福島・二本松市の新築マンションの室内から高い放射線量が確認された問題で、使用された石は、百数社の取引業者に流通したとみられる。
2011年7月、福島・二本松市に完成した3階建ての新築マンションで、通常より高い放射線量が確認された。
このマンションには、福島第1原発の事故により、浪江町と南相馬市の住人12世帯が避難していたが、わずか半年で、新たな放射線の問題に直面することになった。
ことの発端は、このマンションの1階に住む女子中学生が所持していた積算線量計の値だった。
女子中学生の母親は「ガラスバッジ(線量計)でわかっただけで、それまではわからなかった。えっ、ちょっと何でって。びっくりはしたんですけど」と語った。
女子中学生の積算線量計は、2011年9月からの3カ月で、1.62ミリシーベルト(mSv)という値を記録した。
その後の調査で、1階床下のコンクリートの基礎に、放射性セシウムが混入していたことがわかった。
さらに、このマンションから直線距離でおよそ3km離れた同じ市内の水路からも、通常より高い放射線量が確認された。
この水路の工事も、マンションの建設に関わっていたのと同じ業者が請け負っていた。
工事を請け負った業者は「どこどこというのは、あまり気にも留めなかったっていうのが事実。安心して使っていた」と語った。
周辺住民は、「散歩道になっている。中学生も通るので、やっぱり困る」、「落ち着いて生活できない。どうしていいかわからない」などと語った。
材料となる石は、計画的避難区域の福島・浪江町の砕石場から出荷されたもの。
FNNの取材に対し、石を販売した双葉砕石工業の猪狩 満社長は「今、お住まいの人たちが、高い線量のところにいるというのは、結果論としては、申し訳ないという気持ちです」と語った。
この砕石場では、東日本大震災直後は出荷がストップしていたが、3月23日から一時再開され、計画的避難区域に指定された4月22日までの間、5,200トンの石が、福島県内の19の建設業者を通じて、さらに県内の百数社の取引業者に流れていったとみられている。
猪狩社長は「そこは立ち入り禁止だよという措置をとっていただければ、出荷することも当然なかったし、こういう形で、二本松市の人に、ご迷惑をおかけする形もなかったと思う」と語った。
(01/16 17:55 福島テレビ)
一番気になるのは、そうした採石されたものがどのくらい拡散しているのかということなんですが、こちらです。
今ありましたように、採石会社では去年の4月22日までに5200トンを採石して、合計、19社に出荷しました。問題のこのマンションと水路はこのうちの二つの会社から納入されたコンクリートが使われていたんですね。
しかし、これらのコンクリートが県外で使われた可能性が低いという根拠には、こういうことがあるんですね。
経産省によりますと、この生コンクリートを運ぶための時間は90分以内という規定があって、自ずからこの出荷先というのは、福島県内に限られるということなんですね。
しかし、この二社だけでも数百か所の工事でこうした石が使われていまして、どこでどういう風に使われたのかについては、今後特定にしばらく時間がかかるものと見られています。