菅首相(民主党代表)が東日本巨大地震と東京電力福島第一原子力発電所での事故を受け、自民党の谷垣総裁に原発問題担当相としての入閣を要請していたことが18日、明らかになった。
谷垣氏側は拒否した。
これに関連し、民主党の岡田幹事長は同日、国会内で開いた「各党・政府震災対策合同会議」で、閣僚の3人増員を柱とする内閣法改正を提案した。3ポストは原発問題担当と復興担当、被災者支援担当が念頭にあるとみられ、野党側も大半は増員には賛成する方向だ。
谷垣氏への入閣要請は、首相周辺から関係者を通じて自民党幹部に伝えられた。谷垣氏側は「入閣は大連立と同じで、責任の所在が不明確になるだけだ」として拒否した。
これを受け、首相は与党から新ポストへの起用を目指す意向だ。仙谷由人官房副長官や国民新党の亀井代表らの名前が取りざたされている。
岡田氏は合同会議で、副大臣、政務官、首相補佐官を増やすことも提案した。
(2011年3月19日03時06分 読売新聞)
「震災入閣」自公が拒否
2011年3月19日 夕刊
民主党が、東日本大震災への対応強化に向けて目指している閣僚の三人増員に関し、自民、公明両党に入閣を打診していたことが十九日、分かった。震災対策に集中できるよう安定した政権基盤をつくるのが目的。野党が受け入れれば、三つの増員枠はすべて両党に渡す考えだという。ただ、事実上の大連立となるため、野党側は拒否している。
関係者によると、野党からの入閣は菅直人首相自らが発案。十六日夜に民主党の岡田克也幹事長と仙谷由人官房副長官(当時代表代行)が極秘に自民党の大島理森副総裁、石原伸晃幹事長と都内で会談し、打診した。
会談で、仙谷氏らは震災対策を含めた内閣機能を強化するため、閣僚の上限を十七人と定めた内閣法改正への協力を要請。その際、「大地震を乗り越えるために野党も協力してほしい。できるなら閣内に入ってもらう方がいい」と持ち掛けたという。民主党は三つの増員枠のうち、自民に二、公明に一の閣僚ポストを用意する考え。復興担当相など新設ポストに限らず、従来の閣僚ポストを渡すことも想定している。
これに対し、自民党の谷垣禎一総裁は十九日午前、党本部で記者団に、入閣要請された場合の対応について「そういうことは考えていない」と述べ、拒否する考えを示した。公明党も入閣に否定的だ。
入閣要請、自民は拒否=政策抜きの大連立に反発
菅直人首相は19日午後、自民党の谷垣禎一総裁と電話で会談し、東日本大震災への対応に関し「国家的危機への責任分担をしてもらえないか」と述べ、副総理兼震災復興担当相としての入閣を要請した。これに対し、谷垣氏は「あまりにも唐突な話だ。今は体制をいじるときでなく、被災者支援、原発対応に全力を尽くすべきだ」と拒否した。子ども手当など民主党の主要政策に反対していることを踏まえ、連立政権への参加は有権者の理解を得られないと判断した。
ただ、谷垣氏は「これからも震災復旧に惜しむことなく閣外で協力する」と述べ、被災者の生活支援や被災地の復興には積極的に取り組む考えを伝えた。
首相が入閣を要請したのは、震災や福島第1原子力発電所の放射能漏れ事故に対応するには、「大連立内閣」をつくり、与野党の総力を挙げる必要があると考えたためだ。一方、谷垣氏には入閣した場合、深刻化した原発事故の責任を共に負わされかねないとの強い警戒感もあったとみられる。(2011/03/20-01:00)
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201103/2011031900260