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2012/02/16

文部科学省「放射線審議会」=「国際機関は日本と同じ年間1ミリシーベルトを根拠にしながら、一般食品のセシウムの基準値を1キロあたり1000ベクレルとしているのに、なぜ日本は100ベクレルなのか」

放射性物質:食品の新基準値案、認める答申 異例の意見書
 厚生労働省の諮問で食品中の放射性物質の新基準値案を審議していた文部科学省の「放射線審議会」(会長・丹羽太貫京都大名誉教授)は16日、新基準値案を批判する異例の意見書をつけつつ、同案を認める答申をした。意見書では、乳児用食品の1キロあたり50ベクレルを100ベクレルに緩めても健康は守られると記したものの、厳しい基準値を堅持する厚労省に歩み寄った。

 審議会は昨年12月27日から6回の審議を重ねた。毎回、大半の委員から「国際機関は日本と同じ年間1ミリシーベルトを根拠にしながら、一般食品のセシウムの基準値を1キロあたり1000ベクレルとしているのに、なぜ日本は100ベクレルなのか」「現行の暫定規制値で国民の健康は十分に守られており、基準値の強化は福島の復興の妨げになる恐れがある」「乳児用食品や牛乳に50ベクレルを設ける根拠はない」など、新基準値案を批判する意見が続出した。

 しかし「厳しい新基準値でも農産物の流通が滞ることはない」との厚労省の意向は覆せず、「食品の放射性セシウムの濃度は十分に低く、(新基準値が)放射線防護の効果を高める手段にはなりにくい」との批判的な意見書を付けて結局は認めた。

 新基準値案は、一般食品100ベクレル▽乳児用食品50ベクレル▽牛乳50ベクレル▽飲料水10ベクレル。4月から実施される。【小島正美】

毎日新聞 2012年2月16日 12時14分(最終更新 2月16日 12時36分)












厚生労働省  食品安全情報「コーデックス委員会」




コーデックス規格 汚染物質




コーデックス委員会のHPから CODEX STAN 193-1995



厚生労働省 食品衛生審議会 放射性物質対策部会資料 平成23年7月12日

参考資料5:海外における食品中の放射性物質に関する指標(PDF:109KB)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001ip01-att/2r9852000001ip63.pdf
ファイル:2r9852000001ip63.pdf

※コーデックスについては、介入レベル1mSv を採用し、全食品のうち10%までが汚染エリアと仮定。
EUについては、追加の被ばく線量が年間1 mSvを超えないよう設定され、人が生涯に食べる食品の10%が規制値相当汚染されていると仮定。
米国については、預託実効線量5mSvを採用し、食事摂取量の30%が汚染されていると仮定。








追加記事

商品の放射線量新基準値案 文科省“注文付き”了承
2012.2.16 21:57
 文部科学省の放射線審議会は16日、食品に含まれる放射性セシウムについての厚生労働省の新基準値案を了承した。ただ審議では、基準が「厳しすぎる」との意見が相次ぎ、生産者への配慮などを求める異例の意見も付いた。新基準値は厚労省の審議会を経て、4月から適用される見通し。

 新基準値では、食品による年間被(ひ)曝(ばく)線量を5ミリシーベルトから1ミリシーベルトに厳格化。「一般食品」は1キロ当たり100ベクレル、「牛乳」と粉ミルクなど「乳児用食品」は同50ベクレル、「飲料水」は同10ベクレルとなり、暫定基準値の4分の1から20分の1になる。

 これに対し、審議会の答申では、「差し支えない」としたものの、福島県産の農産物などの流通に影響する可能性もあり、地元の生産者らの意見を最大限尊重して運用すべきだとの意見が付いた。

 検査の精度や検査数の確保などの重要性も指摘。乳児用食品と牛乳を一般食品より厳しくしたことについては「特別の基準値を設けなくても子供への配慮は十分」とした。

 これまでの議論では、最近の調査で食品のセシウム濃度は十分に低いとして、厳格化のデメリットが指摘されていた。国産食品の大半が汚染されているとの仮定で算出されたことに対し、「実際に比べて汚染割合が大きい」として「基準値が低いほど良いというイメージが先行している」との意見も出た。検査体制も「測定時間が長くなり、サンプル数が減る」と見逃しの可能性が指摘された。

 健康被害だけでなく生産者の生活への影響も考えるべきだとの声も上がった。

 1月の審議会に出席したコープふくしまの佐藤理(おさむ)理事は「新基準が施行されれば広範な田畑が作付け制限を受けることは必至。農業県である福島の復興を閉ざすに等しい」と訴えていた。

 こういった指摘に、厚労省は「実態に対応できない基準を作ることはあり得ない。農林水産省と十分に協議し、福島であっても大きな影響はないと聞いている」と説明している。

 放射線審議会は新基準値案が安全かどうかを判断するのが目的のため、意見を添えた上で、答申がまとまったが、ある委員は「食品の流通だけを考えるのではなく、政治が福島の復興の全体像を描くべきだった」と批判した。