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2011/11/03

検出されたキセノン135の量とキュリウム242、244の量が一致

臨界ではなく「自発的核分裂」=福島第1の2号機-東電
 東京電力福島第1原発事故で、東電は3日、2号機の原子炉格納容器から採取した気体を詳細に調べた結果、核分裂が連鎖的に起きる臨界は生じていないとする見解を発表した。

 核分裂反応を示す放射性物質キセノンが発生したのは、燃料に含まれる放射性物質キュリウムなどが自然に核分裂を起こす「自発的核分裂」が原因としている。

 東電によると、自発的核分裂は停止中の原子炉でも一般的に見られる現象で、原子炉の不安定さなどとは無関係としている。(2011/11/03-12:24)
 http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2011110300233




東電:福島第一原発2号機は自発核分裂-臨界状態ではない(1)
更新日時: 2011/11/03 12:39 JST
 11月3日(ブルームバーグ):東京電力の松本純一原子力・立地本部長代理は3日、福島第一原子力発電所2号機で「一時的な臨界」が起きた可能性があるとされていた問題で「自発核分裂によるもので、臨界ではない」との見方を示した。

  松本氏は臨界ではないと判断した理由について、原子炉圧力容器下部にたまっている核燃料からは中性子が発生しているが、自発核分裂のレベルで臨界を想定するほどのエネルギーが出ていないことを挙げた。

  松本氏は検出されたキセノン135(半減期9時間)の量とキュリウム242、244の量が一致したこと、臨界に達したと仮定するならばキセノン135が検出された量の1万倍以上にならなければ整合性がとれないことなどを具体的な根拠として示した。

  松本氏は「再臨界はなかった」と明言し、この見解を経済産業省原子力・安全保安院に報告する。

  東電は念のため、核分裂反応を抑えるホウ酸水を注入したが、松本氏は損傷した核燃料の自発核分裂で臨界ではないため、「入れる必要性はない」と語った。

  松本氏は前日「一時的に臨界が起きた可能性がある」との見方を示したことについて、「評価に時間がかかったとはいえ、不安を生じさせたことは申し訳なかった」と謝罪した。

  松本氏は、今後再臨界が起きる可能性について、「完全には否定しないが、確率は極めて小さい。臨界の条件をそろえることは難しい」と述べた。

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920019&sid=a1pkK12FFyQc



福島第1原発:キセノン検出、臨界ではなく「自発核分裂」
 東京電力は3日、福島第1原発2号機で核分裂が起きたことを示す放射性のキセノンが検出されたことについて、核分裂反応が連鎖して起き出力が上昇する「臨界」ではなく、一定の割合で自然に起きる「自発核分裂」という現象でできたものだと発表した。

 東電は「炉の不安定化や、外部の放射線量上昇などにつながるものではない。冷温停止や(収束に向けた工程表の)ステップ2終了時期への影響はないと考えている」と説明しているが、炉内の状況把握が不十分な状況は依然続いている。

 東電は自発核分裂と判断した根拠として、溶融した燃料内のキュリウム242や244という物質が散発的に核分裂を起こしてできるキセノンの量を推定すると、今回の検出結果と合うことや、臨界が起きた場合は1万倍以上の濃度で検出されるはずだと指摘。

 継続的な核分裂の発生に必要な中性子を吸収するホウ酸水を入れても、なおキセノンが検出されたことや、原子炉の温度、圧力に異常な変化がないことも挙げた。

 自発核分裂は正常に停止した原子炉でも起きる現象だが、2号機の燃料は事故で損傷し外側を覆う被覆管が溶けているため、キセノンが格納容器内に出てきたとみられる。東電は炉内の気体を継続的に監視する計画だとしている。

毎日新聞 2011年11月3日 13時23分





福島第1原発 不安材料が消えない
11月03日(木)

 東京電力は、福島第1原発2号機の原子炉で核分裂反応が起きている恐れがあるとして、反応を抑えるホウ酸水を注入した。
 原子炉内の制御が一筋縄ではいかないことが、あらためて浮き彫りになった。年内の冷温停止は達成できるのか。政府と東電の事故収束に向けた工程に、新たな疑問符が付いた格好だ。

