【ニューヨーク=小谷野太郎、ロンドン=中沢謙介】欧州の財政・金融危機が一段と広がっている。南欧ポルトガルと東欧ハンガリーの国債が24日、大手格付け会社から新たに「投資不適格」と見なされ、欧州はユーロ圏内外を問わず厳しい政策運営を迫られている。
欧米格付け会社フィッチ・レーティングスは、ポルトガルの長期国債格付けを、全20ランク中、上から10番目の「BBB(トリプルB)マイナス」から、1段階低く投機的水準に入る「BB(ダブルB)プラス」に引き下げた。
米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは、ハンガリーの国債格付けを、全21ランク中、上から10番目の「Baa3」から1段階低く投機的水準の「Ba1」に引き下げた。
フィッチは、ユーロ圏の一角であるポルトガルについて「巨額の財政赤字や景気見通しの悪化で、投資適格に見合わない」と指摘し、今後2年間、景気後退で政府の財政再建が一層難しくなると予測した。ムーディーズは非ユーロ圏であるハンガリー国債の格下げ理由について「中期的な財政再建の達成に不透明感が強まっている」とし、ユーロ圏の債務危機の影響を受けやすくなっていると説明した。
(2011年11月25日11時44分 読売新聞)
ハンガリー、ジャンク級に格下げ-IMF支援要請でムーディーズ(1)
更新日時: 2011/11/25 09:32 JST
11月25日(ブルームバーグ):欧州連合(EU)に加盟する東欧諸国で最大の債務を抱えるハンガリーは、米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスの格付けで、15年ぶりに投資適格級を失った。同国は市場での信用力回復に向けて国際通貨基金(IMF)に新たな支援を求めている。
ムーディーズは25日、ハンガリーの外貨・自国通貨建て格付けを従来の「Baa3」から1段階引き下げ、ジャンク級の「Ba1」とした。格付け見通しは「ネガティブ(弱含み)」に据え置いた。同社は1996年にハンガリーに投資適格の格付けを付与していた。格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)とフィッチ・レーティングスは同国を投資適格級の一番下に格付けしている。
欧州債務危機の深刻化に伴い、ハンガリー政府は過去3カ月で国債発行を2回中止し、8回の国債入札で発行規模を縮小した。同国のオルバン政権は17日、IMFに対し融資を伴わず条件も課さない「保証」を求めた。
ムーディーズは発表資料で、「この日の格下げの第一の要因は、ハンガリー政府の財政再建と公共部門債務削減の目標達成能力をめぐる不確実性だ」と説明。「ハンガリーの最近のIMFとEUへの支援要請は、同国が直面している資金繰り難を示している」と付け加えた。
ハンガリーの通貨フォリントは過去半年間でユーロに対し14%下落、主要通貨中最大の下げとなっている。14日には1ユーロ=317.92フォリントと過去最安値を更新。日本時間25日午前7時39分現在、313.82フォリントで推移している。
ハンガリーは2008年にIMF主導の支援を受け、EU加盟国で最初の救済対象国となった。昨年の同国債務の対国内総生産(GDP)比は81%で、東欧のEU加盟国で最大だった。