リビアの米領事館襲撃で米大使が死亡
2012年 9月 12日 19:49 JSTリビア東部のベンガジにある米領事館が11日、暴徒化した群衆の襲撃を受け、クリストファー・スティーブンス駐リビア米国大使と3人の米国人が死亡した。AP通信が伝えた。
11日にはエジプトでも、カイロの米大使館が襲撃を受けた。
混乱は、米国で製作されたイスラム教の預言者ムハンマドを冒涜(ぼうとく)したとされる映画への抗議行動がきっかけ。
http://jp.wsj.com/World/Europe/node_510916?mod=WSJFeatures
UPDATE1: 駐リビア米大使、領事館襲撃で死亡 米国は強く非難
2012年 09月 13日 00:24[ベンガジ(リビア) 12日 ロイター] リビアの東部ベンガジで11日夜、群衆による米領事館襲撃を受けて避難しようとしていたスティーブンス駐リビア米国大使と3人の大使館職員がロケット弾攻撃により死亡した。国際武装組織アルカイダとつながりのある武装集団が攻撃したとみられている。
米国で制作された映画がイスラム教の預言者ムハンマドを侮辱していると抗議する群衆によりベンガジの米領事館が襲撃されたことを受け、大使らは自動車で安全な場所に避難しようとしていたところを、車両ごとロケット弾で攻撃された。
これに先立ち、隣国エジプトの米大使館でも、同じ米映画に抗議する群衆が集まり、米国国旗を引きずり下ろした上、燃やす事件が起きていた。
ベンガジの当局者はロイターに対し「武装集団によるロケット弾攻撃により、米大使と3人の職員が死亡した」と語った。
リビアの治安当局筋によると、アルカイダとつながりのあるイスラム教スンニ派の集団による攻撃とみられている。目撃者によれば、群衆にはその他の武装集団も含まれていたもよう。
今回の事件は、米国とリビアの外交関係やカダフィ政権崩壊後のリビアの治安情勢、さらにはイスラム諸国全体の不安定化などをめぐり、問題を提起する格好となった。
オバマ米大統領は「卑劣な攻撃」として事件を強く非難するとともに、各国に駐在する米外交官の安全対策を強化するよう命じた。
リビア議長が謝罪表明 駐リビア米大使、襲撃で死亡
2012/9/12 23:22【イスタンブール=花房良祐】リビア東部ベンガジで11日夜から12日未明にかけて起きた米領事館襲撃事件に絡み、スティーブンズ駐リビア米大使が死亡していたことが12日、分かった。他に3人の公館関係者も死亡した。オバマ米大統領は声明で4人の死亡を認めて襲撃を非難。リビア制憲議会のマガリエフ議長は謝罪を表明した。民主化運動「アラブの春」で独裁政権が崩壊した中東は治安が悪化する国が多く混乱拡大の懸念もある。
襲撃事件の背景は明らかになっていないが、インターネットの動画投稿サイトにユダヤ系米国人がイスラム教の預言者を冒涜(ぼうとく)する映像を投稿したのがきっかけとなったもよう。現地の報道などによると、問題の映像は「イスラム教徒の無邪気さ(イノセンス・オブ・ムスリム)」と題されたもの。預言者ムハンマドと女性の奔放な関係を滑稽な様子で映し出している。偶像崇拝を禁じるイスラム教はムハンマドを描写することも許されない。
リビアの隣国エジプトの首都カイロでは11日、この映像に抗議する数千人が米国大使館前で集会を開いた。リビアでも怒った群衆が米領事館を狙ったとみられる。イスラム過激派か旧カダフィ政権支持者が関与した可能性もある。
リビア当局の説明によると、大使は領事館から自動車で安全な場所に避難しようとしたところを攻撃された。中東の衛星テレビ局アルジャズィーラは11日午後11時半ごろから群衆が米領事館をロケット弾や小銃などで攻撃したと報道。群衆は当初、領事館を警備するリビアの治安当局と衝突し、激しい砲撃で治安部隊は撤収せざるを得なかったという。約35人の公館関係者は避難したが、大使のほか少なくとも3人が死亡した。
アルジャズィーラは砲撃を受けた米領事館の映像も放送。建物や自動車が黒焦げになり、内部は群衆に荒らされていた。
スティーブンズ大使は米国務省の職業外交官。アラビア語に堪能な中東の専門家でエジプトやサウジアラビアでの勤務経験もある。昨年秋まで続いたリビアの内戦で反体制派を支援した米国政府の外交政策にかかわった。
