2010.11.12 11:00
沖縄・尖閣諸島沖の中国漁船衝突をめぐる映像流出事件で、神戸海上保安部(神戸市)の主任航海士である海上保安官(43)が警視庁捜査1課の聴取に対し、「持ち出しに使用した外部記憶媒体のUSBメモリーは壊してゴミ袋にいれて捨てた」と説明していることが12日、捜査関係者への取材で分かった。保安官が乗務する巡視艇「うらなみ」のパソコンに外部の記憶媒体を接続した形跡があったことも判明。捜査1課は保安官が映像を取り出した可能性があるとみて調べている。
捜査1課は12日も国家公務員法(守秘義務)違反の疑いで保安官から事情聴取を行う方針。
捜査関係者によると、保安官は映像の入手時期について「9月下旬から10月上旬の間だった」と説明している。捜査1課は、保安官が映像について「秘密に当たる」と認識し、証拠隠滅を図った可能性もあるとみて調べている。
映像は、9月8日ごろに編集され、石垣海上保安部(那覇市)から第11管区海上保安本部に届けられた。その後、研修用として海上保安大学校(広島県呉市)を通じて神戸海保を管轄する第5管区海上保安本部に届いたとされる。
10月18日に管理徹底が指示されたことから、映像は共有パソコン内から消去されたが、約1カ月間は誰でも閲覧できた可能性があるという。神戸海保の職員は捜査1課に対し、「巡視艇内でも映像を閲覧できた」などと説明している。
保安官はこれまでの取り調べに対し、今月4日に神戸市のインターネットカフェで動画サイト「ユーチューブ」に映像を投稿した後、5日朝に自宅のパソコンから削除したなどと説明していた。11日の保安官宅への家宅捜索でUSBメモリーは発見されておらず、捜査1課は自宅から押収した私用パソコンの解析を進めている。