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2011/09/29

温度は上がったり下がったりを繰り返しながら全体として下がっている状態。冷温停止達成の判断は、あと2、3日経過をよく見て

福島第一、全原子炉100度以下に 「冷温停止、判断は先」
 2011/09/29
東京電力福島第一原子力発電所の2号機で28日、原子炉圧力容器下部の温度が99.4度まで低下した。これにより、1~3号機のすべてで圧力容器下部の温度が100度未満に到達。冷温停止を判断する条件の1つである、圧力容器底部の温度がおおむね100度以下となっている状態を実現した。今後、注水の多重性や信頼性を十分に確保し、冷温停止状態を恒常的に維持できるよう冷却を継続する。



東電と政府は冷温停止の条件として、圧力容器底部の温度がおおむね100度以下になっていること、格納容器からの放射性物質の追加的放出による発電所敷地境界での被ばく線量が年間1ミリシーベルト以下となることの2点を掲げている。

1、3号機に続いて2号機でも圧力容器下部温度を100度以下まで低下させるため、2号機では今月14日から原子炉注水ラインの切り替えに着手。従来からの給水系ラインによる注水に加え、より効果的な冷却を狙って、シュラウドの内側から注水できる炉心スプレイ(CS)系を使って注水を開始した。

同様に注水ラインを切り替えた3号機に比べて2号機は温度の低下率が低かったが、注水量を徐々に増やすことで冷却が進み、28日17時時点で99.4度となった。震災以来、2号機圧力容器下部の温度が100度を下回ったのは初めて。

東電は「温度は上がったり下がったりを繰り返しながら全体として下がっている状態。冷温停止達成の判断は、あと2、3日経過をよく見て、上下があったとしても100度を上回らないことが見えてきてからではないか」と説明しており、冷温停止と判断するには時期焦燥との見解を示した。当面は毎時約10立方メートルの注水量を維持し、90度以下にまで下げる計画だ。

圧力容器周辺の温度検出器は校正を実施していないが、東電は近接する地点の温度検出器のデータと同様の傾向を示していること、至近1カ月の指示値が安定していること、原子炉注水量の変更に追従した挙動を示していることなどから、温度は正しく測定されていると判断している。

今後、冷温停止状態の達成に十分な注水量を把握し、循環注水システムや汚染水浄化システムの信頼性を確保することで冷温停止状態の維持に努める。合わせて、冷温停止のもう1つの条件である放射性物質の放出管理と抑制に取り組み、年内をめどに冷温停止状態の実現を目指す。