米国はリビアとエジプトの今回の一連の事件を強く非難している。ただ中東では独裁政権の崩壊に伴い民衆の抗議活動が過激化しやすい。混乱が続けば、各国が進める民主化プロセスにも影響を及ぼしそうだ。
リビアでは内戦終結後に武器の回収が思うように進まず、当局の治安維持能力の低さも露呈した形だ。ただ同国の現時点の在留邦人は大使館関係者も含めて十数人で、大きな危険にはさらされていないもよう。「アラブの春」の内戦で退避した総合商社や資源開発会社の日本人駐在員はほとんど戻っておらず、カイロなどからの出張ベースでリビア事業を手掛けている。
リビア米領事館襲撃:イスラムの反発拡大の恐れも
毎日新聞 2012年09月12日 23時52分【カイロ前田英司】リビア東部の主要都市ベンガジで11日夜起きた米領事館襲撃事件は、イスラム教の預言者ムハンマドを侮辱する米映画に反発したイスラム教徒らの攻撃で駐リビア米大使が死亡する事態に発展したが、イスラム社会の反発は今後、さらに拡大、激化する恐れがある。また、米メディアによると、問題の映画はイスラエル系米国人の製作と判明、怒りの矛先は米国だけでなく、イスラエルにも向く可能性がある。
米紙ウォールストリート・ジャーナルなどによると、映画はイスラエル系米国人のサム・バジーレ氏(52)が製作した。約100人のユダヤ人から500万ドル(約3億9000万円)の寄付を集め、昨年、米カリフォルニア州で3カ月かけて撮影したという。バジーレ氏は「これは宗教映画ではない」と主張、イスラムの「偽善」を訴えるために製作したとして、「イスラムはがんだ」などと訴えた。
偶像崇拝を否定するイスラム教は預言者ムハンマドを具象化すること自体、禁じている。映画はムハンマドの性描写を含んだり、暴力的に描いたりしており、イスラム教徒の感情を逆なでしている。
7月初めから短い「予告編」が動画投稿サイトに公開され、本編は約2時間に及ぶ。イスラム教の聖典コーランを燃やして物議を醸した米国のテリー・ジョーンズ牧師や、米国に住むエジプト人のキリスト教徒らが宣伝しているという。
ロイター通信などによると、チュニジアの首都チュニスでは12日、米大使館前に抗議の人々が集まり、警備が強化された。アフガニスタン当局は混乱を回避するため動画投稿サイトを遮断し、問題の映画を閲覧できないようにした。一方、エジプトのイスラム原理主義組織ムスリム同胞団は14日の金曜礼拝後、全土で大規模デモを開催するよう呼びかけた。
リビア国民議会のマガリエフ議長は12日、大使死亡について米国に謝罪した。また、シャリフ副内相は領事館を襲撃した暴徒について「(昨年の民主化闘争で崩壊した)カダフィ前政権の残党だ」との見方を示した。リビアではカダフィ体制打倒の過程で流出した大量の武器が回収できず、武装グループが民兵化して治安を不安定にしている。
2012年04月30日20時50分
世界福音同盟、コーラン焼却を非難
テリー・ジョーンズ牧師、WEAの説得に応じず
世界福音同盟(WEA)は28日、米フロリダ州ゲインズビルの牧師テリー・ジョーンズ氏がイランで牧師が拘束されている件に抗議するためにイスラム教の聖典コーランを焼却した行為を非難する声明を発表した。
WEA代表のジェフ・タニクリフ博士は「聖典の焼却は間違った、不当な行為です。コーランの焼却はイスラム教徒の方々にとってとりわけ嘆かわしいことであり、聖書的価値観を反映したものでも、私たちキリスト教徒が仕える主イエスの霊に沿った行為でもありません。世界中のイスラム教指導者の方々に対して、今回テリー牧師がイスラム教に敵意を抱いて行った行為は、キリスト教徒を代表する行為ではないことを理解していただきたいと思います。実にテリー牧師はイエス様が『全ての人を愛しなさい』と呼びかけられている御言葉に違反する行為を行いました。このような暴力は私たち全てを傷つける行為です」と述べた。
テリー氏のコーラン焼却はタニクリフ博士含む世界福音同盟(WEA)代表陣らとの会合の立った1日前に開かれた同氏との個人的な話し合いの後に生じた。
