福島県は15日、福島第1原発事故に伴い警戒区域などに指定された地域にある採石場と砂利採取場計26カ所の調査結果をまとめた。放射線量が最も高かったのは「双葉砕石工業」(同県富岡町)の浪江町の採石場で、最大で石1キロ当たり21万4000ベクレルの放射性セシウムが検出された。
県原子力安全対策課は「双葉砕石工業の採石場の放射線の数値が突出している」と話し、流通経路の確認を続ける考えを示した。
採石場などの現地調査は先月、二本松市のマンションで比較的高い放射線が検出された問題を受けて、県と環境省などが行った。二本松市のマンションに石が使用された双葉砕石工業の採石場では、道路工事用の石を保管する屋根がない場所で放射性セシウムがいずれも10万ベクレルを超えたが、屋根付きの場所は比較的低かったという。
警戒区域内の別の採石場では最大で12万2000ベクレルが検出されたが、原発事故後は出荷されていない。
県と経済産業省はまた、双葉砕石工業の石が使われ、周囲の空間線量より高い値を示した住宅や駐車場が県内で4市1町の27件になったと発表した。
2012年02月16日木曜日
福島第1原発事故:残った砕石から高濃度セシウム…浪江
福島県浪江町の採石場の砕石を使った建物などから高い放射線量が検出された問題で県は15日、この採石場に残っていた砕石から1キロ当たり最大21万4200ベクレルの放射性セシウムを検出したと発表した。避難区域内で操業する他の採石場に比べ突出して高かった。
1月20日の現地調査で持ち帰った砕石を核種分析した。屋外に保管され事故当時から出荷せず残っていたと見られる砕石はほとんどが6万~21万ベクレルで、工事に使われたものも高濃度のセシウムを含んでいた可能性が強まった。採石場の表土からは最大67万4000ベクレルを検出した。
現地調査した避難区域内の他の採石場25カ所のうち警戒区域の1カ所で最大12万2400ベクレルを検出したが事故後は営業していない。営業中の14カ所では最大5170ベクレルだった。
また、国と県は問題の砕石が使用されたと見られる工事約1100カ所のうち約150カ所の現地調査を終え、二本松、福島など5市町27カ所で周囲に比べ高い放射線量を検出した。うち住宅は22カ所で、福島市の民家床下で毎時1.95マイクロシーベルトを検出したのが最高。3月末までに残りの調査を終える予定。
この問題に関し、経済産業省は15日、砕石や砂利の出荷基準を制定するために、専門家による検討会の初会合を開いた。
検討会では、計画的避難区域にある問題の採石場からだけ、極端に高い放射線量が測定されたことなどから、福島県の放射線量の高い地域に限定して出荷基準を制定する方針を確認した。出荷基準は3月中に制定する方針。【乾達、松田真】
毎日新聞 2012年2月15日 21時51分(最終更新 2月15日 21時58分)
汚染砕石の出荷基準で初会合
2月15日 19時26分
福島県浪江町の砕石場から、放射性物質に汚染された石が出荷された問題で、砕石を出荷する際の安全基準について話し合う検討会の初会合が開かれ、基準の対象を放射線量が一定程度測定された福島県内の地域に限ることを確認するとともに、今後、基準となる放射性物質の数値などについて、検討を進めていくことになりました。
経済産業省で開かれた検討会には、有識者ら7人が出席し、まず、福島県内で放射線量が比較的高い地域の採石場などを調べたところ、問題となった砕石場以外は放射線量は低かったことなどが報告されました。
続いて、砕石を出荷する際の安全基準について議論され、基準を適用する対象を福島県内で放射線量が一定程度測定された地域に限ることや、今後、砕石業者に対して放射線量を下げる対策を求める方針などを確認しました。
また、出荷基準の数値については、政府が去年6月に決めた下水処理施設の汚泥をセメント用などとして出荷する際の基準や、除染作業で政府が目標としている放射線量の値などを参考に議論を進めていくことになりました。
検討会では、福島県の意見も踏まえながら、今後、石の用途別に出荷基準を分けるかどうかといった論点などについても議論し、来月中をめどに新たな基準をまとめることにしています。
福島県採石業協会の宗像忠人会長は「問題が起きて1か月たつが、原発事故による影響がわれわれの業界にまで及ぶことを想定していなかったので、検討会が開かれることは一歩前進だと受け止めている。皆さんに安心してもらうことが第一で、出荷の基準を早く示してもらいたい」と述べました。
そのうえで、賠償については「現段階ではまだ検討していないが、出荷の基準が示されたのちに、国や東京電力に求めていきたい」と述べました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120215/t10013044831000.html