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2011/12/02

枝野経済産業大臣=日本が原油のおよそ10%をイランから輸入しているという事情などを十分踏まえながら検討

米 イランから原油輸入削減を
12月2日 11時37分
核開発を進めるイランに対し、欧米各国が経済制裁を強めるなか、アメリカのコーエン財務次官はアジアやヨーロッパの同盟国に対し、イランからの原油輸入を削減するよう働きかける姿勢を示し、原油を一部イランから輸入している日本に影響が及ぶことも予想されます。



コーエン財務次官は1日、議会上院の外交委員会で証言し、先月下旬に発表した、アメリカの金融機関にイランのあらゆる銀行との取り引きを制限することを柱とするイランへの新たな制裁措置について説明しました。

そのうえでコーエン財務次官は、イランからの原油を輸入している主な国として、ギリシャやイタリア、中国などに続き日本を挙げ、今後、「アジアやヨーロッパの同盟国に対し、イランからの原油の輸入を削減するよう働きかける」と述べ、日本をはじめとする同盟国にイランからの原油の輸入を減らすよう求める姿勢を示しました。

日本の原油の輸入量のうち、イランからの輸入は10%程度に上っており、アメリカが同盟国への働きかけを通じてイランへの圧力を高めようとするなか、日本にその影響が及ぶことも予想されます。

アメリカが、アジアやヨーロッパの同盟国に対してイランからの原油輸入を削減するよう働きかける姿勢を示していることに関連して、枝野経済産業大臣は閣議のあとの会見で、状況を踏まえながら慎重に対応を検討する考えを示しました。
この中で枝野経済産業大臣は、核開発を進めるイランに対しアメリカなど欧米各国が経済制裁を強めていることについて、「イランや各国の状況を見ながら去年6月の国連安全保障理事会の決議の一環としての追加制裁について関係省庁と検討している」と述べました。

また、日本がイランからの原油輸入を停止する可能性はあるのかという記者団からの問いに対し、枝野大臣は「いかなる措置が適切かは、日本経済の置かれている状況や世界経済に与える影響を十分に勘案しつつ、慎重に検討していきたい」と述べ、今後の対応は、日本が原油のおよそ10%をイランから輸入しているという事情などを十分踏まえながら検討する考えを示しました。







EU、イラン追加制裁決定 原油禁輸も視野
2011/12/2 1:03
【ブリュッセル=瀬能繁】欧州連合(EU)加盟27カ国は1日の外相理事会で、核開発疑惑のあるイラン向けの制裁強化を決めた。資産凍結や渡航禁止の対象として180のイラン政府関係機関・個人を追加した。在イラン英国大使館への乱入事件を踏まえ、イラン産原油の禁輸など一段の厳しい対応を視野に「適切な手段を講じる」方針で合意した。

 イラン向け制裁強化は、国際原子力機関(IAEA)が11月上旬にイランの核疑惑報告書を公表したのを受けた措置。EUはこの日の結論文書で「深刻な懸念」を表明する一方、これまでの290機関・76個人の資産凍結や渡航禁止の対象を大幅に増やす必要があると判断した。

 テヘランの英大使館の乱入事件についてEU外相は「英国とEU全体に向けられた行動」との認識で一致した。理事会後にジュペ仏外相は今後の対応について「金融と原油の制裁を検討している」としながらも「原油禁輸はギリシャが態度を留保している」ことを明らかにした。

 ヘイグ英外相は1日、核疑惑関連の制裁強化に加えて「イランの金融部門を一段と孤立させるための経済制裁の強化を唱える」と強調、独仏も前向きだ。ただ、金融危機に直面しているギリシャはイラン産原油の輸入が多く、仮に禁輸を決めた場合のギリシャへの支援などが今後のEU内の調整の焦点となる。

 イラン産原油はEUの輸入原油の約5%を占め、ロシア、ノルウェー、リビア、サウジアラビア、カザフスタンに次ぐ6番目の輸入元。ギリシャのほか、スペインやイタリアもイラン産原油を多く輸入している。

 アシュトンEU外交安全保障上級代表は「我々がとても真剣であることをイランに明らかにする時だ」と追加制裁の理由を説明する一方で、核問題をめぐる協議の再開に向け「イラン側からの返事を待ち続ける」とも語った。






143イラン企業資産凍結 EU追加制裁 原油禁輸合意至らず
2011年12月2日 朝刊
【ロンドン=有賀信彦】欧州連合(EU)は一日、ブリュッセルで外相理事会を開き、テヘランの英国大使館襲撃事件を受け、イランに対し、EU域内にある百四十三のイラン企業の資産凍結とイラン政府関係者三十七人の渡航禁止などの追加制裁措置で合意した。

 外相理事会は、イランの対応次第で、さらなる追加制裁を講じることでも一致した。

 AP通信によると原油の禁輸も検討されたが、ギリシャの反対で合意に至らなかった。制裁強化はヘイグ英外相がEUに要請していた。

 外相理事会は、襲撃した学生の大多数がイラン革命防衛隊の影響下にある組織の一員との英政府の見方を受け、革命防衛隊や同国の金融システムに打撃を与える制裁措置を取ることでも一致。次回会議までに詳細を詰めるとした。

 原油禁輸は十一月下旬、フランスが「欧州諸国の共同歩調による制裁措置を」と提案し、各国から支持する声が相次いだ。

 しかし、イランから消費量の24%(二〇〇九年)を輸入するギリシャが禁輸措置に反対。財政破綻したギリシャとの無担保取引を許容しているのはイランのみとの事情が背景にある。

 理事会終了後、会見したアシュトン欧州連合外交安全保障上級代表は、原油禁輸について「引き続き専門家が検討する」と述べ、まだ制裁措置の選択肢にあるとの考えを示した。