タニクリフ博士は個人的にテリー氏と会話し、北米キリスト教指導者らの言葉を聞いて倣うように説得を試みていた。会合では、イスラム教国のキリスト教牧師からも彼の行為に関する懸念の声が聞かれた。
WEAによると、マレーシアクアラルンプールの教会牧師のダニエル・ホー氏、およびWEAグローバル大使のブライアン・スティラー博士、米オーランドノースランド・チャーチ牧師のヨエル・ハンター博士らとともに、会合において、テリー氏がコーラン焼却を行わないように要求したという。WEA指導陣らは、テリー氏と約90分間話し合いの時間を持ったという。
テリー氏は2010年9月に初めて公式的にコーランを焼却を予告したことで世界の注目を浴びた。2011年4月にはオンライン上でイスラム教の模擬裁判を行い、コーランを複製した書物を焼却した。それから数日間のうちに、22人の国連職員および9人の反体制運動家らがアフガニスタンで殺害され、パキスタンでは2人が殺害された。また教会の襲撃や聖書の焼却等も生じた。
テリー氏は現在イランの刑務所で死刑判決が下されているキリスト教牧師ユセフ・ナダルカニ氏の問題についてもイラン政府に対して解放を呼び掛ける運動をしている。ナダルカニ氏はイランでイスラム教徒を伝道しようとしたことから、冒とく罪が言い渡されていた。ナダルカニ氏は死刑判決が下され、死刑執行を待ちながら生活する状態にあり、米国政府、カナダ政府その他各国政府が状態を深刻に見守っている。
しかしながら、テリー氏はWEA会員たちとの会合において、イランナダルカニ牧師の件について、単に「イスラム教に抗議する良い機会である」と述べたという。
タニクリフ博士およびその他WEA指導陣との会合の中で、テリー氏はドイツケルンで30年間を過ごした後、愛する祖国アメリカが道徳的な退廃状態にあることに気づき、また弱体化した教会によって弱められ、力のない政府によって弱体化し、さらにイスラム教聖職者やシャリア法が侵食していく危機にあることに気付いたことを打ち明けた。テリー氏は、コーランを冒とくすることでイスラム教を侮辱し、「アメリカを目覚めさせる」ためにするべきことをするように「神は私に語られている」と話していることをWEA会合で説明したという。
28日の会合ではテリー氏と密度の濃い会合が行われ、WEA指導陣は聖書的価値観、イエスのように生きることが私たちの生であることを伝え、他国のキリスト教徒への影響を配慮し、テリー氏の論理を再考する時間を持った。
「テリー氏はアメリカへの愛がありますが、過去のアメリカのあり方とアメリカのあるべきあり方を混乱しておりました。テリー氏はWEAの会合でキリストに従う者でありながら、これ以上公正に他者を愛するべきであることを信じようとせず、実現可能な戦略に乗ろうとはしませんでした。マレーシア牧師のホー氏がテリー氏に『あなたがコーランを焼却されたことで、私がマレーシアで殺されたとして、あなたがマレーシアに来てなぜコーランを焼却したのか私の家族と顔と顔を合わせて説明することができますか?』と尋ねたところ、テリー氏は沈黙していました。またイスラム教国のキリスト教指導者たちに会ったことがあるか尋ねたところ、テリー氏は笑いました。このような国々のキリスト教徒に対し、テリー氏の聖典焼却行為がどのような影響を与えるかについて尋ねたところ、テリー氏は『私の責任ではありません』と答えました」とWEAは伝えている。
聖書的価値観、イエス・キリストによる召しとテリー氏の行いの関係については、テリー氏は会合でアブラハムとモーセを引用し、「狂ったことを行ってきた聖書的人物の例です。神が私にそのようにするように言われたのです」と説明したという。WEAによると、彼の精神の中心には「神が私にそうするように言っている」との強い信念があるという。
タニクリフ博士は「私は世界を旅行しながら、イスラム教徒とキリスト教徒の緊張が高まっているのを認識しています。しかしながら、私たちは相互に尊敬し、違いを乗り越えていく努力が不可欠であり、どのように相互に尊敬し合いながら、平和の中に生きることが重要であるかを模索していくだけでなく、キリスト教教徒としてイエスの道を歩み、彼の愛の中に留まることがとても重要です」と伝えている。