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2012/02/16

オリンパス前社長7人を逮捕

オリンパス前社長ら7人逮捕=旧経営陣、外部協力者も-報告書虚偽記載の疑い
 オリンパスの粉飾決算事件で、旧経営陣らが約1100億円の資産を水増しした有価証券報告書を提出した疑いが強まったとして、東京地検特捜部と警視庁捜査2課は16日、金融商品取引法違反(虚偽記載)容疑で、前社長菊川剛容疑者(70)ら旧経営陣3人と、元大手証券会社社員中川昭夫容疑者(61)ら外部協力者4人の計7人を逮捕し、関係先を家宅捜索した。

 特捜部と警視庁は、証券取引等監視委員会や海外当局と連携し、国内外を舞台にした巨額損失隠しの全容解明を進める。

 他に逮捕されたのは、オリンパスの前副社長森久志(54)、前常勤監査役山田秀雄(67)両容疑者と、いずれも元大手証券会社社員で、コンサルタント会社社長の横尾宣政(57)、同社役員の羽田拓(48)、小野裕史(50)の3容疑者。

 これまでの特捜部などの聴取に、旧経営陣3人は損失隠しへの関与を認め、中川、横尾両容疑者は否認しているという。

 逮捕容疑では、菊川容疑者らは金融商品の含み損を簿外処理するとともに、架空の「のれん代」を計上するなどして、2007年3月期に約1111億円、08年3月期に約1136億円の純資産をそれぞれ水増し計上した有価証券報告書を、関東財務局長に提出した疑いが持たれている。特捜部などは、09~11年分の虚偽記載についても今後、捜査を進める。(2012/02/16-13:07)

 http://www.jiji.com/jc/c?g=soc&k=2012021600392&j4



オリンパス虚偽記載の疑い、7人逮捕 旧経営陣と証券OBら
2012/2/16 12:17
 オリンパスの粉飾決算事件で、東京地検特捜部と警視庁捜査2課は16日午前、金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)などの疑いで、同社前社長の菊川剛容疑者(70)ら旧経営陣3人と、投資関連会社社長、横尾宣政容疑者(57)ら指南役とされる4人を逮捕、旧経営陣宅などの家宅捜索に乗り出した。日本の証券市場に深刻な不信を招いた事件は、証券取引等監視委員会も加えた合同捜査で、実態解明へのヤマ場を迎えた。

 特捜部が逮捕したのは、菊川前社長のほか、オリンパス前副社長、森久志容疑者(54)と前監査役の山田秀雄容疑者(67)、元証券会社取締役、中川昭夫容疑者(61)。一方、警視庁は横尾社長と投資関連会社取締役、羽田拓容疑者(48)、元同社取締役、小野裕史容疑者(50)を逮捕した。

 菊川前社長らの逮捕容疑は、2007年3月期~08年3月期、損失を抱えたオリンパスが保有する金融商品を簿外処理するとともに、損失穴埋めに利用した買収先企業ののれん代(買収価格と買収される企業の純資産の差額)を架空計上するなどの方法で、両期の純資産額をそれぞれ約1100億円ずつ過大に計上した疑い。

 オリンパスが設置した第三者委員会の調査結果によると、同社は1999年3月期から、財テクの失敗で膨らんだ損失1000億円弱を海外の投資ファンドに移す「飛ばし」を実行。簿外に移した損失は国内3社の巨額の買収資金や、英医療機器メーカーの買収に伴うフィナンシャルアドバイザー(FA)への報酬などを利用し、08年3月期~11年3月期にかけて穴埋めしたとされる。

 関係者の話では、横尾社長は証券会社時代からオリンパスとの取引を通じて山田前監査役と親交があり、損失隠しに使われたファンドの設立や資金運用に関与。国内3社の買収を利用した損失穴埋め工作にも協力したという。

 一連の経理操作の過程で、横尾社長と中川元取締役らには数十億円規模の資金がオリンパスから流れているとみられ、特捜部などは不正経理に関与した見返りだった疑いもあるとみて調べを進めるもようだ。

 これまでの特捜部による任意の事情聴取に、菊川前社長は「損失隠しについて報告を受け、了承していた」などと説明したとみられる。森前副社長と山田前監査役は、菊川前社長を含めた旧経営陣3人の虚偽記載への関与を認めているという。

 オリンパスは16日、「事態を重く受け止めている。事実の解明のため、捜査当局に対して引き続き全面的に協力する」とのコメントを出した。






オリンパスの前社長らを逮捕
2月16日 15時49分
オリンパスの菊川剛前社長ら旧経営陣が、巨額の損失を隠して資産を1000億円以上多く見せかける粉飾決算をしていた疑いが強まったとして、東京地検特捜部と警視庁は、菊川前社長ら7人を逮捕しました。

逮捕されたのは、オリンパスの前社長菊川剛容疑者(70)、元副社長の森久志容疑者(54)、それに元監査役の山田秀雄容疑者(67)のほか、いずれも証券会社の元社員の横尾宣政容疑者(57)と中川昭夫容疑者(61)ら7人です。特捜部と警視庁は、容疑を裏付けるため、菊川前社長の自宅など十数か所を捜索しました。

オリンパスは、バブル期の投資の失敗で抱えた1000億円を超える損失を海外のファンドに移し替えて隠し、その後、巨額の企業買収を利用して穴埋めしていました。

特捜部と警視庁の調べによりますと、菊川前社長らは、平成19年と20年に、巨額の損失があるのに、資産を1100億円余り水増ししたうその有価証券報告書を提出し、決算を粉飾した疑いがもたれています。また、横尾社長らは、オリンパスの旧経営陣にファンドを使った複雑な経理操作など損失隠しの手口を指南していた疑いがあるということです。

