ページ

2012/05/25

胡錦濤派はすでに周氏と手打ち 保守派との全面対決は回避

薄氏と親密な周永康氏、危機脱出? 胡錦濤派は全面対決回避

2012.5.25 20:58
【北京=矢板明夫】中国共産党最高指導部の政治局常務委員会メンバーである周永康・党中央政法委書記(62)の動向が注目されている。党内の権力闘争で敗れた薄煕来・前重慶市党委書記と親密な関係にあったことで失脚説が飛び交っていたが、積極的に地方視察などを行う姿が最近報じられ、危機を乗り切ったようだ。党内の全面対立を避けたい胡錦濤指導部が「ターゲットを薄氏一人にしぼる」との方針を固めたことで、周氏は温存されたとみられる。


 江沢民・前国家主席の側近の一人だった周氏は、四川省党委書記、公安相などを歴任し、2007年秋から警察、検察、裁判所を統括する政法委書記に就任した。党内序列は9位ながら、司法部門を動かせることで大きな影響力を誇る。政治的スタンスは胡主席と距離を置き保守派に近い。薄氏が重慶ではじめた暴力団一掃キャンペーンも全面的に支持した。

 薄氏が3月15日に失脚すると、周氏の動静も公式メディアから消え、「党の規律部門の取り調べをうけている」との噂がインターネットを通じて広がった。

 しかし、国営新華社通信は同月23日、北京を訪れたインドネシアの外相が周氏と会談したニュースを配信した。外交担当ではない周氏が他国の外相と会談することは不自然で、失脚説を払拭することが目的ではないかと指摘された。

 また、周氏が秋の党大会の党員代表選挙で、自らの選挙区を前回の河北省から新疆ウイグル自治区に変更したことも注目された。その理由についてある党幹部は「河北省は胡錦濤国家主席が率いる共青団派の総本山といわれており、周氏が入れば地元の当選枠が一人減る。遠慮したのではないか」と分析する。また、薄氏は現在河北省秦皇島市内で拘束中とされており、周氏はあえて薄氏と距離を置いた可能性もある。

 4月中旬以降、周氏は人民日報などに頻繁に登場するようになり、胡錦濤国家主席への忠誠を誓う文章などが掲載された。共産党筋によれば、「胡錦濤派は保守派との全面対決を避けている。すでに周氏と手打ちをしており、周氏の責任を追及せず、秋の党大会で無傷で引退させることが決まった」と指摘する。

 海外メディアが「周永康失脚説」を流し続ける理由については、「周氏は気功団体の法輪功と民主化活動家らを厳しく弾圧した経緯があり、インターネットで流れている失脚情報は、弾圧された人々の希望的な観測だ」と指摘した。