嫌そうに語ったという。党政調幹部も「現場がやりにくくなるだけだ」と吐き捨てた。

 首相が公明党の斉藤鉄夫幹事長代行に電話で細野氏の起用を相談したことも、波紋を広げている。斉藤氏は首相と同じ東京工業大理学部出身で、「首相とは原発事故発生以来、携帯電話で度々助言する仲」とされる。だが、私的なパイプで野党に接近を図る首相の姿勢に、公明党からは「同窓会感覚で政府を動かされたらたまらない」(幹部)と警戒する声が出た。

 首相は、自民党の谷垣総裁に大連立を打診した際も、党内から「唐突だ」と批判を浴びた。その後、震災担当相など閣僚3人を増員する内閣法改正を提案したが、自民党は「責任と権限を一元化することにつながらない」(谷垣氏)と態度を硬化させている。このため、法改正ではなく閣僚の1人を細野氏と交代させ、担当を見直す案も取りざたされている。

(2011年4月13日09時23分 読売新聞)