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2013/11/24

【防空識別圏】 ヘーゲル国防長官「尖閣諸島は日米安全保障条約5条の適用対象 日本を含む地域の同盟国と緊密に協議していく」 【試されたアメリカ】

米国防長官「事態を不安定化」 中国の防空識別圏 

2013/11/24 17:37
【ワシントン=共同】米政府は23日、中国が沖縄県・尖閣諸島を含む東シナ海上空に防空識別圏を設定したことに対し、東アジアの緊張を高めるとして「強い懸念」を中国側に伝えた。ホワイトハウス国家安全保障会議(NSC)が声明で発表した。ケリー国務長官、ヘーゲル国防長官もそれぞれ中国を批判する声明を出した。


 米外交・安全保障の司令塔であるNSCと両長官が一斉にこうした声明を出したのは異例。尖閣諸島をめぐる日中の対立が海だけでなく空でも先鋭化し、緊張が高まることへの強い危機感が背景にある。

 ヘーゲル氏は声明で、尖閣諸島は日本防衛義務を定めた日米安全保障条約5条の適用対象との立場をあらためて言明。識別圏設定は、日本の施政下にある同諸島など東シナ海の現状変更をにらみ、事態を「不安定化させる試み」と強く非難した。ケリー氏も現状変更に向けた中国の「一方的行動」と批判した。

 米政府は尖閣諸島の領有権については中立を保ち、中国にも一定の配慮を示してきた。尖閣問題は、来月上旬にバイデン副大統領、来年4月にオバマ大統領がそれぞれ訪日する際にも焦点となりそうだ。

 ヘーゲル氏は識別圏設定について、誤解や誤算に基づく偶発的な衝突などを招く危険性を高めると警告。今後の対応について「日本を含む地域の同盟国と緊密に協議していく」と強調した。

 中国には外交ルートだけでなく、軍事チャンネルも使って深い懸念を伝えたことも明らかにした。ただ、米軍の作戦行動には「変更はない」としている。

 ケリー氏は、国籍不明機や中国の命令に従わない航空機に対し、防空識別圏内で戦闘機の緊急発進(スクランブル)など脅しをかける行動を取らないよう中国に自制を求めた。





中国、米の本気度試している…防空識別圏に懸念

読売新聞2013年11月25日(月)07:35
 【ワシントン=今井隆】米ホワイトハウスは23日、中国が沖縄県・尖閣諸島を含む東シナ海に防空識別圏を設定したことについて、中国政府に「強い懸念」を伝えた。

 ケリー国務長官、ヘーゲル国防長官もそれぞれ声明を発表し、中国を強くけん制した。米政府は日本政府と協議し、対応策を検討する。

 ヘーゲル氏は声明で「(米国の対日防衛義務を定めた)日米安全保障条約第5条が尖閣諸島に適用されるという米国の長年の政策を再確認する」と述べるとともに、「中国の今回の発表によって、米国の地域での軍事作戦のあり方が変わることは全くない」と、中国にくぎを刺した。日米関係筋によると、国防長官名で公表した文書に尖閣諸島への「5条」適用を明記したのは、極めて異例だ。

 ケリー氏は声明で「東シナ海の現状を変えようとする一方的な行動だ」と中国を批判した。

 国務、国防両長官がそろって素早く声明を発表したのは、挑発をエスカレートさせる中国への強い危機感の表れだ。今回の中国による行動は「米国が日本を本気で守る考えがあるのか試している」(日米関係筋)との側面があり、米政府として毅然とした態度を取る必要があった。





領土問題

中国「防空識別圏」設定はアメリカのリスク

Why Are Japan and America So Concerned?
尖閣諸島も「防空識別圏」に含めた中国に日本は猛反発。中国の本気度は未知数だが
2013年11月26日(火)15時34分
ジョシュア・キーティング

 中国政府は23日、東シナ海で戦闘機による緊急発進(スクランブル)の判断基準となる「防空識別圏」を初めて設定したと発表した。問題は、その地域に沖縄県・尖閣諸島が含まれていることだ。同地域は日本の防空識別圏にも設定されている。今回の発表を機に、日中間の軍事的な緊張が一段と高まるのではないかとの懸念が強まっている。

 国防省の楊宇軍(ヤン・ユージュン)報道官は同日、防空識別圏の設定は「いかなる特定の国や目標を想定したものではない」と主張した。しかし、これを額面通りに受け止めるのは難しい。中国側は、防空識別圏を飛ぶすべての航空機はその身元を明らかにしなければならないとし、中国の指令に従わない航空機に対しては「防御的な緊急措置を講じる」可能性があると強調した。

 予想通り、今回の発表を機に日中間では非難合戦が高まっている。またジョン・ケリー米国務長官も、今回の中国の決定に「深い懸念」を表明した。

 今回設定した防空識別圏を技術的に守る力が中国にあるかどうかは測りきれない部分もある。そもそも今回の動きは本気なのか、それとも尖閣諸島に関してより強い姿勢を打ち出すべきだとする国内の強硬派をなだめるための政治的ジェスチャーに過ぎないのか。

 発表と時を同じくして、中国は情報収集機を尖閣諸島周辺に派遣。日本の航空自衛隊が戦闘機を緊急発進させる事態となった。幸い、中国機がすぐに退去したので緊迫した状況は早々に収まったが、 偶発的な事故や行き過ぎた行為がいかに簡単に制御不能の状態にエスカレートし得るかを示唆する一件となった。

 アメリカでは、尖閣諸島をめぐる対立についてはあまり報じられないし、アメリカ人は概して日中両国が思っているほどこの問題を気にかけていない。しかし好むと好まざるとに関わらず、アメリカは今後もこの問題に巻き込まれるだろう。そして日中双方の感情の高まりを見る限り、大半のアメリカ人が思っているよりはるかに危険な状況にあると言えるだろう。

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