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2011/12/21

金総書記の健康が悪化した2008年夏以降、米国の主導で、日米韓の防衛協力も本格化 

<金総書記死去>韓米、北朝鮮急変に対応した図上訓練を実施
2011年12月21日10時16分
[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]
北朝鮮で金正日(キム・ジョンイル)死去のような急変事態が起きた場合に備えて、韓米軍当局はすでに具体的な対応策を明示している。「作戦計画(OPLAN5029)」がそれだ。

1990年代半ばに北朝鮮崩壊の可能性が提起されながら韓米両国が共同で策定した「概念計画(CONPLAN 5029)」を、実質的な作戦計画に発展させたものだ。

CONPLAN 5029の存在は99年、当時のジョン・ティレリ韓米連合司令官が「北朝鮮有事の計画がないというのがむしろ非正常的(unusual)」と明らかにしながら公式化された。

国家安全保障会議(NSC)は盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権当時の2005年、「概念計画」を政権崩壊や大量難民流入、蜂起発生など個別シナリオに基づく「作戦計画」として具体化しようという米国側の主張を受け入れなかった。主権侵害の可能性があり、北朝鮮を刺激するおそれがあるという懸念のためだ。

その後、議論は進展しなかったが、李明博(イ・ミョンバク)政権発足初年度の08年10月、当時の李相憙(イ・サンヒ)国防部長官とロバート・ゲーツ米国防長官がワシントンで会い、作戦計画に発展させることで合意した。これに関し李相憙長官は「万一の状況に備えて計画を発展させている」と認めたことがある。

「作戦計画5029」は5、6種類のシナリオを想定している。金正日(キム・ジョンイル)死去による政権交代とクーデターなどによる内戦の勃発、反乱軍の大量破壊兵器(WMD)奪取や海外流出、北朝鮮住民の大規模脱北事態などが主要シナリオだ。北朝鮮に滞留中の韓国人の人質事態、大規模な自然災害発生もこれに含まれている。

当局は公式的に認めていないが、すでに作戦計画5029に基づいて数回の図上訓練が行われたと伝えられている。今年2月の韓米合同軍事演習「キーリゾルブ」では、金正日の死去やWMD奪取などを想定した訓練が行われた。
 http://japanese.joins.com/article/661/146661.html?servcode=A00&sectcode=A30



金正恩氏継承を注視 韓国、日米と連携確認
2011年12月20日2時5分
 北朝鮮の最高指導者、金正日(キム・ジョンイル)総書記の死去を受け、北朝鮮メディアは19日、三男で後継者の金正恩(キム・ジョンウン)氏の存在を強調する報道を続けた。権力移行が混乱すれば、難民流出や核兵器の行方をめぐって東アジア情勢が緊迫する可能性があり、日韓、米韓首脳らは電話協議で連携を確認した。

 韓国政府は19日午後、国家安全保障会議(NSC)を招集。李明博(イ・ミョンバク)大統領が危機対応マニュアルに沿って対応することを指示した。李大統領は野田佳彦首相、オバマ米大統領のほか、ロシアのメドベージェフ大統領とも電話協議。情報交換や緊密な協力を維持することで一致した。6者協議筋によると、北京で22日から予定されていた米朝協議は延期される見通しだ。

 軍事関係筋によると、北朝鮮軍は19日午前、日本海に向けて短距離ミサイル数発を発射した。韓国軍は他に異常な動きは見られないとしている。日本政府高官によると16日にも発射があった。予定通りに演習を続けることで、死去の影響がないことを対外的に強調している可能性がある。

 北朝鮮は国家葬儀委員会を構成し、追悼大会を準備するなど、1994年7月に金日成(キム・イルソン)国家主席が死去した当時の対応を踏襲。朝鮮中央通信は19日、正恩氏を初めて「継承者」「領導者」とし、「百戦百勝に導く傑出した思想家、不世出の先軍統帥者」と称賛。同時に、「金正恩同志がいてくれる」と強調する市民の声を紹介、体制に揺らぎがないことをアピールした。

 だが、党中央軍事委員会副委員長の正恩氏は20代で、軍と治安機関に基盤を置くとされるが、権力掌握にはまだ時間がかかるとの見方が強い。経済は度重なる失政と国際社会の制裁で最悪の状況とされ、金主席を初代とする3代の世襲に北朝鮮内外で反発や不安の声が上がっている。

 金主席が死去した際、金総書記は97年10月に党総書記に就任するまで、3年余りにわたって表舞台に出ることを避け、権力の安定に全力を注いだ。正恩氏も父親のやり方を踏襲する可能性があるが、内部で権力闘争が起き、情勢が急変する危険性もはらんでいる。

 米韓両国は金総書記の健康が悪化した2008年夏以降、金総書記の死去に伴う内乱や難民の発生、核兵器の流出など北朝鮮情勢の流動化を懸念。共同作戦計画「5029」の策定を急ぐなど、対策づくりを本格化させてきた。今年2月末から3月にかけて行った合同軍事演習では、総書記死去に伴う非常事態を想定した演習を大幅に増やした。

 また、日本政府も今年1月の日韓防衛相会談で、情報交換など日韓の防衛協力を進めることを確認。米国の主導で、日米韓の防衛協力も本格化していた。

 一方、日米韓には北朝鮮情勢が流動化した場合、中国軍の介入を懸念する声がある。北朝鮮は来年、ロシアと合同軍事演習も計画。今後、朝鮮半島情勢をにらみ、日米韓と中ロの間で様々な駆け引きが行われる可能性がある。(ソウル=牧野愛博、中野晃)