想定には、気象条件によっては福島第一原発の周辺「3~5キロの範囲では著しい公衆被ばくの恐れがある」との内容も含まれていた
事故翌日、「ベント不成功」の想定作成
福島第一原発で事故発生翌日、原子力安全・保安院が1号機の格納容器が損傷した場合、気象条件によっては3キロから5キロの範囲で住民が著しい被ばくをする恐れがあるという想定をしていたことがわかりました。
1号機では、事故発生翌日の3月12日、格納容器内の圧力を下げる「ベント」がうまくいかず、圧力が上がり続けていました。
保安院は12日の午後1時過ぎ、このまま圧力が上がり続けた場合、午後11時頃に格納容器が破損して放射性物質が漏れ出し、敷地境界では数シーベルト以上の被曝量が想定される、などとする文書を作成し、原子力安全委員会にファックスしたということです。
数シーベルトは死に至る可能性のある被ばく量で、想定には、気象条件によっては福島第一原発の周辺「3~5キロの範囲では著しい公衆被ばくの恐れがある」との内容も含まれていました。
保安院は13日になってようやくこの文書の存在を公表しましたが、当時誰の指示で作られたかは分からず、避難などに活用されたかどうかも分からないとしています。
格納容器内の圧力はその後、下がったことから、東京電力は「ベントは成功した」と判断しましたが、その直後に水素爆発を起こしています。(13日23:51)