ロシア、インドの原子力供給国グループ(NSG)の正式加盟を支持
メドベージェフ露大統領:印の核供給国入り支持 NPTの形骸化、加速も
【ニューデリー杉尾直哉】ロシアのメドベージェフ大統領は21日、インドを訪問した。シン首相と会談し、過去10年間の戦略的パートナーシップを今後も継続することで合意した。ロシア側は、インドの国連安保理常任理事国入りを支持したほか、米国やフランスに続き、核物質や原子力技術の輸出を管理する「原子力供給国グループ」(NSG、日本など46カ国)へのインドの正式加盟に支持を表明した。
NSGは74年のインドの核実験を受け、核拡散防止条約(NPT)の不備を補うために作られた。しかし、オバマ米大統領が11月の訪印時に初めてインドの正式加盟を訴え、今月訪印したフランスのサルコジ大統領も同調。核大国ロシアがこれに続いた格好だ。ただ、加盟が実現すれば、NPT加盟を拒否するインドの核保有を黙認することになる。NPTが形骸化するとの批判は根強く、世界的な議論が高まりそうだ。
今年は米英仏中露の首脳による訪印が相次ぎ、台頭著しいインドとの関係強化を狙う主要諸国の姿勢が目立った。ロシアは、3月にもプーチン首相が訪問しており、インド重視を際立たせた。
21日の首脳会談では、15年までに両国の貿易額を現在の2倍以上の200億ドル(約1兆7000億円)規模に引き上げる目標を設定。共同会見でメドベージェフ大統領は「いかなる国家もテロリストをかくまうことはできない」と語り、インドが「テロ支援国」と非難するパキスタンを暗に批判してみせた。
毎日新聞 2010年12月22日 東京朝刊