弁護士によりますと、菊川前社長は、調べに対して粉飾決算の容疑を大筋で認めたうえで、不正な経理操作については詳しく知らなかったなどと主張しているということです。

特捜部などは、決算の粉飾が平成21年以降も続けられたとみて経理の実態を捜査するとともに、長年巨額の損失が隠されたいきさつについても解明を進めることにしています。


菊川前社長らは
菊川剛前社長は、昭和39年にオリンパスに入社し、広報宣伝部長などを経て、平成11年、財務担当の常務に就任しました。オリンパスの第三者委員会の調査では、このころ、当時の岸本正壽社長から損失隠しについて知らされたということです。

平成13年、岸本元社長に代わって社長に就任し、去年10月まで10年間にわたって経営のトップを務め、売り上げ1兆円を目標に掲げてオリンパスの事業を拡大してきました。

特捜部は菊川前社長が山田秀雄元監査役や森久志元副社長から損失隠しについて逐一報告を受け、不正に関わっていたとみています。

森久志元副社長は、昭和56年にオリンパスに入社し、人事部などを経て経理部で資産の運用を担当しました。

山田秀雄元監査役の部下として財務部門に携わり、山田元監査役とともにどの金融商品を購入するかなど判断していたということです。オリンパスの第三者委員会は、森元副社長は投資の失敗で抱えた損失を海外のファンドに移して隠す「飛ばし」と呼ばれる不正な手口を、山田元監査役と2人で考案するなど、損失隠しで主導的な役割を果たしたと指摘しました。

山田秀雄元監査役は、昭和55年、オリンパスの関連会社から経理部に異動になり、金融資産を運用する業務に携わってきました。その間、オリンパスは、バブル経済の崩壊の影響で投資による多額の損失を抱え、リスクの大きい金融商品で損失を取り戻そうとしましたが、かえって損失が拡大していました。

平成9年に総務財務部長に就任して以降、財務部門の責任者を務めた山田元監査役について、オリンパスの第三者委員会は、部下だった森久志元副社長とともに損失隠しで主導的な役割を果たしたと指摘しています。


元証券会社社員の関わりは
逮捕された証券会社の元社員らは、オリンパスの第三者委員会の報告書で不正への関わりが指摘されていました。

このうち中川昭夫元社長(61)は、日本の大手証券会社を辞めたあと外資系証券会社を渡り歩き、平成10年、証券会社を設立していました。当時、新聞のインタビューに「顧客からどのようなニーズが持ち込まれても99%対応できる」と答えていました。

中川元社長を知る証券会社元社員は、「若いときに大手証券会社を飛び出し、実力社会の外資系証券会社で活躍していた。非常に勉強熱心で営業力もあり、毎年億単位の報酬を得る、当時の日本では指折りの証券マンだった」と話しています。

第三者委員会によりますと、オリンパスの山田秀雄元監査役とは、外資系証券会社に勤務していたころから取り引きを通じて親交があったということです。

一連の損失隠しでは、山田元監査役らから依頼を受けて、損失の受け皿となるファンドをカリブ海のケイマン諸島に設立したほか、企業買収を利用して損失の穴埋めをすることを提案したということです。損失を穴埋めするためイギリスの企業を買収した際には、多額の仲介料を得ていたとみられます。

一方、コンサルタント会社を経営する横尾宣政社長(57)は、大手証券会社で企業の資産運用を担当し、東京都内の支店の支店長まで務めました。平成10年、部下を誘って独立し、証券会社時代からの顧客だったオリンパスの仕事を受けるようになったということです。

第三者委員会によりますと、平成12年、一連の損失隠しに利用するためオリンパスが300億円を出資した国内のファンドの設立に関わり、このファンドの資金を預かって企業買収を手がけたということです。買収した企業の中には、オリンパスが損失の穴埋めに利用するためおよそ730億円の高値で買い取った3つの企業もあり、横尾社長は、このうちの1社の代表を務めたこともありました。横尾社長も、オリンパスから多額の報酬を得ていたということです。

特捜部や警視庁は、これらの証券会社元社員がオリンパスの当時の経営陣に協力し、不正に関わったとみて、いきさつなどを調べることにしています。


“全容解明を”
一連の企業買収を巡る不透明な経理を追求し、去年10月に社長を解任されたイギリス人のマイケル・ウッドフォード氏がロンドン市内で記者団の取材に応じ、「非常に重要な1日だ。しかし、これですべてが明らかになったわけではない。巨額の買収資金をオリンパスがどのように都合し、銀行がどう関わったのか。いわゆる損失の飛ばしが始まるきっかけとなった当初の損失とはどのようなもので、どのくらいの規模だったのか。こうした詳細が分かるまでは納得はできない」と述べ、日本や海外の捜査当局が事件の全容の解明に力を尽くすことを求めました。





オリンパス損失隠し事件 ウッドフォード元社長「まだ多くの謎が残されている」

オリンパスの損失隠し事件で、前会長・菊川 剛容疑者(70)ら旧経営陣3人と、証券会社元社員・横尾宣政容疑者(57)らあわせて7人が逮捕された。
これを受けて、会見した元社長のマイケル・ウッドフォード氏は「まだ多くの謎が残されている」と語った。
ウッドフォード氏は「歴史的な1日となった。しかし、まだ多くの重要な問題が、謎に包まれたままだ」と語った。
旧経営陣の逮捕に、ウッドフォード氏は時折、笑顔を見せながら「歴史的な1日だ」と評価した。
また、巨額資金の流れについて、融資銀行が率先して解明すべきだと指摘した。
(02/17 06:15)