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2012/08/04

エボラウィルス感染の疑いで治療を受けていた囚人が病院から脱走

エボラ感染疑いの囚人が病院から脱走 ウガンダ

2012.08.04 Sat posted at 12:56 JST
ウガンダ・カガディ(CNN) ウガンダでエボラウイルスへの感染が疑われ、病院で治療を受けていた5人の囚人のうちの1人が3日夜、エボラ出血熱が発生している病院から脱走した。ウガンダの衛生当局が明らかにした。

保健省の理事を務めるジャクソン・アムネ医師は「(脱走した囚人の)検査結果が陽性の場合は、深刻な事態となる。そこで残りの囚人4人が逃げないようにベッドに手錠でつなぐことにした」と語った。囚人たちには嘔吐(おうと)、下痢、発熱といったエボラ出血熱の症状が見られるという。

カガディ病院にはこの5人の囚人の他に、エボラウイルスへの感染が疑われる患者が30人おり、さらに2人の患者の感染が確認されているという。感染者は今後増加すると見られ、感染を断ち、感染が疑われる患者にはなるべく他者と接触させないことが重要とカガディ病院の医師は指摘する。

今回エボラウイルスが最初に発生したのはウガンダ西部のキバレで、同地域ではすでに53件の感染が確認されている。これまでに16人が死亡し、さらに感染が疑われる312人の患者が検査のため隔離されている。

米国など他国へのエボラウイルスの拡散が懸念されるが、専門家は現在の大発生が米国に広がる恐れはないと見ている。

米国でのエボラウイルスの唯一の感染例は、輸入された研究用の猿が原因だった(人間の発病はなかった)が、4年前、ウガンダを訪れた2人の旅行者が現地でマールブルグ出血熱に感染した。そのうち1人が帰国後に死亡したが、治療中に適切な感染防止措置が取られたため、他に感染者は出なかった。






ウガンダでエボラ発生、原因と対策は?

Ker Than
for National Geographic News
August 1, 2012
 ウガンダで7月にエボラ出血熱の感染が発生し、犠牲者が出た。感染力の強いこの病気について、多くの不明点があらためてはっきりしたと専門家は話している。

 今回の感染はウガンダ西部のキバレ県で3週間前に発生したが、7月27日になってようやくエボラ出血熱であることが確認された。

 ウガンダ政府によると、患者が出血などエボラ出血熱の典型的な症状を示さず、マラリアなどのほかの病気を伴っていたために診断が難しくなり、最初の段階で感染が見逃されていたという。

 これまでの死者は14人で、1家族の9人のほか、医療施設のスタッフ1人とその子ども(生後4カ月)も含まれる。「Washington Post」紙によると、そのほかにも感染が疑われる10人以上が、地元の病院に入院しているという。

 ウガンダがエボラ出血熱に襲われたのは初めてではない。2007年には42人、2000年には200人以上が犠牲になっている。

 エボラウイルスは今でも謎が多く、どのように進化してきたのか、感染が発生するまでの間どの生物に潜んでいるのか、どうすれば治療できるかなど、まったく知られていない。感染経路についての理解も不十分だ。

 実際、ウガンダのヨウェリ・ムセベニ(Yoweri Museveni)大統領が30日に国民に向けて行った演説にも、理解不足が表れていた。大統領は、握手などを控えるよう呼びかけたが、エボラ出血熱が握手で、つまり汗で伝染するというのは根拠のない作り話だと、メタバイオータ(Metabiota)の副社長ジョゼフ・フェア(Joseph Fair)氏は指摘する。メタバイオータは、サンフランシスコに拠点を置き、エボラウイルスなどの病原体を研究している企業だ。

「エボラが汗で伝染することは現在知られていないし、考えられてもいない。エボラは体液で伝染する。(一般論として)発生地域に暮らしている人に対しては、周囲の状況への意識を高め、接触に気をつけることは常に推奨される」とフェア氏は話す。

◆信じ難い致死率

 エボラ出血熱は1976年に現在のコンゴ民主共和国ではじめて報告された。エボラウイルスは、現在知られている中でも最も感染力の強いウイルスに属する。また致死率も信じ難いほど高く、最大で感染者の90%が死亡する。死因は全身に及ぶ体内出血で、ときには体外に出血することもある。
 初期症状は、嘔吐や目の充血、腹痛、しゃっくりなど、一見軽く見えることがある。

 しかし最終的にはウイルスのせいで全身の毛細血管から血液が漏れ出すと、フェア氏は説明する。「本質的には細胞壁の結合が失われ、そのため毛細血管から血液が漏れ出す。いったんそうなると血圧が下がり、基本的にはショック死する。非常に不快な死だ」。

 しかも、エボラ出血熱はエイズとは異なり慢性化することはないにもかかわらず、生き延びた数少ない人々は、まだ病気を持っているのではないかと恐れる周囲から、のけ者にされることが多い。

◆謎に包まれたウイルスの由来

 一部の科学者は、自然界におけるエボラウイルスの宿主はコウモリではないかと示唆する。この仮説を支持する証拠もいくつか存在する。たとえばコウモリにエボラウイルスを実験的に注射しても、コウモリは生き延びた。

 しかし、エボラウイルスのタンパク質の構造は、鳥類が持つレトロウイルスと奇妙なほど類似しているため、このウイルスは鳥類に起源を持つのではないかと考える科学者もいる。

 インディアナ州にあるパデュー大学のエボラ研究者デイビッド・サンダーズ(David Sanders)氏は、遠い昔に鳥類の体内で進化したエボラウイルスがコウモリに感染し、現在ではコウモリから人類や霊長類に感染するようになったというシナリオも考えられると話す。

 また、エボラウイルスがコウモリと鳥の両方に潜伏している可能性もある。

◆エボラワクチンの開発は近いか?

