2011年09月18日 18:37 発信地:ベルリン/ドイツ
【9月18日 AFP】ドイツの電機・金融大手シーメンス(Siemens)のペーター・レッシャー(Peter Loescher)最高経営責任者(CEO)は、18日に出版された独ニュース週刊誌シュピーゲル(Der Spiegel)で、原子力エネルギー事業から撤退する考えを示した。
「われわれは今後、原子力発電所の建設や投資の全体的な運営に関与しない。われわれにとって、この章は閉じられた」とレッシャーCEOは述べ、シーメンス社の活動が今後兼用技術にのみ制限されると説明した。
「今後はスチームタービンなど非核の設備のみを供給する。つまり、原子力目的だけでなくガス発電や石炭発電などでも利用できる技術にだけ制限するということだ」(ペーター・レッシャーCEO)
ドイツ政府は、福島原発事故を受けて、2022年までに同国の原発を全廃することを決めている。福島原発での事故以降、原発全廃で合意に達した国は、主要先進工業国の中ではドイツが初めて。(c)AFP
シーメンス、原発から撤退 ロシア大手との提携取り下げへ
2011.9.19 05:00
欧州のエンジニアリング最大手、独シーメンスは18日、ドイツのメルケル政権が原子力発電から段階的に撤退する方針を表明したことを受け、原子力発電所建設事業から撤退することを明らかにした。ロシアの原子力発電大手、ロスアトムとの原子炉分野での提携に向けた計画も取り下げる。
シーメンスのペーター・レッシャー最高経営責任者(CEO)が独誌シュピーゲルとのインタビューで明らかにした。これに続き、同社の広報担当者は18日、同CEOの談話が事実であることを認めた。
同社は世界的にも規模の大きい原発建設の支援を手がけた後、ここ数年は原発事業を徐々に縮小。風力タービンや太陽光発電をはじめとする持続可能エネルギー分野の事業を推進してきた。原発にも利用できる契約済みの蒸気タービンと原発施設のうち、契約済み分の建設は続ける。
同社は高速列車や医療用スキャナー、工場の自動機器を製造。7~9月期のエネルギー部門全体の売り上げは67億7000万ユーロ(約7200億円)と、2番目の規模を誇る。
シーメンスは過去数十年のうち、ほとんどの期間は原発世界最大手、仏アレバとの合弁による「クラフトワーク」のブランド名で原子力発電事業を展開してきた。シーメンスは09年に同事業から撤退できるというオプション契約を行使。今年、複数の契約上の義務を履行できなかったためアレバへの6億4800万ユーロの違約金支払いを迫られた。
ドイツでは東京電力福島第1原子力発電所で起きた事故を受け、今後数年をかけ原発から撤退することになっている。(ブルームバーグ Benedikt Kammel)