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2011/10/06

小沢氏の弁護側は土地取引を巡る小沢被告の「現金4億円」の出所について、小沢被告と同様に説明しなかった。

小沢氏弁護側、「現金4億円」の出所説明せず
 小沢一郎民主党元代表(69)の資金管理団体「陸山会」の土地取引を巡る事件で、一般国民で構成する東京第5検察審査会の起訴議決に基づき政治資金規正法違反(虚偽記入)で起訴された小沢被告の東京地裁での初公判は6日午後、弁護側の冒頭陳述などが行われ、弁護側は「虚偽記入の事実はなく、元秘書らと共謀もしていない」として無罪を主張した。


 しかし、土地取引を巡る小沢被告の「現金4億円」の出所については、小沢被告と同様に説明しなかった。



 弁護側は冒頭陳述でまず、「今回の事件は、小沢被告が提唱する政権交代が現実味を帯びてきた状況で『小沢つぶし』を画策した検察の謀略によって作り出された」と強調。東京地検特捜部は、石川知裕衆院議員(38)(1審で有罪、控訴)ら元秘書3人に威迫や利益誘導を交えた違法な取り調べを行い、小沢被告の関与を認める供述調書を作成したと述べ、「検察審査員に調書の内容が真実だと誤信させ、起訴議決をするように誘導した」と批判した。

 その上で、小沢被告の現金4億円は陸山会への貸し付けではなく、定期預金を組んだだけのため、政治資金収支報告書に記載する必要はなかったと主張。「小沢被告は収支報告書の内容について報告すら受けていなかった」と述べ、元秘書らとの共謀も否定した。

 さらに、「強制起訴に必要な検察審査会の2度の議決を経ていない」として、「4億円の不記載」部分の起訴は無効だと主張した。

 また、「小沢被告は4億円の出所について明確に説明していない」などと指摘した検察官役の指定弁護士側の冒頭陳述について、「証拠に基づかない不適切な内容だ」と批判した。

(2011年10月7日02時07分 読売新聞)



陸山会事件:4億円原資 小沢元代表と事務所の説明変遷
 陸山会事件で土地購入に充てられたとされる4億円の原資について、小沢一郎元代表と事務所の説明は次々と変遷した。最終的に、東京地検による昨年5月の3度目の聴取で「(4億円に関する)帳簿等の記録も記憶もない」と供述していた。元秘書3人全員に有罪を言い渡した先月26日の東京地裁判決は「元代表ですら明快な説明ができていない」と強い疑問を呈した。

 元代表は07年2月、陸山会の事務所費が問題になった際の会見で、土地購入原資を「皆様(支持者)からの浄財(献金)」と話した。だが、土地問題が再燃した09年10月、事務所は「銀行からの借り入れ」と変化。昨年1月に元秘書3人が逮捕され、自身も最初に聴取された直後の会見では「家族名義の口座などから引き出し、事務所に置いていた資金」に変わっていた。

 一方で「政治とカネ」を巡る疑惑には「政治資金はすべてオープンにすることが大事だと主張してきた」(昨年9月)などと一貫して「潔白」を強調し、司法に対する不満を繰り返した。

 昨年1月の党大会では「逮捕、強制捜査は納得できない」と検察を批判。検察の不起訴処分後、「起訴すべきだ」と議決した検察審査会に対しても昨年9月、「捜査当局が不起訴にしたのに一般の素人がいいとか悪いとかいう仕組みがいいのか」。土地購入前後に中堅ゼネコンから1億円の裏献金があったと認定した先月の地裁判決後にはインターネット番組で「裁判官が独断で推測に基づいて有罪を決めるのは民主主義国家では考えられない」と批判した。【杉本修作】

毎日新聞 2011年10月6日 11時53分(最終更新 10月6日 13時55分)






小沢元代表裁判 争点と日程
10月6日 17時41分
 民主党の小沢元代表が、みずからの政治資金を巡って収支報告書にうその記載をしたとして強制的に起訴された事件の初公判では、裁判の争点を巡って、小沢元代表と検察官役の指定弁護士が真っ向から対立しました。裁判の主な争点は2つで、1つは、収支報告書にうその記載があったかどうか、もう1つは、小沢元代表が元秘書らと共謀していたかどうかです。
【収支報告書にうその記載があったか】
 この点について、検察官役の指定弁護士は、石川議員は、小沢元代表から提供を受けた4億円について「政治活動の中で何らかの形で蓄えた、表に出せない資金だ」と考え、その存在を隠すために報告書に故意に記載しなかったと主張しました。

これに対し、小沢元代表側は、4億円は元秘書に預けただけで、記載する必要はなく、うその記載には当たらないと反論しました。


【小沢元代表が元秘書らと共謀していたか
 指定弁護士は、石川議員の捜査段階の供述調書などを根拠に、石川議員が報告書を提出する前に小沢元代表に報告すると、小沢元代表は「分かった、きっちりやっておいてくれ」と述べて了承していたと主張しました。

これに対して、小沢元代表側は、供述調書は検察の違法な取り調べによって作成されたものなので信用できず、石川議員から説明を受けたことも了承したこともないとして、反論しました。この供述調書は、元秘書らの裁判では取り調べに問題があったとして、採用されておらず、今後の裁判で供述調書の信用性がどう判断されるか注目されます。


【4億円の原資は】
 また、小沢元代表が提供した4億円の原資について、石川議員らの判決では「小沢元代表は明快な説明ができていない」と指摘されており、小沢元代表が4億円の出どころについて説明するかどうかも注目されます。


【今後の日程は】
 小沢元代表の裁判は、初公判を前に争点や証拠を整理する手続きが行われ、今後の日程がすでに決まっています。審理は合わせて16回開かれ、多いときには週に2回開かれるなど、早いペースで集中的に進められます。

次回の今月14日には、石川議員が事情聴取中にひそかに録音していたテープが法廷で初めて再生されます。また、ことし中に石川議員ら元秘書3人や、取り調べに当たった検事など、合わせて9人の証人尋問が行われます。証拠を改ざんした罪で服役中の大阪地検特捜部の前田恒彦元主任検事も取り調べの担当者の1人として証人として呼ばれる予定です。

裁判所は、元秘書らの供述調書を採用するかどうか、来年2月17日に決定する予定です。

来年1月10日と11日には、小沢元代表本人への被告人質問が予定されています。

そして、3月9日に検察官役の指定弁護士が論告・求刑を行い、3月19日に小沢元代表の弁護団が最終弁論を行ってすべての審理が終わります。

判決は、来年の4月26日を軸に言い渡すことで調整が進められています。