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2011/10/21

小沢元代表、07年2月の会見で証拠として公開した「確認書」を会見直前に作成したことを認める

小沢元代表:「虚偽記載とは思わない」記者会見で持論展開
 民主党の小沢一郎元代表は20日、東京都内で記者会見し、資金管理団体「陸山会」を巡り政治資金規正法違反(虚偽記載)で強制起訴されたことについて「虚偽記載しているとは思っていない」と改めて否定した。また、07年2月の会見で、陸山会による土地購入に関し、土地の権利が自分にないことを示す証拠として公開した「確認書」について、当時の会見直前に作ったことを認めた。

 確認書を巡っては、07年に陸山会所有とされた土地が元代表個人の名義で登記されていることが発覚。「政治資金を使った蓄財」との批判が高まり、元代表は会見で釈明。「政治団体では不動産登記が認められないので代表者の名前で登記した。土地取引時に私個人のものではないことを確認書として残した」と説明し、05年の日付が書かれていた。

 20日の会見で元代表は文書について「作成を指示し、他(の取引で)はできていたが、その部分(問題の土地取引で)は抜け落ちていた。悪いことだと思っていない」と釈明した。



 ◇一般紙記者の質問に雰囲気が一変
 会見は一部のフリーやインターネットメディアの記者らでつくる「自由報道協会」の主催。「全国民同時参加型の記者会見」と銘打ち、ネットで生中継された。主催者側は東日本大震災の被災者支援と環太平洋パートナーシップ協定(TPP)について質問。続いてネットで公募したという計7問に対し、元代表が熱弁をふるった。

 だが、会場からの質疑応答に移り一般紙記者が「(陸山会事件の)虚偽記載は形式的ではない」と質問すると雰囲気は一変。元代表は「あなたの意見が違う。これまで間違った場合は全て修正ですんでいる」と語気を強めて反論した。記者が再質問すると司会者は打ち切りを要求、フリー記者は「(司会者の指示に従うという)ルールを守れ」などと声を上げた。結局、事件を巡る質問は別の一般紙記者と合わせて2問だけだった。


 ◇記者会見での主なやりとり
 小沢元代表の記者会見の主なやりとりは以下の通り。

 --被災地に行って表だった活動をしないのはなぜか。

 ◆震災後に岩手に入り国と県の協力を緊密にやっていこうと話をした。その後も知事から連絡があり、できる立場でやっている。岩手県沿岸の地勢についてある意味では誰よりも分かっている。

 --今後首相をめざすか、後進に道を譲るか?

 ◆自民党を離党した際に目指した政権交代、本当の意味での議会制民主主義を定着させるために、やれることはなんでもやりたい。

 --司法のチェックのために匿名の裁判員制度や検察審査会制度を撤廃し、裁判官と検察官は記者会見を開くべきでは?

 ◆できるかぎりオープンな社会構造にしなくてはいけない。国民の代表の国会議員が真実を分かるようにするため、強制力のある国政調査権を持たせるなど国会機能の強化が早道だ。

 --政治資金は全てオープンにして国民が判断できるようにすべきだとこれまで発言しているが、陸山会事件で国民の判断を誤らせる虚偽記入があれば実質的な犯罪ではないか。

 ◆いわゆる実質的犯罪が伴わない場合は、いままで収支報告書の訂正ですまされてきたというふうに申し上げてきた。私どもは虚偽記載しているとは思っていませんから。

毎日新聞 2011年10月20日 21時28分(最終更新 10月21日 9時54分)








07年公表の確認書の日付偽装
 小沢一郎民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐり、小沢氏が2007年に記者会見した際、同氏個人が土地の権利を持たない証拠として示した「確認書」は、会見の直前に作られていたことが19日、関係者の話で分かった。確認書には作成日として土地が移転登記された05年の日付が記載されており、当初から文書を交わしていたように偽装したとみられる。東京地検特捜部もこうした事実を把握しているもようだ。

 小沢氏はこの会見で、「土地購入の原資は銀行からの融資だった」と事実と異なる説明をしていたことも判明しており、特捜部は、小沢氏側が簿外資金による土地購入を隠すための偽装工作をした疑いがあるとみて調べている。

 この土地購入をめぐっては、同会事務担当者だった衆院議員石川知裕容疑者(36)が、購入代金に充てた4億円を収支報告書に記載しなかったとして、政治資金規正法違反容疑で逮捕されている。

 07年2月の会見で小沢氏は、この土地購入について、法人格のない政治団体は登記できず、便宜上、所有者を同氏個人にしたと説明した。

 その上で、陸山会代表の小沢氏と、個人としての小沢氏とで交わした確認書を示し、「政界引退後も個人名義にはならない。公私の区別をしている」と語っていた。

 関係者によると、特捜部は昨年3月、西松建設事件で陸山会事務所を捜索。その際に押収したパソコン内のデータから、確認書は記者会見に合わせて、直前に作られたと判断したとみられる。

 確認書に法的拘束力はないとされ、法律上は、土地の名義は相続時に親族へ移る可能性がある。陸山会は問題の土地を含め、1994年以降延べ15件の不動産を、いずれも小沢氏名義で保有している。(2010年1月19日配信、肩書き・名称、年齢はいずれも記事配信当時)
 http://www.jiji.com/jc/v2?id=20100123ichiro_ozawa_32