 東電の松本純一原子力・立地本部長代理は、2号機からキセノン133、135が検出された可能性があると発表した。ウランやプルトニウムの核分裂によって生じる放射性物質である。

 半減期が短いことから、検出が確かだとすれば、最近になって核分裂が起きたと考えられる。

 核分裂が連鎖的に起きる状態が臨界である。原子力発電は臨界によって生じる巨大なエネルギーを利用したものだ。2号機で制御不能の臨界が起きるようなことになれば、深刻な事態に陥る。

 松本本部長代理は「一時的、局所的に起きた可能性はあるが、大規模な臨界は起きていない」と述べている。差し迫った危険性は低いとの見方である。

 東電は放射性キセノンの検出データなどを精査している。今後の分析を踏まえ、さらに丁寧な説明を求める。

 政府と東電は、福島第1原発の原子炉は冷却が順調に進み、年内にも冷温停止を目指すと発表していた。「一時的、局所的」であるにせよ、臨界が起きた可能性が浮上した意味は重い。


 注意すべき点がいくつかある。

 一つは、2号機で放射性キセノンが疑われたのは、10月から稼働した「ガス管理システム」によってである。1、3号機にはシステムがない。ここでも同様の事態が起きているかもしれない。検査を広げる必要がある。

 二つ目は、メルトダウンした核燃料の状態がどうなっているか分かっていないことだ。

 松本本部長代理は、臨界は核燃料と水のバランスによって左右されると述べた。注水量が増えたことで、核分裂を起こしやすくしている可能性もあるという。

 核燃料の状態が分からないままの手探りの作業である。これから先、注水と核分裂のリスクとのさじ加減が難しくなり、冷温停止に影響する懸念がある。

 経済産業省原子力安全・保安院は、事態を把握しながら野田佳彦首相への報告が遅れた。チェック機関として責任を果たすことができなければ、政府の信頼は取り戻せない。




これで冷温停止に進めるのか
2011/11/3付
 事故を起こした原子炉についてまだ分かっていないことが多い。東京電力・福島第1原子力発電所の2号機で、破損した核燃料の一部が核分裂反応を起こしている可能性が指摘された。

 冷却水を注入し続けていれば、爆発などの危険は小さいとみられるが、内部を見られない原子炉のことだ。予断は許さない。東電や政府は年内中の冷温停止を口にするが、核分裂反応が起きていては「停止」とは言えない。状況認識が甘くはなかったか。

 東電は10月28日から2号機の格納容器内のガスを浄化する装置の稼働を始め、採取したガスを調べたところ、核燃料のウランが分裂する際に出るキセノンガスが見つかった。

 溶けて散らばった燃料の一部で、核分裂が継続して起きる臨界状態が生じていたとみられ、今も継続している可能性が否定できない。東電は核分裂を抑えるホウ酸水を入れるなどの対策を講じた。

 原子炉周辺の温度はセ氏100度以下のままで、圧力や放射線量にも大きな変化はなく、臨界であったとしても局部的な反応とみられる。ここへきて、原子炉が爆発を心配するような危険な状態に急に陥ったというわけではない。

 ただ2号機内部では水素も検出されており、冷却作業は細心の注意が求められている。格納容器の内部の様子は直接見ることができず、数少ない温度計や圧力計などを頼りに手探りで推測するしかない。溶け落ちた核燃料がどこにたまっているのかもわからない。この状況は1、3号機も同じだ。

 全体としては原子炉は何とか制御されていると東電は判断しているようだが、どこかに落とし穴があるかもしれない。東電とは違う視点を持った外部の専門家の知識なども結集して、状況を再確認のうえで事態の収束にあたる必要があるだろう。

 今回判明した事態を受けて周辺住民の帰還や除染の計画など工程表の見直しが要るかどうかも慎重に判断してもらいたい。