軍トップ解任時、北で武力衝突発生か…韓国紙
【ソウル=門間順平】韓国紙・朝鮮日報は20日、韓国政府関係者らの話として、北朝鮮の李英鎬(リヨンホ)前軍総参謀長が解任された時、崔竜海(チェリョンヘ)軍総政治局長配下の兵士と李氏の護衛兵の間で武力を使った衝突があり、李氏側の約20人が死亡したとの情報があると伝えた。
消息筋の一人は「李氏本人が負傷、死亡した可能性も否定できない」としている。
報道によると、衝突は金正恩(キムジョンウン)第1書記が李氏の解任を決定し、崔氏側が李氏を隔離しようとした際に起きた。崔氏は、金正日(キムジョンイル)総書記の妹婿で正恩氏の後見人役の張成沢(チャンソンテク)党政治局員に近く、4月の軍総政治局長就任後は李氏を監視し、身辺を内偵していたという。
李氏は15日付で「病気」を理由に党役職を電撃解任され、18日には軍総参謀長職も玄永哲(ヒョンヨンチョル)氏に交代したことが明らかになっている。
(2012年7月20日13時03分 読売新聞)
北朝鮮:解任の李氏側と崔氏側交戦か 韓国紙報道
毎日新聞 2012年07月20日 11時22分(最終更新 07月20日 13時24分)
【ソウル西脇真一】北朝鮮の李英鎬(リ・ヨンホ)総参謀長が突然解任された問題で、韓国紙・朝鮮日報は20日、4月に軍総政治局長に昇進した崔竜海(チェ・リョンヘ)氏側と李氏側との間で交戦が起き、軍人約20人が死亡したとの未確認情報を韓国政府が入手し分析を進めていると報じた。金正恩(キム・ジョンウン)第1書記の最側近だった人物の電撃解任についてもさまざまな見方があり、謎が謎を呼んでいる。
韓国政府関係者の話として伝えた。解任決定後、これに反発した李氏の護衛兵と、崔氏側の間で交戦となった。関係者は、巻き込まれた李氏が負傷または死亡した可能性も排除できないと語った。ただ、まだうわさのレベルで、事実確認には日数がかかるとも述べた。
韓国政府は、党官僚出身の崔氏が4月に軍総政治局長に就任後、野戦軍出身の李氏を監視し、内偵を続けてきたとみているという。
解任を巡り、「経済改革を目指す金第1書記側と、軍強硬派の李氏の間で葛藤が生じた」「党による軍のコントロール強化」との分析が出ているが「路線対立と言えば聞こえはいいが、内実はもっとドロドロしたものではないか」(ソウルの外交筋)という見方もある。
ある軍事専門家は故金正日(キム・ジョンイル)総書記の実妹、金慶喜(キム・ギョンヒ)党書記が体制内で力を握っているとし「今回の人事は李氏が慶喜氏の逆鱗(げきりん)に触れたためだ」とみる。
北朝鮮軍内紛 20人死亡か
韓国紙、朝鮮日報は20日、北朝鮮の李英鎬・朝鮮人民軍総参謀長が解任された直後、李氏を連行しようとした崔竜海・軍総政治局長配下の兵士と李氏の護衛兵との間で戦闘が起き、20人余りが死亡したとの情報を韓国政府が入手し、確認中だと報じた。
李氏自身も負傷するか死亡した可能性も排除できないとしている。韓国政府関係者の話として伝えた。事実なら、李氏解任に軍の一部勢力が反感を持っている可能性がある。
北朝鮮メディアは16日、朝鮮労働党が15日の政治局会議で病気を理由に李氏を党の全役職から解任することを決めたと伝え、その後、総参謀長からの解任も確認された。
李氏は2009年に軍の作戦実施責任者の総参謀長に就任。10年9月の党代表者会で党最高指導部の政治局常務委員などのポストに就いた。しかし今年4月に軍を政治的に統制する総政治局長に党官僚出身の崔氏が就任してから影響力の低下が指摘されていた。
たたき上げの軍人の李氏と党から送り込まれた形の崔氏の間で主導権争いが起きていた可能性が指摘されており、同紙は、崔氏側が李氏の内偵を続けてきたと韓国政府が分析していると伝えた。 [2012年7月21日8時44分 紙面から]
「李英鎬解任の過程で交戦…流血事態に」
2012年07月20日14時47分 [ⓒ 中央日報日本語版] &
韓国政府は北朝鮮の李英鎬(リ・ヨンホ)総参謀長が解任される過程で数十人の北朝鮮軍人が死亡する流血事態が発生したという情報を入手し、これを精密分析中という。
朝鮮日報は20日、金正恩(キム・ジョンウン)第1書記が李英鎬総参謀長の解任を決定した後、崔竜海(チェ・リョンヘ)総政治局長側が李英鎬総参謀長を物理的に隔離しようしたところ、李英鎬総参謀長の護衛兵が反発し、交戦が発生したと、政府関係者の話を引用して報じた。 李英鎬総参謀長が交戦の過程で負傷または死亡した可能性も排除できないという。
韓国政府の関係者は「交戦があったというのはまだ情報レベルで、北朝鮮内部の状況を正確に把握するためにはやや時間がかかる」と話している。
北朝鮮兵士・航空機の脱出対応」 中国が警戒強化
2012年07月23日10時39分 [ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]
北朝鮮軍の兵士と航空機が国境を越えて中国に脱出するのを防ぐため、中国軍が朝中国境地帯の警戒態勢を大幅に強化したと、日本の読売新聞が22日報じた。
読売新聞は香港で活動中の人権団体「中国人権民主化運動ニュースセンター」が21日発表した内容を引用し、「中国軍が最近、早期警戒機4機を朝中国境地帯に追加で派遣し、北朝鮮軍の動向を24時間監視している」と報じた。
また中国吉林省の四平軍用飛行場では17日以降、北朝鮮軍用機が中国領空を侵犯するのに対応した緊急演習が8回も行われたという。これは「北朝鮮軍内部の核心だった李英鎬(リ・ヨンホ)前人民軍総参謀長(70)の解任が平和的に行われなかったとの情報を中国が得ていることを裏付ける動き」ということだ。
22日の産経新聞電子版も「15日に李英鎬が解任される直前、北朝鮮全域の人民軍に対して有事に備えた待機命令が下されたという情報がある」とし「全軍待機命令は李英鎬と彼が率いる勢力による抵抗がある場合などに備えた措置とみられる」と報じた。
また両紙は、朝鮮中央テレビで21日に再放送された金正日(キム・ジョンイル)ドキュメンタリーでは、李英鎬が登場する場面が昨年7月初めの放送当時とは違い、かなり削除されて放送された、と伝えた。
李英鎬が金正恩第1書記、張成沢(チャン・ソンテク)国防委副委員長と並んで立っている場面があったが、今回の再放送では李英鎬の姿だけが消えたということだ。また李英鎬が金正恩の話を聞くために耳を傾けている場面などが丸ごと削除され、全体の映像は9分から6分に減った。読売新聞は、李英鎬が権力争いなどで失脚したことを裏付けていると意味を与えた。