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2011/09/14

NTTドコモと国内通信関連メーカーが韓国のサムスン電子と携帯電話用半導体を開発する合弁会社を2012年にも設立

ドコモ、サムスンなど日韓200億円で合弁 高速通信制御用の半導体開発
2011.9.14 05:00
 NTTドコモが富士通やNEC、韓国サムスン電子など日韓の通信機器メーカーと共同で、高速通信サービス「LTE」向けの通信制御用の半導体を設計、開発する合弁会社を日本に設立する方向で検討していることが13日、分かった。設立は2012年度の見込み。資本金は約200億円で調整中で、ドコモが過半を出資し、残りをメーカー各社が出資する見通しだ。

 通信事業者のドコモはこれまで、携帯電話向けの半導体アプリケーション用共通基盤の開発などで半導体メーカーなどと共同事業を手がけたり、メーカーに少額出資をしたケースはあるが、主導権を握って半導体事業に参入するのは初めて。




 合弁会社が手掛けるのは、国ごとに異なる周波数に対応するための制御機構。従来は米通信技術大手クアルコムの汎用(はんよう)製品を購入し、通信機器メーカー各社が国内向けに改良していた。

 国内仕様の部分を共同開発することで、コスト削減と開発期間の短縮を目指す。新会社にはNECやパナソニックモバイルコミュニケーションズも出資する予定。当面は設計・開発を専門に行い、生産は外部に委託する見通し。開発した半導体は他のスマートフォン(高機能携帯電話)メーカーにも販売する。将来的には、独自の通信制御用半導体の開発も視野に入れる。

 クアルコムは、携帯電話向けの通信制御用半導体市場で約4割のシェアを占め、なかでも世界規模で今後の普及が見込まれるLTEなどスマートフォン向け半導体のシェアは8割前後とみられ、圧倒的な強みを持っている。

 LTEは欧米などの通信事業者が既にサービスを始め、ドコモも昨年12月に提供を開始。KDDIやソフトバンクモバイルも12年中のサービス開始を計画している。次期バージョンでは、光ファイバーと同程度の最大毎秒100メガビットの超高速通信も可能になる見通しで、携帯電話向け超高速データ通信サービスの主役になるとみられている







ズームアップ/日韓で携帯用半導体の合併-米クアルコム依存から脱却
2011年9月14日5時0分
 NTTドコモと国内通信関連メーカーが韓国のサムスン電子と携帯電話用半導体を開発する合弁会社を2012年にも設立する検討に入った。新会社は次世代携帯電話の通信制御用半導体(ベースバンドチップ)を共同開発する。ただ、呉越同舟(ごえつどうしゅう)の面もあり日韓連合が無事離陸するかは不透明だ。

 新会社にはNECやパナソニックモバイルコミュニケーションズも参加する見通し。通信制御用半導体は米クアルコムの依存が高い。今回の提携はクアルコム依存を下げたい国内勢と通信制御用半導体を手掛けたいサムスンの思惑が一致した。

 ただ、関係者によれば「検討はしているが、流動的な側面もある」という。開発した半導体はサムスンも自社のスマートフォン(多機能携帯電話)に採用する見通しで日本勢と最終製品で競合することになる。サムスンに制御用半導体の技術を取りこまれるだけに終わる可能性も高い。

 サムスンに技術の蓄積がない点も気がかりだ。「ベースバンドチップの開発は一朝一夕にいかない」というのが業界の常識。量産技術にたけるが、ベースバンドチップを開発していないサムスンと手を組むことの有効性は不透明だ。

 懸念されるのはサムスンを相手に選んだことによる国内半導体企業への影響だ。特にルネサスエレクトロニクスはフィンランドのノキアの無線モデム部門を10年に買収するなど、モバイル用半導体を強化している。ただ、ルネサスがノキアを部門買収した時は「ドコモでは世界と戦えない意思表示」との観測も広まった。世界最大手のノキア向けの供給を握るだけに、致命的な打撃にならないとの見方もある。 





韓国 2011年9月19日(月曜日)
《知財》サムスンが脱クアルコムへ:日韓でスマホ用半導体チップ開発[IT]
サムスン電子が、NTTドコモや富士通などの日本企業と合弁会社を設立し、第4世代(4G)多機能携帯電話(スマートフォン)向け通信制御半導体(ベースバンドチップ)の開発に乗り出す見通しだ。同市場で圧倒的なシェアを占める米クアルコムへの依存度を減らす。特に、韓国の情報技術(IT)企業は、95年にCDMA(コード分割多元接続)方式を採用して以来、多額のロイヤルティーをクアルコムに支払ってきており、源泉技術の確保が急務となっている。

