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2011/12/25

文科省=校舎・校庭利用の基準は、利用する際の基準だったのに、子どもが被曝しても問題がない限度として「年間20ミリシーベルトを新たに定めたとの誤解を招いた」

2011年12月25日0時38分 
リスク情報の説明不足、問題視 文科省が震災対応検証
 文部科学省は、東日本大震災への対応を自己検証した中間報告を公表した。校庭を利用する際の放射線量の基準を「年間20ミリシーベルト」とした際の説明不足や、SPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測システム)のデータ公開の遅れを問題視。「政府機関、専門家、国民との間でリスクに関する情報や意見を適切に相互交換するというリスクコミュニケーションにおいて課題を残した」と総括した。

 緊急時の対応に焦点を当てた第1次報告という位置付け。原子力災害と地震・津波災害の二つの対策本部が省内の別のフロアに置かれ、連絡がうまくいかなかったことなど、計106の課題を列挙した。

 4月19日に示した校舎・校庭利用の基準は、保護者らから強い批判を受けた。利用する際の基準だったのに、子どもが被曝(ひばく)しても問題がない限度として「年間20ミリシーベルトを新たに定めたとの誤解を招いた」と振り返り、「正確かつ丁寧な説明に努めることが必要」とした。SPEEDIについては、仮定の数値に基づく試算であっても、当初からデータを公表することが必要と指摘。リスクコミュニケーションの改善を図ると記した。



2011年5月1日 







枝野官房長官の会見全文〈1日午後4時〉
2011年5月1日20時6分
【校庭利用の基準見直し】

 ――森議員は文部科学省が示した20ミリシーベルトの基準見直しを求めたが、与党議員から見直しを求める声が出ていることをどう受け止めるか。

 繰り返し過日も申し上げたが、被曝(ひばく)限度を20ミリシーベルトとするということで指示をしたのではない。一つの指針として、グラウンドレベルの校庭の平均した放射線量が3・8マイクロシーベルト毎時だったと思うが、これは単純に通常の他の場所、福島県飯舘村のように1日6時間屋外にいて、1日6時間、木造建物にいるという想定で年間の被曝量がどれくらいになるかというと、20ミリシーベルトになるという同じ考え方に立つわけだが、今回の学校などについて問題になっている地域は、飯舘村などと違って、地域全体がエリアとしてそうした地域にあるわけではなくて、周辺地域はむしろそれよりずっと低い放射線量であると。

 例えば、学校の敷地の中については、それぞれ問題になる地域、具体的に調べており、屋外であってもアスファルトなどの所については、おおむね半分程度。それから学校の場合、屋内についてもしっかりと調べて、ここは10分の1程度であるということ。なおかつその基準を超えている所については校庭の利用を1時間程度に抑えて下さいというようなことも合わせてお願いしている。つまり、到底年間20ミリシーベルトに達成するような状況ではないことがまず大前提にあると。

 なおかつ、それについては、実際の実績としての放射線量を教師の方に線量計をつけてもらうなどして、しっかりと把握をしていく。なおかつ、今後放射線量は原発のプラントの状況が悪化しない限りは、この間も暫時減ってきているし、今後も一定程度減っていくことが見込まれているので、そうしたことをトータルすれば、到底20ミリシーベルトには大きく達しないということを前提に、安全性の観点から問題ないという指針を出しているということ。そこについては、十分な説明が仕切れていない、理解が得られていないということについては、さらに努力をしなければいけないと思っているが、決して20ミリシーベルトまでの被曝を認めているわけでも、それに近いような高いレベルの被曝が予想されるわけでもないということはご理解いただきたいと思っている。

 なお、関連して、(内閣官房参与を辞任した)小佐古先生がいろいろなご意見をおっしゃられていると。今回の学校の校庭については、より厳しい水準にするべきではないかというご意見、それが受け入れられなかったというご主張のようだが、逆にこの間には、例えば、3月28日には、乳幼児も含む牛乳や飲料水などの基準値をむしろ3000ベクレル、ヨウ素の場合だが、3000ベクレルでいいんだというご提言を頂いた。

 これは、原子力安全委員会などの判断で、いや300ベクレルが基準だということで、つまり、より低い、特に乳幼児をはじめとして、より低い線でやるべきなんだということで、より高くていいんだ、緩やかでいいんだというお申し出を、逆に全体としての判断として、安全委員会などがより低い判断をしているところがあり、専門家のみなさんのご意見も、そういった意味ではいろいろある。ただ、そうした中で安全性を優先しながら、それぞれ判断しているんだということをご理解頂きたい。


――その前提となった20ミリシーベルトが、放射線管理区域の基準の5ミリシーベルトの4倍に達しているのは高いと思うが。

 ですから、逆に20ミリシーベルトを超えそうなエリアとして、つまりそのエリアに住んでいらっしゃる、日常的にそこで生活をしてらっしゃると、超える可能性の高いと思われる飯舘村のみなさんには無理をお願いして、計画的避難区域として当該地域から生活の拠点を移していただくことをお願いしている。特に、乳幼児や妊婦さんはできるだけ先に出て頂きたいということもお願いしている。

 ここだって、先ほどの判断、つまり一日8時間外にいてということが前提だから、おそらく20ミリまで達しないだろうと思われるが、しかし、そうした前提を置いた場合、20ミリに達しそうな地域については無理にお願いをしている。

 今回、学校の校庭についてお願いをしている地域については、生活をしている全体の地域としてはそれを大幅に下回っている地域なので、決してこの20ミリまでがいいから線を引いたということではないということは、理解頂きたい。

==中略==
 【校庭利用の基準見直しその2】

 ――校庭の土の問題だが、土は除去する必要あるのか、必要なら土の処分方法については。

 必要ということでは今回文科省から示した指針に基づいて対応頂ければ除去する必要はない。ただ、もちろん、より安全性を高めたいという気持ちでそれぞれの自治体がされたということだ。一方で、原発以外の所で発生する放射性廃棄物ということになる。それの処理については率直に申し上げて今どういう枠組みでどういう風に対応するかということについては、簡単に答えの出る問題ではない。受け入れて頂く所がなければ処理ができ来ない。少なくとも今後、20キロ圏内などのがれき処理を含めて、今後さまざま問題になっていく。ある程度原発の状況が落ち着けば、農地などの土壌改良のことも出てくる。そうしたことに向けて、国としても若干時間がかかる。原発の外で生じた放射性廃棄物についての対応について検討を進めていかなければいけない。






再び、ざっくり経緯を。



4月13日、原子力安全委員会の代谷委員が子供は年間10mSvが妥当と発言→翌日、発言を撤回→15日、文科省審議官で安全委事務局を兼任の加藤重治氏が代谷委員の会見に同席し、「文科省が主体的に判断すべきこと」と強調。




19日午後2時ごろ、文科省から助言を求められた安全委員会は正式な理事会も開かず、議事録も残さず、午後4時ごろに「妥当だ」と回答。



加藤審議官は4月30日の会見で「最終的に何を重視したかというとICRPの勧告で言っている1~20ミリシーベルトのバンドを用いるということ。」と発言。