 エボラ出血熱が最初に報告されてから40年近く経つが、いまだに治療法は1つも存在しない。
 理由の1つは、エボラウイルスが1種類ではなく、5つの株(種)が存在するということだ。インフルエンザウイルスやHIV(エイズウイルス)と同じく、エボラウイルスも種類により、人間の免疫系が標的にする表面のタンパク質が異なる。

 エボラワクチンがまだ存在しないもう1つの理由は、感染の広がりが限られていることだとサンダーズ氏は考えている。「エボラ出血熱でこれまで何人のアメリカ人が死亡しただろうか。答えはゼロだ。私たちは、影響の大きな病気に集中しがちだ」。

 しかし、エボラワクチンが近く開発される可能性は高まっている。アメリカ軍が、エボラウイルスがバイオテロに使用されるのではと懸念しているためだ。

 9.11テロの後、アメリカの農務省や国立衛生研究所(NIH)、国土安全保障省もバイオテロに対する防衛予算を増やしている。欧州連合(EU)や日本をはじめとする国々も同様だ。

Photograph by Isaac Kasamani, AFP/Getty Images


http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20120801003&expand&source=gnews













ウガンダでエボラ熱発生:発生源は?広まるのか?

By Jacey Fortin | 2012年8月2日 11時16分 更新
 アフリカ東部のウガンダでエボラ出血熱発生が確認されてから、少なくとも14人の死者が出た。地元機関は国際医療機関と協同で感染防止に努めるほか、死亡した人と接触した人の特定作業を進めている。発生したのは7月初めと思われるが、確認されたのは27日になってからだった。

 エボラ出血熱ウイルスが初めて発見されたのは1976年。30年以上経過したいまもミステリアスな疾患で、有効な治療法やワクチンは確立されていない。感染すると潜伏期間は7日程度で、突発的に発病するという。発熱、悪寒、食欲不振、嘔吐、下痢などの症状を呈し、進行すると、口腔、歯肉、皮膚など全身から出血、吐血、下血が見られる。種類により、致死率は最大90%に上る。感染力は強いが、基本的に空気感染しないため、感染者の体液や血液に触れなければ感染しない。

 今回ウガンダで発生しているエボラ出血熱の症状は通常と異なり、感染後発病しても出血が見られないため、発見が遅れたのだという。

 致死率が高い疾患ではあるが、寛解する患者もいる。生存は、治療のスピードとエボラウイルスの種類による。

 世界中の研究者が治療の発見に努めており、University of Texas Medical Branchのトーマス・ガイスバート博士もその一人。「サルに対して感染を防いだワクチン候補もある。動物実験の段階だが、奏功した治療法も見つかっている。だが、ヒトの進行した症例に対しては、治療はかなり難しい。それでも、治療は早ければ早いほど良い」と語った。

 研究者らが治療法、予防法の発見に必死になる一方、生物学者は中央アフリカでエボラ出血熱が大発生する理由を探している。

 ウイルス繁殖に適切な宿主環境を提供する場所や動物を特定することが重要だ。

 ヒト、ブタ、サルは感染しやすいが、長期宿主にはならない。最近では、特定地域の食用コウモリ宿主説が有力である。このコウモリに接触したサルがヒトへと感染させる。

 中央アフリカ諸国でのエボラ出血熱発生史を考えた時、ウガンダの今回の発生が世界へ脅威を与えるかどうかが心配される。

 だが、アフリカで過去20年に発生したエボラ出血熱が他の地域に拡大し、そこで広範囲に感染したという例はない。

 「歴史的に、アフリカでの大発生の多くは、院内感染によるもので、エボラは病院施設内の患者や医師の間で広まる傾向にある。だが、幸いなことに国際社会の支援を受けて、こうした環境も改善を続けている。間違いなく以前より状況は良くなっている。従って、米国やヨーロッパなどでは、さらに改善が進むはずだ」とガイスバード博士は話した。

 ガボン、ウガンダ、スーダン、コンゴ共和国などでは1976年以降、複数のエボラ発生により数百人が死亡している。ウイルス株は幾つかあり、それも単一の系統的治療が見つからない理由になっている。

 現在知られているエボラウイルス株は5つあり、1976年初めて発見された株はエボラザイールと名付けられている。この時はコンゴ共和国で318人が感染し、280人が死亡した。同年、スーダンで見つかった株がエボラスーダンで、284人が感染し、151人が死亡した。2007年のエボラブンディブギョ株では、131人が感染、死者は42人だった。

 米国バージニア州で実験サルに感染した株はエボラレストンと呼ばれたが、今までのところ、死者の報告は無い。また、エボラコートジボワールでも、数人の感染者はあったが、死亡の報告はされていない。エボラザイールとエボラスーダンが発生を繰り返しており、今のところ、この2つが最も致死率が高いと考えられる。

 ヨウェリ・カグタ・ムセベニ大統領は全国放送で演説を行い、感染拡大に対し「お互いの体に触れることで感染が広がる。握手は汗により感染を導き、問題を起こすため避けるように」などと注意を呼びかけた。

 この記事は、米国版International Business Timesの記事を日本向けに抄訳したものです。
 

http://jp.ibtimes.com/articles/33651/20120802/715709.htm




http://jp.ibtimes.com/articles/33651/20120802/715709.htm