 日本経済新聞によると、新会社の資本金は300億円程度でドコモが過半を出資し、サムスンや富士通、NEC、パナソニックモバイルコミュニケーションズが残りを出資する方向で調整していると伝えた。

サムスン電子関係者はNNAの取材に対し、「ファウンドリー(半導体の受託製造企業)事業を拡大する可能性を探っているのは事実だが、まだ正式には何も決まっていない」と話した。

毎日経済新聞も、サムスン電子関係者が「スマートフォン用半導体チップで、日本企業と協力する方向で動いているのは事実」としながらも、「協議が始まったばかりで、参加企業や規模に関して変更の可能性がある」と説明したと伝えている。



■サムスンへの利益大か

 報道によると、新会社が生産するベースバンドチップは、従来より大容量のデータの処理が可能である一方で開発コストもかかるため、ドコモの通信技術とサムスンの量産技術、富士通の設計技術を組み合わせて経費を削減する。生産開始は来年からとなる見込みだ。

合弁会社による製品開発で、サムスン電子の得る利益は大きいとみられる。IHSアイサプライ・ジャパンの南川明副社長はNNAの取材に対し、「ドコモは日本のチップメーカーよりも、量産技術と資金力を持つサムスンを頼りにしているようだ」とし、「設計力に劣るサムスンは富士通の知的財産権を活用できるだけでなく、ベースバンドチップを自社開発することでクアルコムをけん制することができる」と説明した。

同社は、モバイル端末用のアプリケーションプロセッサー(AP)の自社開発を終え、「エクシノス(Exynos)」というブランド名でマーケティングを展開。スマートフォン「ギャラクシーS」にも、「エクシノス4210」を搭載している。その一方で、ベースバンドチップはクアルコムに大きく後れをとっており、サムスンは05年に、第3世代(3G)向けに自社開発に成功したものの商業化に失敗している。

同社がベースバンドチップの「国産化」に成功すれば、安定調達が実現し「ギャラクシー」シリーズに搭載できるだけでなく、海外の携帯電話メーカーへの販売の可能性も出てくる。

また知的財産の面からも、同社がクアルコムに依存する体質を変えるメリットは大きい。東亜日報によると、1995年3月に韓国がCDMA方式の移動通信サービスを開始して以来、同方式の源泉技術を持つクアルコムに支払ってきたロイヤルティーの額は、5兆ウォン(約3,450億円)に達するという。

この間、ドイツ最大の半導体メーカーであるインフィニオンからチップセットを調達するなど輸入先の拡大に努めたものの、09年に、サムスン電子はクアルコムと移動通信技術に関する15年間のクロスライセンス契約を結んだ。その際、契約金として13億米ドル(約998億円)とロイヤルティーを別途で支払い、保有する特許57件も譲渡した。

サムスン電子にとって、源泉技術を確保しクアルコムからの「技術的従属」から抜け出すのは悲願だ。

一方、LG電子もLTE向けのベースバンドチップの自社開発に乗り出している、

IHSアイサプライによると、クアルコムは10年時点で、携帯電話向けベースバンドチップで世界シェア36.8%を占める。特にスマートフォンではシェアが80%前後に達するという。同社は、LTE(ロング・ターム・エボリューション)が普及する15年にも、世界シェア80%を維持する目標を掲げており、今年第2四半期(4~6月)には、36億米ドルの売上高と10億米ドルの純利益を記録した。

対クアルコムで一致した日韓企業。同社相手にどこまで健闘できるかに注目が集まる。








今回の合弁会社設立は次世代高速通信サービス「LTE(サービス名はXi、クロッシィ)」を積極的に推進し、トッププレーヤーとして主導権を握りたいNTTドコモ、通信制御技術でクアルコムに大きく引き離されていたSamsungの思惑が一致した事によるものだと思われますが、その一方で気になるのが出資を予定している国内端末メーカー各社。

東芝の携帯電話部門を吸収するまでスマートフォン部門にほとんど手を付けてこなかった富士通、カシオ日立モバイルコミュニケーションズを事業統合して規模を拡大したものの、mova端末「N502i」で破竹の快進撃を繰り広げたころの勢いを感じられないNEC、スマートフォン市場で出遅れた感が否めないパナソニックモバイルコミュニケーションズなど、スマートフォン時代にメーカー各社が置かれている状況は決して良いものではありません。

つまり今後国内メーカー各社は開発コストを抑えつつ、国内市場に多数流入してくるグローバルモデルのスマートフォンと戦い、さらに低迷する国内市場だけでなく、国際市場へと展開する必要があることを踏まえた場合、設立される予定の合弁会社に出資せざるを得ないという側面もあると考えられます。